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9.4 テスト会社を利用したテスト打鍵

 株式会社SHIFTという会社をご存じでしょうか。SHIFTは2005年設立のまだ設立から20年に満たないソフトウェアの品質保証を手掛けている会社ですが、上場後も業績が右肩あがりの絶好調のテスト会社です。SHIFTのほかにもテスト打鍵を請け負う会社は以前から多数ありますし、システム開発会社あるいは保守/運用系のベンダーでは依頼されればテスト打鍵も行うところは珍しくありません。大規模なシステム開発でテストケース数も大きな数となる場合にはテスト打鍵に人手が必要となりますので、そのような場合にはテスト会社にテスト打鍵を委託するのは必要となる場面もあるわけですが、外部にテスト打鍵を委託する場合には、内部の関係者で打鍵しているときとは同じようにはいかない面もあるので注意が必要です。

株式会社SHIFT

a. 外部にテスト打鍵を委託する場合に必要となる作業
 テスト打鍵は、ケース数が限定されていて関係者で対応することが可能であれば、開発メンバ内で対応するのが効率がよいのですが、以下のような理由からとなります。
 
・テスト対象のシステムの使用方法を把握している
ある画面/状態にした上で、所定の操作を行うケースについて、前提条件としての所定の画面/状態にすることや、指定の操作を行うことが、簡潔なテストケースへの指示/記載で、打鍵者が理解することが可能
 
・テスト対象の既存機能の仕様を把握している
既存機能の仕様からいって、このような状態でこのような操作をしたら、このような結果となるのか当然なのか、おかしいと思われるのか判断できる
 
・検証対象の新機能の要件や仕様を一部にしても把握している
 
・テスト打鍵の実施結果の記録/エビデンス等のルールを把握している
 
外部にテスト打鍵を委託する場合に、テスト会社に委託すれば、一般的なシステムのテスト時の注意事項などは踏まえてくれますが、当該システムについては知りませんので、上述のような各種情報をテスト会社側でまずは把握する必要があります。一般的には、対象システムの概要や検証対象の新機能の設計書などのドキュメントの共有を求められるとともに、テストケースとテスト打鍵する開発環境へのアクセス手段の提供を受けた後に、質問事項をリストアップして依頼元に回答を求めてくることになります。
また、特に当該システムに対しての初回のテスト打鍵の場合には、テスト打鍵を始めた後にも、このような事象となったが、それは期待しない事象で不具合なのか、不具合ではないかの確認を何回も求められることは珍しくありません。
 
 テスト会社に委託する場合でも、継続して何度も案件のテスト打鍵を依頼する関係であれば、テスト会社の担当者も継続して担当してくれ、内部の開発メンバと同等の把握ができた状態にしていくことは可能です。ただし、そのように継続して何度もテスト打鍵する業務が発生することが予定されているのであれば、内部にメンバを確保するという対応もできる面がありますので、テスト会社に委託するか内部にメンバを確保するのか、どちらがよいかは一概にはいえない面があります。
不定期にテスト打鍵の大きな工数が発生するので、その不定期な業務発生タイミングに外部にテスト打鍵を委託するという場合は、当該システムのことを把握していないテスト会社の人間に対しての説明や問い合わせに対応する内部メンバの工数は見込む必要があるので注意ください。


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