『アド・アストラ』遠く遠く、遙かなる宇宙へ向かったはずが、ひとりの人間の心の奥へ 公開中
原題:Ad Astra ★★★★☆4.5
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のアレやコレが記憶に新しい御年55歳のブラッド・ピットが初めて宇宙へ!
いくら何でも現役宇宙飛行士は、ちょっとあれでは…? と思いつつも、ドナルド・サザーランドも行けるのですから、それも近未来の進歩の一つなのかも、です。
月面で『マッドマックスFR』してる! と思いきや、
その辺りはほんの序の口で、太陽系の端っこまで、海王星まで行きます。
舞台は壮大な宇宙でありながら、出ずっぱりでほぼ一人芝居状態のブラピの感情を抑えに抑えた演技、モノローグに映し出される彼の心情に引き込まれます。
『2001年宇宙の旅』など、名作SFを彷彿とさせますが、
撮影は『インターステラー』『ダンケルク』などのホイテ・バン・ホイテマ氏! 安心感しかありません。
ですが、スケールの大きさに関わらず
メッセージはとてもシンプル。むしろベタ。
最後にはグッときて涙しました。
ひとりの人間の深遠なる心の旅路であるならば、『ゼロ・グラビティ』みもあり、『インターステラー』的でもあり、“家に帰る“という意味では『ダンケルク』でもある。
これは新たなSFの金字塔になるんじゃ!という思いは途中まであったものの
時折、『オデッセイ』『ライフ』もびっくりの展開にあっけにとられたこともあって手放し絶賛ではありません。
ただ、俳優としてのブラピはオスカー無冠でもあり、これでノミネートされてしかるべきかと(おそらく今年は『ジョーカー』ホアキンが総なめだろうけれど)。
個人的には、あのハスキーボイス、あれ?と思ったら、宇宙にNetflix「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」「ロシアン・ドール」、映画ファンには『アメリカン・パイ』のナターシャ・リオンがいてびっくり! 嬉しい驚き。映画鑑賞用の手帳に「ニッキーー!!」と殴り書きしてありました…