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『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』いかにもなドラン節に込めた重大なメッセージ 3/13(金)〜公開

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原題:The Death and Life of John F. Donovan ★★★★☆4.5

アデルの「Rolling in the Deep」と空撮という、ダイナミズムを持ったサスペンス調で幕を開け、

どこに深く落ちていくかといえば、人気スターが抱える心の闇。

彼と11歳の少年が文通していた2006年と、10年後その過去を回想する青年と記者とのやりとりが交互に描かれ、

ドランらしいエモーショナルな着地へ。

ドランファン、主演キット・ハリントンおよび「ゲーム・オブ・スローンズ」ファン、ジェイコブくんファンらはもちろんのこと

「自分には生きる価値などない」と思っている、いまを生きている少年少女たち、キットや例えばノア・センティネオとかに夢中になっている子どもたちや、その親たち、そして、そのまま大人になった者たちに向けたメッセージにむせび泣きます、PG12指定ですが。


ハリウッドでたくさんの予算をもらい、豪華キャストを揃えて、65mmでのフィルムでも撮らせてもらって、それでなおいっそう自分のために撮った映画になっております(彼の作品は押し並べてそうですが)。

途中、映像と音楽がシンクロする、いかにもなドラン節が炸裂する象徴的なパートがいくつかあり、グッと心を掴まれました。

本当にいかにもで、彼のことが苦手な方はこういうところが苦手なのだろうと思いつつも、私は「来たぞ来たぞ」と思ってニヤニヤしていました、涙しながら。

でも、そこはピークではありません。

今回はドラン監督自身も語っているように母と息子の物語の集大成でありつつも、

サスペンス化されている真相は、すぐに分かります。

そこには、ただ愛と居場所と自由と尊厳を求める、私たちと何ら変わらない一人の人間が見えてくるのです。

その主題が実は、『ある少年の告白』や『IT イット THE END "それ"が見えたら、終わり。』 出演もへて得た境地ともつながり、自身が主演する次回作『Matthias & Maxime』にも関わってくるという。


また、あざとすぎるともいえるキャスティングの妙で、ちょい過呼吸になりかけました。

つまり今回はキャスティングありきで、まず大前提として

John・fドノヴァン_キット

誰? キット・ハリントンって? ポール・W・S・アンダーソンの『ポンペイ』の人? ん? という方と

「ゲーム・オブ・スローンズ」のジョン・スノウこと、キット・ハリントンが<大ヒットTVシリーズに出演し、一躍スターの座へと駆け上った人気俳優のジョン>を演じるだと? 

という時点で、かなり受けとめ方・評価が違ってくるだろうと思います。

ドランは、そんな彼を大変美しく撮ってくれました。ありがとうございます。

ちなみに、劇中の大ヒットTVシリーズとは「ゲーム・オブ・スローズ」のようなタイプのものではありませんが、「あるある、わかるわかる」作品なのでその点もまた一興。

役柄は確かにキットにちょっと重なる部分もあり、その点でも目頭が熱くなりました。

そして、マーベルの『エターナルズ』も楽しみだなぁと。


ナタリー・ポートマンも、ジェイコブ・トレンブレイも、このために選んだ、自身の分身のような母と子。

名作『レオン』で鮮烈なデビューを果たし、子役から映画界で活躍してきたナタリーと、『ルーム』で注目され、『ワンダー』やわずかなシーンながら『ドクター・スリープ』でも強烈な印象を残したジェイコブくん。かれが演じるルパート役は『タイタニック』のレオナルド・ディカプリオに夢中になった8歳のころのドラン少年がモデルとなっています。

この母子をはじめ

ルパート少年と、アマラ・カラン(「ナイト・オブ・キリング」)演じる小学校の先生

キット演じるジョンと、スーザン・サランドン演じる実母

ジョンと、キャシー・ベイツ演じるエージェント

大人になったルパート(ベン・シュネッツァー!)と、彼を取材する記者役タンディ・ニュートン

実の母子から、擬似的な母子関係までさまざま描かれ、
まさしく自伝的映画の集大成となっております。

ちなみに、日本の宣伝ではまったく名前が出てきませんが、大人になったルパート役のベン・シュネッツァーは、ビル・ナイらの炭鉱を助けるLGSMのリーダーを演じた『パレードへようこそ』から、POSHを描いた『ライオット・クラブ』、『スノーデン』、最近ではロザムンド・パイクの『エンテベ空港の7日間』にも出演。

また、現代パートの重要な役、タンディ・ニュートンといえば「ウエストワールド」があります(16日からシーズン3が世界同時放送)。

さらにもう一人、超重要人物がおりまして、なるほどなと。ドラン自身も関わりがあった作品でおなじみの方で、あの人にそう語らせるのかと思うと、これまたあざといですが、納得。

こうして豪華キャスト陣をふり返ってみてきても、やはり出色なのは、ジェイコブくん。彼は「恐ろしい子」ってやつです、まさにドランが散々言われた「アンファン・テリブル」とは、彼のことです。。




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