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初めてのARTフィギュア・オークション体験
私は特にトイ・コレクターというわけではありませんが、たまたま日本に帰国したタイミングで購入したブラインド・ボックス(中身がわからない状態、ランダムでフィギュアが入っている商品)の『BLACK RABBiT7』でクリアカラーのものが当たり、それ以来、「クリアカラーのフィギュアを集めたら楽しいかも」と思うようになりました。
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そんなタイミングで、以前から気になっていたアート・トイ・アーティストの一点物オークションに目が留まりました。
そのオークションに出品されていたトイはクリアタイプではなかったのですが、欲しかったクリアタイプのトイと同じ作者の作品でした。
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オークションの売上は、闘病中の彼の父へのドネーションになるとのこと。気がつけば「これは自分の手元に置くべき重要な作品なのかもしれない」と使命感のようなものまで湧いてきました。とはいえ、オークション価格がどんどん上がっていたため、私はあらかじめ予算の上限を決めて臨むことにしました。
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締切2時間前
あと少しで締切という時点でも入札価格が予算内だったことから、「これはいけるかも?」という期待が膨らみます。その後も動きがなかったため、他の入札者も締切ギリギリで勝負を仕掛けてくるだろうと予想しました。
私は締切(11/18 フィリピン時間11:59PMまで)の間際、「11:58」にアラームをセットし、「11:59」に入札価格を送信。「これでダメなら仕方ない」と思った数分後、なんと落札の連絡が!米国の熱心なコレクターを押しのけて見事に落札することができたのです。
後から聞いた話によると、そのコレクターは「なぜ日付が変わっていないのにオークションが締切られたんだ?」と問い合わせをしたそうです。どうやら「フィリピン時間」という条件を見落としていたとのこと。彼も落札する気満々だったようなのでラッキーでした。
さらに幸運なことに、落札の翌日、そのアーティスト本人から直接サイン入りで作品を手渡してもらうという展開になりました。
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最初は「いつか価格が上がるかもしれない」といった投機的な考えも少し持っていましたが、彼の作品に対する想いを直接聞いたことで「いやいや、これは一生手放したくない」と強く思うようになりました。
「評価や売上は、自分が自分の作品をどれほど愛しているかに比べたら、然程重要ではない。私は自分の作品が大好きだ」という意見に、ものすごく共感しました。
この世にたった一つのこの作品は自分の家族の健康を祈る御守りにします。
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トナカイの角は生え変わる直前の10本を表現しており、再生と回復への願いが込められています。
この機会をくれたお店のオーナー、Guibsにも感謝です。今回の出来事を通じて、日本とアジア諸国、そして欧米を音楽とアートでつなぐヒントを得たような気がします。
余談ですが、作者のLeeはなんと、RUN DMCともART TOYの仕事をしている超一流のアーティストでした。そんなことも一切知らずに自然と作品に手が伸びていた自分… これはトイ・ハンターを名乗ってもよいですかね!?