アイフィールプリティ

『アイ・フィール・プリティ!』平成最後に贈るエンパワーメントMOVIE? 公開中

原題:I FEEL PRETTY ★★★★☆

まず、なぜにこのUS版ポスターが、いつもこうなってしまうのか。


『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』などもそうでしたが、キラキラピンクにするのもうやめません? ティザーの段階でも、基本構図は同じでもラブコメ/プリティはイコール、ピンクという価値観がありますね。

確かにカワイイけれどもさ、あまりにも画一的、短絡的ではないでしょうか。

そんな中、「ちょうどいいブスのススメ」という原作本がもてはやされ、同名ドラマが誕生するにあたり(タイトルが変更になったそうですが、中身は変わってないよね)、

比較されるように取り上げられていたのが本作です。

「ありのままに」とは

自分に自信が持てないレネー(エイミー・シューマー)が、ある日トレーニングジムで頭を強打、気を失って目を覚ましたら絶世の美女になったと勘違い。見た目には何も変わっていないのに、自信に満ち溢れ、毎日が一変していく、というストーリーをユーモアたっぷりに描きます。


そのポジティブさで、憧れの職場の憧れの人たちや逆ナンした男性も次々に魅了していくレネー。


将来は君になりたい、とまで言われるような人(名セリフ!)。

「ありのままに」とは、心持ち1つだけでここまで体現できるのか、と驚嘆させられます。吹き替え版を務めた渡辺直美が海外でも大人気なのは、彼女が「ありのまま」のルックスでビヨンセをキレキレに踊りまくるからですよね。

「ありのまま」の自分を認める自己肯定感、「自分を誇れる」という自尊感情が他国に比べて著しく低いといわれる日本の若者たち。この映画は、あらゆるコンプレックスを抱える、あらゆる世代に響く平成最後のエンパワーメント映画となることでしょう。

ただ、自分に自信がなくて、自分の人生がうまくいかないのはすべてルックスのせいと考えていた節のあるレネー。元来、彼女は親切で思いやりも、ユーモアのセンスも、ファッションセンスもある女性。

努力家でスポーツジムに行って鍛えようとしていたり、流行のヘアスタイルにチャレンジしようとしたり、自身が働く高級コスメブランドの通販部門ではなく、5番街にある本社で働きたいという向上心も持ち合わせています。

もともと彼女は魅力に満ち溢れた女性なんです。それがルックスに自信が持てたことで、臆することなくどんどんと表出されていくことに。

自分磨き とは、けっして見た目のことだけではないと思わせてくれます。


しかし、ハタと、「私は美しい」と勘違いしている彼女が、なぜにここまで可笑しいのだろうかと考えます。

本当は何も変わっていないのに、超絶にポジティブだから?

自信たっぷりの彼女がイタすぎるから?

いやたぶん、私自身にも思い当たる節がたくさんあるからなのかも。私自身にとってもイタい部分を、レネーが笑いに昇華してくれるからなのかも。


それだけに終盤の失速が、やや残念かな。


登場人物もそれぞれにキャラが立っていて楽しいのですが、高級コスメブランドのCEOを演じたミシェル・ウィリアムズはやはり凄い! 彼女は『グレイテスト・ショーマン』にも『ヴェノム』にも出演しており、『ワンダーストラック』『ゲティ家の身の代金』も今年公開。

彼女の化け方がすばらしいんです。“あの声”はリハーサルでは披露せず、本番までとっておいたのだそうで、走り方までプリティなんですけど。


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