あやなちゃんの退団が辛いです

取り急ぎ、綾凰華さん(以下、あやなちゃん)の退団発表が辛いという話を書きます。

今日2月1日の15時、宝塚公式HPには衝撃の発表があった。

98期の雪組男役スター、あの、あやなちゃんが次の公演で退団する。
鈍器で殴られるような衝撃だった。まさか、なんで、どうして。

いつか必ず退団することが前提となっている宝塚の世界で、いつ訪れてもおかしくないスター退団のお知らせ。だけど今回ばかりは、晴天の霹靂としかいえないタイミングだったと思う。私は、私たちは油断していたのだ。

あやなちゃんのこれまでについて少しだけふれたい。あやなちゃんにとって人事的な部分でターニングポイントになったのは間違いなく雪組への異動だった。最初の配属では体育会系で”アツさ”が持ち味である星組にいた彼女。新人公演での抜擢実績をみれば、本役に紅ゆずるさん、礼真琴さん、七海ひろきさん…と、元から期待値の高いスターであったことは間違いない。
それでも、初めて新人公演主演を勝ち取ったのは雪組に異動してからだった。しかも、あの望海風斗の主演作を2作も、である。とりわけ、そのうちの1つがここ数年の中でもレジェンド的な作品だと名高い名作『ファントム』(2018年)なのだから、あやなちゃんにとって、雪組への異動は間違いなく栄転となった。今では雪組男役スターの一員として、安定したポジションを確立しており、いわばあやなちゃんは、組替えによって大きく花開いたタイプのジェンヌさんである。

彼女の持ち味はなんといってもダンス。2017年『SUPER VOYAGER』でのロケットガールや2019年の『Music Revolution!』の群舞で見せた連続フェッテ、『Music Revolution!』(全国ツアー)のJAZZのシーンはダンサー綾凰華としてのポテンシャルの高さと華やかさを印象付けることとなり、鮮烈な記憶を残した。

そしてもう一つ、彼女の魅力はその甘く端正で、ロイヤルなルックスである。彼女の黒目がちな瞳は、どうしてそんなにいつもウルウルしているのか教えてほしいと思うほど特徴的な魅力があるし、舞台において自分の顔やスタイルをしっかり分析した着こなし、メイク、ヘアスタイルを作っていける素晴らしいセンスの持ち主だと思う。特に、昨年末まで公演されていた「CITY HUNTER」で彼女が作り上げた槇村秀幸という人物像は彼女の更なる人気に一役買うことになった重要な作品になったと思う。ヒロインの兄として、また一人の男としての「優しい魅力」を演技と舞台姿で的確に演じきり、宝塚のファンだけでなく、外部の観客からも多くの支持を得ていた。(実際、私自身あやなちゃんってこんなかっこよかったっけって衝撃を受けたし、死んでいる役としての影の薄さは保ちつつも確実に観客の印象に残る儚い存在感は圧倒的だったと思う。)

そうなんです。そうなんです。男役10年を迎えたあやなちゃんは、まだまだスタートしたばかりの新生雪組の男役スターとしてまだまだ活躍していくと、私はそう、信じて疑っていなかったのです。

もちろん、下級生の台頭も他組スターの組替えが控えていることもわかっていたけれど、それでも、私はなぜか、彼女がこれから雪組で活躍し続けていく未来を疑っていなかった。なぜだろう。なんでだろうね。

退団理由について推測するのは邪智ですが、宝塚は色々な面で厳しい競争社会なのだろう、ということは忘れたくないですね。信じられないほどの努力の上で、日々神経をすり減らしながらを夢を見せてくれているタカラジェンヌの皆様には頭もあがりません。

今の公演状況も踏まえ、ご贔屓にされている方のことを思うと胸が苦しいですが、なにはともあれ、彼女に大きな決意があったことは間違いないので、この決断を受け止め、愛を持って見守っていくしかないですね…

ということで、公演中止、公演延期、と辛い発表が続く中での今回のあやなちゃん退団のニュースがあまりにもメンタルを抉りにきたので、ただただ辛いということをつらつらと文章にしました。自己満でした。

今はただ、あやなちゃんが退団までの残りの宝塚人生を、まさしく”謳歌”できるよう、公演が無事に上演できる未来を願うばかりです。
あやなちゃんと、あやなちゃんのファンの皆様と、宝塚を愛するすべての人に、幸あれ。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?