嗅覚
カフェーへ行った。
閉店して、また再開したカフェー。
なかなか機会が合わず、やっと。やっとこさ。
せっかくカフェーに行くのなら、時間も夕飯の準備も何も気にせずに行きたい。
いつもは時計を見ながらあれやこれやと効率よく動く曜日だけれど、今日はあれがこれで予定がぜーんぶないから、行ける!
手帳と文庫本、筆記用具とノートを持ち込んで、一人で過ごす贅沢。
マスターが覚えてくださっていて嬉しかった。
軽く話して、十数年の記憶を埋める。
短時間で十分。
コーヒーとプティングを注文。
待つ間、漂う香り。
シナモンの香り。
チャイの香りか、にんじんケーキのシナモンか。
懐かしい。
出産後何年も経つけれど、つわりと共に嗅いだシナモンの影響なのか、受け付けなくなってしまった。
相変わらずシナモンは食せないんだけれど、懐かしい香り。
コーヒーカップがあの時のままで。
私は歳を重ねたけど、カップは変わらない。
コーヒーは変わったのだろうか?
私はこの味が好きだ。多分、あの頃と変わらない(はず)
団体のお客さまの楽しい会話が聞こえてくるけれど、シンとしたひんやりした空気が奥には漂っている。
なんだろう。
切り離されたようで。でも、取り残されたとか寂しさではなく、ポジティブな感じの空間。
あっという間に小一時間が経過した。
頭の中が整理されて、お店を出る。
また、きます。