バランスシートの理解の仕方:繰延資産の考え方
資産側は、現金化されるものがある、という理解でとりあえずはいいと思います。
例外はつきものです。
例えば、繰延資産のように資金性があるの?という項目もあります。
キャッシュ化できるかどうか?
ここは非常に大きな分かれ目と思います。
企業は保有ししてる資産を通じて収益、つまりキャッシュを獲得しなければならない。
流動資産は1年以内、企業の営業循環の中で現金化されていきますが、固定資産は利用されることを通じて現金化されていきます。使われることで摩耗する、価値の減少が減価償却費という形で計上されている、とひとまず捉えておく、そんなところでしょうか。
ところが、繰延資産、つまりかかった費用が繰り延べられているだけ、次期以降に回されているだけ、という項目もあります。
株式交付費などの一部の費用科目については次期以降に繰り延べることも出来ます。
繰延資産は計上している企業は少なくなっています。資産の繰延効果は、費用を一括して計上しないことで、期間損益計算を適正にするということが建前としてありますが、本音は一括して費用を計上することで収益が悪化することを防ぐ、という目的が強いです。
費用を平準化できれば、自然と利益を押し下げることもなくなりますので、費用の繰延べ、つまり繰延資産というのは一時期使われていた資産項目でした。
しかしながら、繰延資産として計上することがあまり会計慣行として奨励されなくなった(これは国際会計の影響もあります)こと、また額がそれほどでもないこうした費用をわざわざ繰り延べることが手間であること、などの理由から資産の繰延という会計選択は取られなくなりました。
その辺りの経緯はこの辺りが詳しいですね。
株式交付費の項目を抜き出してみましょう(3 会計処理 (1) 株式交付費の会計処理)
株式交付費(新株の発行又は自己株式の処分に係る費用)は、原則として、支出時に費用(営業外費用)として処理する。ただし、企業規模の拡大のためにする資金調達などの財務活動(組織再編の対価として株式を交付する場合を含む。)に係る株式交付費については、繰延資産に計上することができる。
つまり原則としては支出時に費用処理で、例外として繰延資産となっているわけですね。
もちろん、例外の処理を行うことも出来ますが、例外の処理を選択すると企業としても説明しなければならなくなりますし、面倒だから繰延資産として計上しない!となるのは自然ななりゆきな気がしますね。