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#2 運命の紐

運命の赤い糸、という表現があまりしっくりこなくて。

この間運転しているときに「運命の紐」という言葉が思い浮かんで、気に入った。

神様が知ってる私たちの人生のゆくえ「運命」。

運命の赤い糸は小指から伸びていて、いつでもどんなことがあっても繋がってるよ、とか、そんな夢みたいな話が肌に合わない。

私、たぶん、運命って紐みたいにちゃんと確かな触感があるんだと思う。それを見つけさえすれば、触るだけで「あ、これが運命か」って直感で分かる。触ったときに手ごたえがあるはずだから。

「ビビっとくる」ってみんなよく言う。それが紐を掴んだ瞬間だと思うの。

見つけた運命って本当に大事。一緒に過ごす時間にはさらさらとしたきれいな風が流れる。私はいつもよりよく笑うようになる。面白いことも言えたりなんかして、ちょっと調子が良くなる。

でも運命を見つけても、人間って勇気がないとそれを掴めないんだよなぁ。お休みの日に布団から起き上がるだけでも結構勇気を使うんだもん。見つけた運命を自分のもとにたぐり寄せるなんてめちゃめちゃ勇気がないとできない。

一度紐を握って、自分の肌で「運命だ」ってわかってる。なのに掴めない。勇気が出ないし、自分にはその資格がないし…。その「運命」と一緒に過ごしてるだけで平和なんだから、もうこのままでいいじゃない、って。甘えた自分が顔を出す。

でも、一生変わらない人なんていないじゃん。できればこのままで、運命の紐の場所を理解しながらも掴みはせずに過ごしていきたい。でも人間って変わりながら生きてるから、このままだときっと手放すことになってしまう。せっかく見つけた運命の紐。遠ざかっていくのに追いかけることもせず、ただ小さくなっていくのを見送るだけになっちゃう。

大事だと思えるものに出会えた私はしあわせだ。でもそれと同時に苦しいんだ。

私は、「運命だ」って分かった紐を、逃さずにずっと掴んでいられる人になりたい。あと、できればやさしく掴んでいられる人でありたい。


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