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東芝への買収提案から見えてくること:CVCキャピタル V.S. エフィッシモ
こちらの記事でも取り上げました、臨時株主総会の結果で株主側の要求を呑むことになった東芝ですが、ここにきてまた大きな動きがありました。
なんと、英CVCキャピタルからの買収提案です。
(ブルームバーグ): 東芝は7日、英投資会社のCVCキャピタル・パートナーズから買収に関する初期提案を6日に受領したことを明らかにした。事情に詳しい関係者によると東芝は7日に取締役会を開き、CVCの提案などについて協議する方針だ。東芝は7日朝の声明で、CVCから買収の打診はこれまで受けておらず、今後詳細情報を求めて慎重に検討し、開示すべき事項が発生した場合は速やかに公表するとした。
現在の社長の車谷さんはCVCキャピタル・パートナーズ日本法人の日本法人会長兼共同代表でもあります。
つまり今回の買収提案は、おそらく車谷社長を通じてCVCキャピタルから提案があったもの、と考えてよいでしょう。
そもそも3月18日の臨時株主総会では、東芝は株主提案を受け入れる形になり、これから調査が始まる、という矢先での買収提案です。
このことから2つのことが考えられます。
(1)一度株主提案が受けいられらたことで非上場化しなければ自社にとっての意思決定が遅くなる可能性がある、ということ。
(2)また今後始まるであろう第三者委員会の調査の内容によっては車谷社長の解任という形もあり得ること、
これらの要因が今回の買収提案の裏側にはあるのではないでしょうか。
これらは憶測の域は出ません。
ただ、CVCキャピタル・パートナーズ出身の車谷社長とすると、自分たち主導で再建が進められているところに、別の株主提案により横やりを入れられたということは大変不都合である、と感じたのは間違いないでしょう。
株主は、ペイアウト(配当+株値上がり益)を得ることを目的にしています(時に自社株買いによるリターンもあります)。
ペイアウトの受け方も、配当(インカムゲイン)か、株価の値上がり益(キャピタルゲイン)のどちらを主に考えるかによって変わってきます。
今回の件でCVCキャピタルは東芝の経営にも深入りすることになります。同ファンドは、最終的には高い価格で株式を売ろう、つまりキャピタルゲイン狙いでの活動をしていると推測されます。出口とすると再建して、再上場でリターンを得るというコースになるのではないでしょうか。
今回の臨時株主総会で株主提案を行ったエフィッシモは2020年7月でも対立しています。これはエフィッシモの関係者の社外取締役を入れようとするものでした。この提案は否決されましたが、賛成率は57%と薄氷の勝利であったようです。
車谷社長とすれば、自分たち主導で進めている再建策に対して今後も横やりを入れられるリスクがある、と考えれば一層買収して上場廃止にしてしまえ、という意思決定に流れるのがある意味納得のいくところです。
ただし、CVCキャピタルは有価証券報告書を見たところ大量の株式を持っているわけではありません。エフィッシモは2020年3月期の有価証券報告書によると15.36%の株式を保有しているようですから、こちらの方が大株主です。これだけの大株主ですからエフィッシモが自社に繋がりのある社外取締役を入れようとするのも分かります。
車谷社長はCVCキャピタルの関係者でもありますので、今回の買収は利益相反の関係で問題ないのか、という点は少し気になるところですね。
さて、この買収が成立するかどうかですが、エフィッシモが応じるかどうかでしょう。エフィッシモの立場からすれば、リターンを回収できれば良いわけですから、条件次第で応じるのではないかと思います。
ただ、TOB価格が低い場合は応じない、という可能性もありますので、この点が注目です。
一方で外資規制の関係で審査もありますが、おそらく十分に根回しされた上で今回の件は開示されていると推測されていますので、おそらく承認されるのではないか、と推測されています。
さて、今回の買収提案を受けて、エフィッシモがどのように動くのか。その動きに注目ですね。