母との記憶/短文バトル444
「あんたはね。小さいころ、階段のてっぺんまでバーッと走っていって。
急に振り向いて、ニコっとして。
下にいる私をめがけて落っこちてきた。」
受け止めてもらえることをいっさい疑っていなかった。
小さい私は、母をからだ全体で信じていた。
私は覚えていなかったけれど、
母はなんども、文句を言いながら、そのことをうれしそうに語ってくれる。
「あんたはね。小さいころ、階段のてっぺんまでバーッと走っていって。
急に振り向いて、ニコっとして。
下にいる私をめがけて落っこちてきた。」
受け止めてもらえることをいっさい疑っていなかった。
小さい私は、母をからだ全体で信じていた。
私は覚えていなかったけれど、
母はなんども、文句を言いながら、そのことをうれしそうに語ってくれる。