何気ない話

雪が降った。

少し春の陽気を感じるような3日前と違い、
今日は一段と冷える。

寝ぼけた私の頬に雪が触れる。
マスクの隙間を縫って触れる。

早起きは三文の徳というが、冬の朝はなんとも言えないセンチメンタルな気持ちになる。

今にも耐えきれなく落ちてきそうなほどに重たく見える雪雲を眺めながらバスに乗り込んだ。
雪は強まる一方だ。

何食わぬ顔で携帯を眺める瞳に陽の光が差し込んだ。
重たい前髪をかき分けて差し込んだ。

視線をあげるとそこには陽の光に照らされたたった1つの雪片が車内でゆらゆらと舞っていた。

雪片が私の膝に落ちるその時までじっと眺めていた。

雪が止んだ。

今日は雨が降るらしい。

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