母乳かミルクか
湯船の中で乳首を思いっきり摘んだ。
「いだいっっ」
厳しい痛みがあっただけで、
摘んだ先からは何も出てこない。
つい1ヶ月前まで、ここから溢れるほど母乳が出ていたのが嘘みたいだ。
もうすぐ産後3ヶ月、
というところで突然生理が来た。
えっこんな早く?!と動揺したのを覚えている。
個人差はあれど、早くとも離乳食が始まって母乳量が落ち着く6カ月あたりに生理が始まるのかなと勝手に考えていたのだ。
ちょうどその頃、今まで余るほど作られていた
母乳がピタリと止まった。
生後0-1カ月は完全母乳育児(以下「完母」)、
生後2カ月からは母乳中心の混合育児
にしていたから、
急に母乳量が激減してしまったのは
ショッキングな出来事である。
今まではおよそ
2時間に一回・20分程度だった授乳が、
1時間に一回・30分程度になり、
ひどい時には30分に一回など、
ほぼ一日中おっぱいを与えていた。
授乳による寝不足と生理痛も合間って、
疲弊しきっていた私。見兼ねた母が完全ミルク育児(以下「完ミ」)に移行することを勧めてくれた。
正直、初めは母乳が出ないことの申し訳なさや
悔しさがあった。
なんでだろう。
「完母だろうと完ミだろうと、子どもは育つし愛情も伝わる」そう理解しているのに、やるせなさが込み上げた。
一方で、完ミにしたことで
体調はすこぶる良くなった。
母乳に比べてミルクは腹持ちが良く、
飲ませる間隔が開くため、仮眠が取れるようになった。ミルクが出ない!ってこともないから、
満足するまで飲んで、夜もよく寝てくれた。
こんなことなら早く完ミに移行すればよかった、と思った 笑
一度だけ、近所のおばあちゃんに
「おっぱいでないの?可哀想だねえ...」
と、言われたことがある。
悪気はないんだろうけどその時は、
「昔と今は違うんですよ。時代遅れで可哀想ですね笑」と、笑顔で大人気ない返しをしてしまった。
後悔はしていない。
完ミが当たり前になり罪悪感もなくなった今、
自分のおっぱいから母乳が出ていたのが不思議に思える。
あの時はなんの違和感もなく、赤ちゃんに吸わせてたのにな。(なんかホルモンバランスの違いとかあるのかな、ありそう。)
ここまでで思うことは結局、
母乳だろうとミルクだろうと、
命を懸命に育てている私たちは美しいってこと。
乳首を摘んで母乳が出なくたって、自信を持って「しっかり育児をしています」って言っていいんだ。