『ヴィクトリア女王 最期の秘密』100年隠されていた秘密の実話にびっくり。 公開中
デイム・ジュディ・デンチのあまりにもキュートすぎるヴィクトリア女王と、聡明で実直なインド青年の交流。実話でした。
原題:Victoria and Abdul ★★★★☆
昨年のアカデミー賞にノミネートされていたこちら、1年後に公開です。遅い~! 2度目のヴィクトリア女王を演じたジュディ・デンチも昨年、ゴールデン・グローブ賞や全米映画俳優組合賞にノミネートされていました。
夫のアルバート公に、従者のジョン・ブラウン、そして我が子(次女や四男)など、
愛した人が次々に先にこの世から去ってしまった“囚われの身”の女王が
在位50周年を迎えるころ、1887年
そんな女王の日常に、新しい風を届けてくれたのは当時、植民地として直接統治されていたインドの青年アブドゥル・カリムでした。
当時、「インド皇帝」でもあったヴィクトリア女王はかの国に高い関心を持ち、その言語や文化を習おうとしていたのです、その知られざる史実に感慨、感激。
女王は、この新しい友人と過ごすことが楽しくて仕方がありません。やがて「ムンシ=教師」という称号と、王室職員と同等の権利を彼に与えるようになります。
それが皇太子はじめ、周囲の人たちは「不遜」だとして面白くないのです。
そのため女王死後にアブドゥルに関する記録が破棄され、2010年に原作となったノンフィクションが発表されるまで隠されていた事実。
そこから膨らませていったまさに最期の秘密の物語は、『クィーン』のスティーヴン・フリアーズ監督により、年齢や身分を超えた友情にキュンキュンするかわいい女王を愛でる映画となりました(それこそ不遜ですみません…)。
みな、ジュディ・デンチ演じるヴィクトリア女王の孤独やときめく気持ちに共感し、大好きになってしまうのです。
ただ、当時のアブドゥルの日記を見つけ、また、保管されていた女王の練習帳のようなものも紐解いたという原作「Victoria and Abdul:The True Story of the Queen's Closet Confidant」(シュラバニ・バス著)は日本語訳版がないので大変残念ですね。
ハーパーBOOKSあたりで出してくれないかしら。
また、アブドゥルは親英派の立ち位置でしたが、ともにイギリスへ渡り、出世していくアブドゥルの従者となる役回りで描かれたモハメド(『ビッグ・シック』のお兄ちゃん役アディール・アクタル)に植民地側の意見を代弁させる、という描き方には、若干モヤッとはします。
※揺れる英国事情ですが、こんな記事も書きました。
ジュディ・デンチからマーゴット・ロビーまで!4人の英国女王がスクリーンに