育ちの良い日本のエリート政治家は駆け引きが下手説
日本の政治を眺めていると、時折首をかしげたくなることがある。
それって戦略があって駆け引きをしているの?
好意的なビジネス相手と交渉しているつもり?
目標値と留保価値がごっちゃになってない?
例えば103万円の壁。
玉木さんは賢いので1995年と現在を比較して律儀にしっかりと計算した。
基礎控除48万円+75万円=123万円+給与所得控除55万円=178万円。
で、そのまま素直に178万円で交渉を始めた。
でもね、与党側からしてみたら当然「178万円を上限」だとして交渉の場に出てくるよね?
しっかり計算するのは素晴らしい。
でもその178万円は留保価値でなければならない。
「ここからは一歩も引かないぞ」という絶対に譲れない数値でなければ、足元を見られてしまう。
国民民主党は選挙によって"178万円"という数値を日本国民に植え付ける事には成功したが、これがもし「基礎控除を200万円だ!」と吹っ掛けていれば、日本国民に植え付けられた数値は「基礎控除で200万円!」となり、慌てふためいた与党からしっかり計算された数値を引き出すことに成功していたかもしれない。
例えば北方領土。
昔は政府広報で「北方領土は日本の領土」というCMやポスターをよく見かけた。
今のTVで流れてます?
世界に向けて積極的に発信してる?
政治家は全く興味が無いのかな?
票に全く繋がらないから?
と嫌みの1つ…いや、2、3、4つも言いたくなる。
日ソ共同宣言。
時代背景を考慮したとしても領土だけは絶対に譲ってはならなかった。
領土にまつわる話で幕末に四国艦隊下関砲撃事件というのがあった。
四国艦隊下関砲撃事件でボッコボコにされた長州藩は高杉晋作を講和大使として四国艦隊旗艦のユーライアラス号に送り出した。
賠償金300万ドル、海峡航行の自由、燃料や食料の売り渡し、砲台撤去、船員の上陸許可といった条件は受け入れた高杉晋作だったが、彦島の租借だけは断固拒否し続け、これを退けたという。
租借とは名ばかりで植民地や侵略の足掛かりにされてしまうことをよく知っていたからだ。
日ソ共同宣言では北方四島返還を目指しながらも、2島を即座に返還してもらうことで、残りの2島は先送りにして友好関係を築こうとした。
結果的には延期されたまま現在に至るが、これが今でも日本政府の対ロシア政策の基礎となってしまっている。
日本はポーツマス条約で合意した内容を目標値に設定するべきだった。
それで相手が難色を示すようなら、それならそれで放っておけば良かった。どうせ今でも還ってきてないのだから、勝手に譲歩しただけ損したわけだ。
昭和天皇がソ連についてお話しになられた言葉を読んで欲しい。
日ソ交渉前に…
結局、数年後に日米安保改正でソ連を怒らせるのだから、昭和天皇のお言葉を聞き入れて国内復興に力を入れておけば無駄も省けただろう。
相手の立場を慮る。
相手の気持ちに寄り添う。
こちらが一歩引けば相手も引いてくれる。
それはやさしい日本人にしか通用しない。
理不尽な条件はタダなんだから言うだけ言え。
相手の気持ちなど顔色が変わるまで気にするな。
相手が一歩引いたらその空いたスペースに一歩踏み込め。
世界基準の政治家や老獪な連中はこういった交渉を平然と吹っ掛けてくるのだ。
- おしまい -
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