![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103163742/rectangle_large_type_2_83be6c13a8fb51c8763b1f27d21e45c5.png?width=1200)
望まない妊娠と不妊治療
3X歳、結婚6年目。
当たり前に結婚して子どもを産んで家を買う人生だと思っていた。
体が弱いわけでもなく、生理不順があるわけでもない、普通に妊娠できると思ってたし、避妊をしなければすぐに妊娠するものだとも思っていた。
たいして苦労をせずに生きてこれた気がする。
学生時代の同級生と付き合って結婚した。
お互いのことをよく知っている相手で一緒にいて心地良い。
夫は優しくて何一つ文句の付け所がない。
だからこそ、どうしてこんな気持ちにならなければいけないのだろう。
友だちの妊娠報告に落ち込んだ。
子どもがいる友だちとは会いたくない。
生理がくるたびに泣きたくなった。
私がいけないのか、夫がいけないのか、誰も責めれない。
夫は仕事の都合で地元を離れていたため、しばらく遠距離恋愛をし、結婚を機に私も地元を離れて東京にきた。
仕事は週に2、3回のパートをしている。
子どもができないこと以外は何も不満がない。むしろ幸せだ。
夫とはもちろん仲がいいし、お互いの家族も良好だ。
時々会うような友だちだっていて、職場や趣味の仲間もいる。
誰からみても不自由なく普通に幸せな生活のはずだ。
結婚当初は、近くに頼れる身内がいないこともあって、子どもが産まれたら大変だなとか里帰りしなきゃなと考えていた。
しかし、子どもができない。
基礎体温を計ったり、妊活にいいといわれるような食事や運動すべてしてみた。だけど、また生理がくる。
地元の友達は結婚して数か月で妊娠している子が多かった。
ご丁寧な妊娠報告、出産報告がグループLINEで届いた。
私も当たり前にその流れを辿るつもりだった。
時には先輩ママに質問したり、子どもたち同士で友だちになってくれたらなんて考えていた。
子どもができないことで悩んで、辛くて、どんどん性格が歪んでいく。
街でベビーカーを押す人を見るだけで羨ましくなる。
妊娠できるのに独身最高!という友だちをみて卑屈な気持ちになった。
学生時代には望まない妊娠をした友だちがいる。
センシティブな話題だけれど、当時は仲間内で秘密が共有された。
知っているだけでも3人いた。
結果的に産む選択をせず中絶したらしい。
本人から直接話を聞いたわけじゃないから経緯や事実は知らない。
ふと、思う。
神様は不公平だ。
一度でも赤ちゃんを諦めたことのある友だちは3人とも今は子どもがいる。
ある子は、学生時代に再び妊娠して今度は高校を退学して産み育てた。
今は3人の子どものシングルマザーをしているらしい。
ある子は、子どもを諦めた時に付き合ってた人と中絶してからも付き合い続けて高校卒業後に出来婚して2児のママ。二世帯住宅を建ててもらって義両親と暮らしているらしい。
ある子は、留学中に一夜だけ関係を持った人との間に子どもができた。発覚したのは帰国後で親にも言えずに中絶した。
それから婚活し、経済力があって優しい旦那さんと結婚して2児のママをしている。仕事にも復帰し、マイホームを購入したらしい。
人の人生はそれぞれだし、友だちが幸せに暮らしている話を聞くのは嬉しいはず。なのに…素直におめでとうと言えない自分がいた。
妊娠を望んでいる人のところにばかり赤ちゃんが来てくれるわけじゃないことも現実だし、もしも私だって学生時代にそうなっていたらひどく動揺して間違った選択をしたと思う。
私は誠実に生きてきたのになんで?と思った。
不妊治療を始めるには相当なハードルがあった。
自然妊娠できないことを受け入れ、病院に行くことは容易ではなかったし、夫との話し合いにも心を引き裂かれた。
大抵のことに理解を示す夫だけれど、不妊治療を始めるにあたって原因をさぐったり、実際に治療をすることには前向きになってくれなかった。
不妊の原因が明らかになって妊娠できない理由がどちらかにあれば絶望することになる。深刻に考えたくないのも分からなくもない。
私だって「前向き」という言葉は相応しくないと思っている。
手段が残されていないからそうするしかないし、残酷なことに年齢を重ねると確率は下がってリスクが上がる。
1日も早く妊娠しなければならない。
里親になるのはどうだろうかという話もでた。
私はやっぱり自分の子どもが欲しいし、彼との子どもが欲しかった。
もしかしたら彼は不妊なのを自覚しているのだろうか。
そういう考え方があることにも心底驚いた。
夫を説得するのは大変だった。
ふたりのことなのに、お願いするような話し合いになるのもすごく辛く感じた。
お金がかかる。夫のお小遣いを上回るお金を毎月つぎ込むことになる。
パートで働く私の給料だけで治療費を賄うことはできない。
もちろん、子どもが出来てからの方がお金が必要になる。
せっかくの貯金ができる機会にいつまで続くか分からない費用を捻出し続けなければならない。
不妊治療では圧倒的に夫より私への体の負担が大きい。
日々の生活に気を付けて病院に通い、痛みに耐えるながら治療を受けなければならない。
いつ終わるかも分からないまま…
何よりもお金や労力をかけても妊娠出来なければ意味がない。
何度も気持ちを伝えて、話し合いをした結果、夫も不妊治療に協力的になり、一緒に頑張ると言ってくれた。
初めて2人でクリニックに行ったときは緊張したし、本当にこれでいいのかなと不安になったけど、ぎゅっと手を握ってくれた夫のおかげで大丈夫だと安心できた。
夫と妊娠に向けて同じ方向を向けて嬉しい反面、期待に応えたいというプレッシャーも増した。
不妊治療を始めればすぐに妊娠できると思っていた考えも甘く、1年経っても2年経っても妊娠できない。
それどころか、回数制限が迫り、どころかで諦めた方がよいのかと落胆する気持ちになった。
原因が分からないまま妊娠できない。
セックスも義務的なものになった。
生理が遅れると期待して、生理がくると絶望した。
夫に生理がきたことを伝えるときに申し訳ない気持ちになった。
私の体を気遣ってくれて、不妊治療を辞めないか?と言われたことがある。
しかし、諦めたくないと伝えた。
夫は気が済むまで頑張ろうと言ってくれた。
国の制度も変わって保険適用になった。
ありがたいと思う。
だけど私はまだ妊娠できていない。
あと何回繰り返せばいい?
あと何回我慢すればいい?
子どもが出来るのってこんなに大変なの?
望まない人のところには赤ちゃんがくるのに、私のところにはこない。
赤ちゃんを迎える準備はできているのにどうして?
時々考える。
この先、子どもがいない人生のままだとどうなるんだろうか。
こんなネガティブな人間じゃなかったのに。
もう少し、可能性があるなら、諦めたくない。
私の人生に賭けてみたいの。
あなたとの子どもが欲しいの。