決算ウォッチ 山岡家、GENDA、JEH、ダイワサイクル
山岡家
[決算概要]
本来、1Qはそんなに強いQではないのだが、前期4Qを上回る利益を出してきた。
進捗率は32.6%。前期は10.4%。
2Qあたりで上方修正出る流れか。
ただ、いい決算が出るのは月次を追っていれば明らかなので、特にサプライズ感はなし。
24年1月期の売上は前期比142.1%と大幅増だったが、
最近の4月月次が125.7%、5月が126.8%とさすがに一時の勢いは鈍化している。
[今後の成長戦略]
また、2027年1月期までの中期経営計画を改定。
2025年1月期からの3年間で45億円の設備投資を行う予定。
2026年1月期は10店の新規出店を計画。
25年1月期が193店の予定なので、おおよそ5%強の新規出店になる。
ギフトあたりの出店と比較するとかなり物足りなく思える。
※ギフトは直営、プロデュース店合わせて、年間65店を出店。
セントラルキッチン方式のギフトは新規出店するほど利益率改善するのに対し、 基本、店舗ごとに調理を行う山岡家ではそういったインセンティブがないため、 無理して出店をしようという意欲がわきにくいのかも。
もっとも、西日本にはあまり出店していないので、西日本で受け入れられれば、 出店余地は無限にある。
[現在の好調がどこまで続くか?]
ここ1.2年は業績が絶好調だが、その要因としては数度の値上げにかかわらず、 客数が落ちないどころか、むしろ激増。結果、利益率が改善したことによる。
コロナ前の利益率が2~4%だったのに対し、前期の利益率は7.79%。
おそらく今期はさらに利益率が向上するはず。
売上増の要因に関しては、会社があげているのはインバウンド需要とのことだが、 これは本当だろうか?ロードサイドに店舗を構える山岡家にインバウンド需要を取り込めているとは思えないのだが。
売上好調の要因としては、24時間営業なので深夜帯などの飲食店需要を取り込めたことや、 SNSなどで取り上げられたこと、また、ラーメン業界全体がここ1,2年は好調だったことなど、 複数要因が合わさった結果かと思われる。
[株価バリュエーション]
今後、上方修正が出ることを前提とすると、PER15倍程度?
割高でも割安でもない、おおむねフェアバリューぐらいに見える。
2022年末からは株価が5倍になっていることもあり、積極的には買いづらい株価位置ではある。
今期の売上ガイダンスが前期比で13.2%増なので、月次で20%増ぐらいを維持できれば上を買われるかも。
GENDA
[企業概要]
ゲームセンター、カラオケ等の運営。M&Aで事業拡大していくのが特徴。
[決算概要]
前期にほぼなかった法人税支払いやのれん償却費により1Qは前期比で減益の予定と 事前に説明資料などでアナウンスされていた。
1Qの純利益は前期比22%減だが、営業利益は前期比23.2%増の着地。
ただ一つ注意が必要なのは、今期から施設機器の耐用年数を長期化したことにより、 減価償却費が130百万円減少している。
もっとも、これを考慮しても営利は15.5%増。
数字の見た目はかなり良い。
好調な理由として会社は買収後の会社の業績改善が順調であることをあげている。
1Qに買収したカラオケのシンコーポレーション(カラオケBanBan)は買収後、売上12%増、償却前営業利益85%増。
1Qの報告書によると、シンコーポレーションの買収金額は51億円。
シンコーポレーションは純資産△3.5億、売上179億円、営利1.5億円。(1/22開示資料)
この買収により46.9億円ののれんが発生。
[新たなM&A]
米国で8000箇所のミニロケ(ウォルマート、デニーズなどにある小さいゲームコーナー)を 有するNEN社を買収。
今後は日本型のUFOキャッチャーなどを導入することで、売上を伸ばしていく意向。
[リスク①]
以前から増資の可能性を示唆する発言をしている。
今回、株主優待が発表されたが、株主優待新設と同時に増資を発表するのかと考えていたが、増資はなかった。が、今度、どこかのタイミングで来るかも。
[リスク②]
この会社はM&Aで成長を志向していくという方針。
現状、うまくいっているようだが、今後、大きな案件で失敗したときに逆回転する可能性がある。
特に、米国企業買収だと予期せぬところで足をすくわれる可能性。
[リスク③]
なんかうさんくさい。これがGENDAに対して多くの人が持ってる印象ではないか。
美人社長を表に出すこと、また素晴らしい成長性によって華やかな印象を与えていが、
現状、あまり客の入っていないゲームセンターとカラオケ屋の会社である。
買収後に各種施策により売上が10~20%伸びたと説明資料等で主張しているが、 そんなに簡単に売上を伸ばせるものなのか半信半疑な部分がある。
JEH
[企業概要]
金子眼鏡、フォーナインズを中核とする眼鏡ビジネスグループ。
[決算概要]
インバウンド急回復、両ブランドにおける価格改定により、売上32.3%増、営利57.4%増。
今期の通期売上予想は10.6%なので、かなり好調。
フォーナインズに関しては海外卸売上が前期197→今期329とかなり伸びているのも好印象。
季節性に関しては把握していないが、前期を見ると2Q、4Qが強かった。
今後の上方修正はほぼ確実に出るだろう。
月次を発表していないこともあり、ボラティリティが高くなりがち。
DAIWA CYCLE
[企業概要]
自転車チェーン店。大阪中心に展開。ドミナント戦略。
関西エリアに76店舗、関東エリア47店舗。中部エリア3店舗。
[決算概要]
前期から売上21%増、営利50.3%増。
粗利率は前期とほぼ同じ(円安を考えるとかなり頑張っている)。
売上増による販管費率の低下で、利益率が前期8.4%→今期10.4%と改善している。
1Qの進捗率は極めて高いが、自転車という商品なので、新年度に売上が大きい点は注意。
もっとも前期の1Q進捗は47.2%なので、さすがに、今後、上方修正は出るだろうと思われる。
決算と同日に発表された5月月次は120.9%と好調。
[同業他社]
自転車チェーンといえば、とうぜんあさひ。
あさひの売上825億円に対し、ダイワサイクルは170億と企業規模にはかなり差がある。
あさひの利益率が6.29%に対し、ダイワサイクルは5.2%と少し劣る。
これはおそらくPB商品比率の差ではないかと思われる。
たとえば、あさひには電動自転車のPB製品があるが、ダイワにはない。
もっとも、電動自転車は今後、ラインナップに加わる予定。今後、PB商品の比率が上がれば、利益率も伸びていくかも。
またほぼ全国展開をしているあさひに対し、ダイワは出店余地が大きい。
ただ、あさひと客の食い合いになる可能性はとうぜん考えられるので、どこまで出店を伸ばせるかは不明。
PERではどちらも10倍とほぼ同じバリュエーションで評価されているが、どちらをどう評価するかは人それぞれか。
とりあえず、今回の決算でダイワサイクルはかなり勢いがあることは明らかではある。