【短編】『おもかげにたつ』
マリオの事を思い出す時、必ず浮かんでくる姿がある。
《こんばんは。同窓会来られそうですか?》
マリオからそうメールが来たのは、異常な程暑かった八月後半の夜九時、車両点検の為、電車が遅れて混み合う帰宅途中のJR総武線の中だった。
暑さと混雑で苛立つ周囲を刺激しない様、気を付けながら、スーツのポケットからスマホを取出して画面をタップした。
この二週間程前に同窓会が開かれる旨のメールをマリオからもらっていた。
一ヶ月程前、仕事の都合で、それまで全く興味が無かったSNSを始めた僕