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日産の再生、復活はあるのか?:第3四半期分析

さて前回のトヨタに引き続き、自動車産業シリーズということで、今度は日産について分析を行っていこうと思います。

日産は業績予想を修正しています。


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当社は、昨年 11 月に今年度の年間販売台数を 416 万 5 千台と発表しましたが、その後も世界中で新型コロナウィルス感染は拡大し続け、日本においても感染者数が大幅に増加し、緊急事態宣言が発令されるに至りました。それに加え、自動車業界は世界的な半導体不足という課題に直面し、ニーズに見合う生産を行うことが困難な状況となっています。これらを勘案し、当社は今年度の販売台数の見通しを 3.6%下方修正し、401 万 5 千台といたしました。販売台数の減少により、今年度の売上高は前回見通しから 3.0%減の 7 兆 7,000 億円と予想しています

前回のトヨタが黒字を確保し、それほど大幅なマイナスにならなかったのに対して大幅な赤字(5~6千億円規模)が予想されています。

ただ、営業損失については2,000億円(前回発表3400億円)、当期純損失については5,300億円(前回発表6,150億円)と赤字幅は減少しています。

これについては以下のように記述されています。

営業損失は、第 3 四半期までの実績と、販売の質の向上、モノづくり、固定費等のコストの最適化による事業構造改革「Nissan NEXT」の進捗を反映し、前回の見通しから 1,350 億円改善した 2,050 億円となる見込みです。

Nissan Nextとは何でしょうか?こちらは2019年度、つまり2020年3月期の時に発表された事業構造計画の方向性、考え方です。

色々な言い方はありますが、簡単にいえば、リストラクチャリングですね。


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自動車製造は固定費の塊です。

そのため、その生産拠点を集約化することや商品ラインナップを整理することで、固定費の低減は可能になります。この辺りが功を奏して、赤字幅を減少出来る算段、見込みが付いたことが示されました。

日産

ただし、第3四半期の結果だけをみれば相当厳しい感じがします。売上高29.2%減で、営業損失を約1,300億円計上しています。

さて、今回の業績不振でどの程度財務内容が悪化しているでしょうか。

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こちら有利子負債比率を求めてみると、財務状況が悪化していることが分かります。

2020年3月期時点 長期有利負債比率  77%  有利子負債比率 116%

⇒2021年第3四半期 長期有利子負債比率174% 有利負債比率202%

100%近く上がっています。特に長期有利子負債が上昇していることは今後の財務についてもマイナス材料でしょう。

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投資活動CFで見てみるとかなり新規の投資を抑え、キャッシュの確保に努めていることが分かります。なお、営業損失が出ているからといって、営業活動CFはマイナスではなく、この3四半期において昨年度の同時期と比べてプラスになっています。この辺りはまだ調査をしてみなければならないようですが、棚卸資産や販売金融債権などの増減が影響しているようです。ただし、キャッシュの認識のタイミングともいえ、営業損失であることがキャッシュに与える影響がないわけではないでしょう。

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財務活動CFをみると長期借入金1.7兆円、社債発行1.1兆円がプラスになっています。この3四半期で1.1兆円の短期借入金がマイナスになっていますので、短期から長期への借り換えが進んでいることも分かります。

現金保有の残高が1.4兆円から2.2兆円になっていますので、資金確保十分にしており、短期の資金繰りがショートして倒産ということはなさそうです。

ただ、有利子負債が多いので、膨れ上がった負債を返済するために新たに借り入れ、社債の発行を行う、という循環になっています。結果として財務内容が悪化しています。そのことは有利子負債比率が跳ね上がったことからも明らかです。

日産が生き残ることが出来るのでしょうか?

まだ分かりません。ただ、現状、財務が悪化しており、継続的なリストラクチャリングが避けられない状況です。

その結果として、ブランド価値が低下し、自動車販売そのものにも影響するようですとますます悪循環に陥る可能性があります。

となると、来年度、つまり2022年3月期こそが日産にとって勝負の時、ということができるでしょう。

ルノーも巨額の赤字を計上しています。日産・ルノー連合は自動車の連携における成功事例とも言われていました。

このまま悪循環に陥っていくのか。それとも再び浮上するのか。

日産だけでなくルノーの分析もしてみたいと思います。

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