旅と私 #03 はじめての一人旅
今では当たり前のように一人で旅行に行っているが、初めての一人旅はいつだっただろう。
部活の遠征先で解散して帰宅前に一人で一泊寄り道観光して帰ったのが一人旅に含まれるのであれば、大学1年生の夏だ。
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大学時代は弓道部に所属していた。
毎年夏、全国大会がある。東京、名古屋、神戸の3都市持ち回りだ。
全国大会は大体2〜3日だが、その後に大学ごとに定期交歓戦を行なっていた。フル参加すると1週間ほどの長丁場となる。
1年生の夏、開催場所は神戸。全員で行くこともできないので、必然的に選抜メンバーによる遠征となる。後半の交歓戦参加メンバーの末席に加えられ、後発隊として初めての神戸に向かった。
そして3日間連続で交歓戦を行い、最後の解散場所は、京都駅だった。
中には、そのまま実家へ帰省する人もいる。散り散りになる中、私はその場に残った。
そう、京都観光だ。
駅前のビジネスホテルに一泊。名前も忘れたが、初めての一人でチェックインだったからか、入口の雰囲気だけは妙に覚えている。
翌日、真夏の京都を歩き回った。
他にどこをまわったか覚えていないが、仁和寺から龍安寺、金閣寺へときぬかけの路を行き、汗だくになりながらバスに乗ったことは覚えている。
今だったら8月の真ん中にそんなこと絶対しない。
この時、中学修学旅行、高校修学旅行、高校卒業旅行に続いて京都は4度目だった。全く初めての土地ではなかったことと、旅程もいきなり全て一人きりではなかったこともあってか、それほど不安もなかったように思う。
翌年、三十三間堂の通し矢に参加する為に同級生達と京都に行った際も一足先に一人で前乗りして大原に行ってみるなど(友人達とは夜に合流)、ちょっとずつ一人旅スキルを上げていった。
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一人旅。
誰に気兼ねすることもなく行き先を決め、好きなものを食べ、好きに過ごす。
一人だから行きづらい場所もあるかもしれないが、そこはまた違う機会に誰かと再訪すれば良い。
行ったことのある地が増えると、それ以上に自分の守備範囲が広がる。地理、食べ物、文化、歴史。
それが、私が旅行が好きな理由かも知れない。
なお、今のところ海外には一人で行ったことがない。