もリーズ

『モリーズ・ゲーム』周到な高速会話劇で描く、ある女性の不屈の再生物語 公開中

映画鑑賞メモ

原題:Molly's Game ★★★★★

※上の画像をクリックすると公式サイトに飛びます。

やっぱり私、アーロン・ソーキンが好きなんだと思います。

濃密で、テンポの速い会話劇。しかも、ラストにはしっかり、ほろり…。


周到に、練りに練られた言葉を紡ぎ出し、これまで『ソーシャル・ネットワーク』『マネーボール』『スティーブ・ジョブス』と実在の人物たちの“もう1つの顔”を取り上げてきた名脚本家ですが、

初監督作品となったこの映画では、初めて女性を主人公にしました。


かつてアメリカ女子スキー・モーグル競技で冬季オリンピック候補となるべく、父から猛特訓を受けるも、転倒して断念

ロースクールに行き、弁護士になりたかったはずのに

ふとしたチャンスを次々とモノにし、

LAでは、参加費1万ドル(100万円相当)という高額ポーカーゲーム・ルームを運営し、

NYでは参加費は25万ドルとなり、“ポーカー・プリンセス”と呼ばれながら、一見そうとは見えないロシアンマフィアも絡んできたことからFBIに逮捕されてしまう、

モリー・ブルームです。


演じたのは、ジェシカ、チャステイン! 莫大な富と権力を有する男たちの上に立ち、大金を右から左へ動かしていた女性。

そんな顧客に対しても、信念と誇りを持って接していた女性。

厳格で高圧的な父(ケヴィン・コスナー)に育てられるも、「愛されていない…」としだいに反発を強めていった女性。

さまざまな顔を演じますが、比類なきタフさ、妖艶さ、秘めた意思の強さ、どれをとっても素晴らしい彼女が、2時間20分の会話劇を引っ張ります。本年度オスカーにノミネートされるかとも思いましたが、『アイ,トーニャ』のマーゴット・ロビーが入っていました(これもこれで壮絶)。


舞台はポーカールームから、弁護士の事務所や法廷へとたびたび場所を移します。日本のビジュアルではギャンブルやセレブ推しですが、彼女の罪状をめぐる法廷劇でもあり、何度倒れても立ち上がり、再生を目指す不屈の女性の物語という側面が大きいのです。

その弁護士を演じたイドリス・エルバが、かなりカッコよく! 

ひと昔前なら、ケヴィン・コスナーのほうがやっていたような、今最もクリーンかつ知的で、タフで、頼りになる弁護士役がハマる俳優ではないかと思います。

一方のケヴィンのほうは、厳しく文武両道で育てるあまり、娘との関係を構築できずにきた父親役に徹するという。

また、彼女のポーカールームに出入りしていた有名俳優(オスカー俳優?)・プレイヤーX役を務めたのは、『JUNO/ジュノ』や『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍』のマイケル・セラ、これは引っかけなぞなぞみたいな佇まいで、「誰のこと???」と気にならずにはいられません。

さらに嬉しいのは、「ストレンジャー・シングス」S2で株が爆上がりのスティーブことジョー・キーリーが、ロングアイランドのお坊ちゃまとして登場。髪を切れなくて、スティーブのまんまですが、大事な役回りをいただきました!


家に帰ると、原作となった回顧録が届いており、ちらっとめくれば、俳優ら参加者たちの名前がしっかりと書いてありました(全員ではありません)。

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