『ウィーアーリトルゾンビーズ』泣いてなくたって、そこに感情はあるよ 公開中
英題:We Are Little Zombies ★★★★☆4.8
両親が亡くなり、悲しいはずなのに泣けなかった4人の子どもたちが出会い、思い出の品とゴミ捨て場で拾ったものでバンド“LITTLE ZOMBIES”を結成します。
冒険RPGのように8bitで描かれる、13歳の少年少女たちが両親の死を受け入れ、悲嘆(悲しくないわけじゃないんです)を癒やしていく旅路には
今の社会の残酷さ、大人ってダサいよねという皮肉も全部詰まっています。
8bitの映像やピコピコ音楽も含めて、われわれ大人世代の駄目なところを、子ども視点から突きつけられている気がするんです。
『そうして私たちはプールに金魚を』でサンダンス映画祭短編部門で日本映画として初のグランプリを獲得した長久允監督。
上記にもあるように、初の長編デビューとなった今作でも、サンダンスで絶賛を受けて審査員特別賞を受賞、ベルリン国際映画祭でも支持を集めて賞を獲得しています。
“LITTLE ZOMBIES”も最高の面々で
主人公のヒカリを『そして、父になる』の二宮慶多が演じるほか、「中外製薬」CMの未来人や『クソ野郎と美しき世界』の中島セナ。ドラマ「嘘の戦争」や映画『泣き虫しょったんの奇跡』など多くの作品に出演する水野哲志。天才似顔絵師“モンドくん”こと、今作が映画初出演の奥村門土。
全員に私デミー賞ライジングスター賞の類いをあげたい!
感情をなくした子どもというけれど、なくしてなんかいないでしょ。
見ようとしていないだけで。大人が目を曇らせているだけで。冒頭のヒカリくんのナレーションだけでも、十分すぎるくらいの悲しみが伝わってきますよ。
大人だって、スマホに操られるかのようなゾンビみたいですが、何とか、生きています。
だからってわけじゃないけど、子どもたちもそれでも、ダサくてでも生きて欲しいなと。
そんな監督のメッセージと気概も感じさせる1作でした。
以下、頭をぐるぐる回り続ける、クセになる“LITTLE ZOMBIES”の楽曲をどうぞ。
まずは聞いてください、デビュー曲にして世間をアッといわせた「WE ARE LITTLE ZOMBIES」
そしてエンディングを飾る、「ZOMBIES BUT ALIVE」
どうぞ、クセになってみてください。
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