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"主体性"を失った先輩の話

優秀な人が、消極的な人になってしまった

そんなこと、周りにないでしょうか。

最近そういったことがあり、考えさせられました。
そして、問題は個人ではなく、組織の問題では?
と思ったのでnoteに書ければと思います。

(特定できない範囲の表現をとりたいと思います)

優秀な先輩に久しぶりに仕事でご一緒したら……

ある優秀な先輩がいました。

日本最高峰の大学の出身で、知識もあり、ユーモアもある人でした。文学系で、ものすごい本を読んでいる博学な人でした。
それでいてサークルの長もやっていて、みんなをひっぱっていました。
ものすごく仲がよかったわけではないですが、話にはよく出ていて、その優秀さを聞いていました。

大学卒業後、しばらくは縁はなかったのですが、ふとした機会で一緒に仕事をすることになりました。10年ぶりくらいでしょうか。

「先輩がいるなら、大分いい形で進められるな」と思っていました。

けれど、そこに「あの先輩」はいませんでした。

MTGでしたが、終始オドオドした様子で切羽つまっている。
雑談を振っても、反応が一切ない。
こちらが「こういうことできないか」と尋ねても、「難しいと思う」「工数がない」という否定的な反応ばかり。
最終的には「上がなんと言うかわからない」ということで、何も議論が進まない中で終わりました。

こちらが嫌われてるとか、難しい相談をしているならまだしも
そんな状況ですらありません。プロジェクトのキックオフなわけですから。

久々だからということもあるかもしれませんが、その変わりように驚いてしまいました。

割りとショックな出来事で、一体これはどうしたことだろうと思いを巡らせていました。
断片的なことからの類推でしかありませんから、先輩からしたら余計なことでしかないのですが、それでもしばらく考えてしまったのでした。

組織が失わせる主体性

オドオドしてる、自信喪失しているだけで言えば、「何かあったのかな」で終わりそうです。
身内の不幸や病気などはもちろん、発達障害などの特性なども考えられるでしょう。

しかし今回気になったのが「主体性がなくなった」ことです。

あらゆることに否定的になり、自分の判断で話を進められない。

もちろん上の人に確認をとらなければいけない立場にあるということもあるでしょう。

ただそれでも状況を整理し、どういうふうに上に確認をとって、進めたらいいかの話はできるはずです。

その主体性すらも失わせる。
その結果、上の状況次第で追い詰められ、オドオドし、余裕がまったくない状況になっていきます。

もともと受け身の人ならまだしも、もともと主体的に動いていた人が、主体的でなくなってしまった。
これは結構大きなことです。

そしてその原因を考えた時、上司や自分の領域をかなり気にしていたことからも組織の問題が大きいのではないかと思います。

自分が所属している環境は、人に大きな影響を及ぼします。身をおく期間がながければなおさらです。

子どもの頃なら家庭環境ですが、大人になってからは仕事で属す会社の組織や文化によって大きな影響を受けます。

その影響の中で主体性に大きな影響を及ぼしたのではないかといえるのが「ダブルバインド」です。

ブラック企業だけじゃない「ダブルバインド」

会社が従業員の主体性を養うのは難しいですが、
奪うのは簡単にできてしまいます。

その最大要因は「ダブルバインド」だと考えられます。

アメリカの精神科医グレゴリー・ベイトソンが提唱した概念で、「二重拘束」を意味します。矛盾した命令がなされている状態をいいます。

有名なのは「何でも聞け」と言いながら「自分で考えろ」と言うケース。

いざ作業するとやり方が分からない。それで「何でも聞け」と言ってくれた上司に聞きに行くと「自分で考えろ」と言われる。そして考えてやってみた結果、「事前に聞いてくれ」と言われたら……。誰でも混乱しますよね。

これが続くとどうなるか、自分で考えて動くことがリスクになります。指示を待っていたほうがリスクが少ないとしたら、そっちに動いてしまう。ブラック企業の社畜にできてしまうんですよね。本当に怖い。

ただコレ、そんなブラック企業は典型ですが、ブラック企業じゃないところでも起きている悲劇でもあります。先輩のいる組織もそんなところでした。

厳しい目標と大量のタスクで追い詰めながら、現場では自由なアイデアを求めている

目標はいいにしても、タスクの調整をせず逼迫した状態で、「自由に」「主体性を」と求めるのはまさにダブルバインドです。出るものも出なくなってしまう。

しかも厄介なのは、上のひとたちは状況を変えようとして現場にアイデアを求めてるんですよね。そしてアイデアが出ないということで、タスクを投げるという悪循環をたどっています。

こんな組織の中にいたら、従業員は長期リスクを考え、保守的になっていくのは自然じゃないでしょうか。

改めて周りをみると先輩以外にも受動的になってしまっている人がいました。これも組織の文化の犠牲者といえるかもしれません。

主体性をつけるというのは本当に難しいことだと思います。自己啓発本読んで身につけられるのであれば苦労はしません。そういう点で環境は本当に大事だなと思います。自分を変えるのもいいですが、それよりも環境を変えましょう

そして経営者およびその環境を作っている人は、ダブルバインドになっていないか反省したいところです。

おこがましいことですが、先輩の環境を変えられるようこっそりと動ければと思っています。

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