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5.5 外部委託の管理を難しくするもうひとつの観点

 Web構築の一部を外部委託する際の注意すべき点をみてきました。外部委託することと自社内メンバで業務を遂行することの違いは、下記のふたつです。

a.     よく知っているメンバで業務を遂行するかよく知らない相手と業務を遂行するか
b.     自社チーム内でカバーし合う業務のひとつか独立した案件として契約を含め管理される業務か
 
第五章のこれまでの節でみてきたのはa. の観点での難しさ/注意点ですが、外部委託する場合には、その委託先の会社との間で、請負契約であれば
・要件を満たすシステムを
・納品日までに納品する
・その対価して発注金額を支払う
という約束を正式な書面に残す形態で締結することになります。
 
自社内メンバで業務を遂行する場合には、当初メンバでは能力/期限を満たすことが難しいことが判明した場合には、ほかのメンバがサポートに入るようなこともあるかと思います。また、そのようなメンバサポート/体制強化についても、自社内のマネージャーレベルの判断で調整が行われます。そのためにある程度のリソースについては調整可能なように組織人員に余裕をもたせて運用されていることが多いかと思います。
 一方で、外部委託を行っている場合には、発注時に正式な書面等で約束した要件、納品日、発注金額 (= 構成メンバの人数・稼働日数) に変更を加える場合には、会社間での契約変更・調整が必要となります。そのために案件ディレクタが外部委託先との見積もり/発注まで対応する場合には、自社内メンバで業務を遂行するよりもディレクタにとって難易度が高くなる面があります。
 案件ディレクタは、外部委託先の能力、外部委託先の能力について把握できている程度に従って、納品日スケジュール・発注金額 (= 構成メンバの人数・稼働日数)について、ある程度の余裕をもたせて運用をすることまで求められます。これまで何度も同様の案件を委託してきた、よくわかっている外部委託先であれば余裕をもたせる必要もあまりありませんが、はじめて委託する外部委託先などの場合には、顧客に約束しているスケジュール、顧客からの受注金額と、それに対応した外部委託先とのスケジュールや発注金額との間に必要十分なマージンをもたせることが必要となります。


Webディレクタとして次のステップをさがしている方たちへ

これからのWeb構築・Webディレクションとして、業務にまで踏み込んでディレクション/プロデュースすること、それが近年のバズワードであるDXにもつながること、そしてWebの進化とともにWeb構築の各種ツール/サービスやSaaSが広がってきていることにしたがって、業務とシステムの両面からWeb構築・運用していく人間が求められていくこと、そのためにどのような知識や能力を身に着けていくとよいかについて解説している「マガジン」です。