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1.1 これまでのWebサイトやスマホのアプリの構築プロセス

Webディレクタ/プロデューサという役割の人間の仕事としては、画面のUI設計を行い、デザイン・htmlコーディングの指示を行うとともに、スケジュール管理を行い動作検証/テストを行うというイメージが強くないでしょうか。

Webサイト設計プロセス

Webサイトの問い合わせフォームや検索ASPの導入、あるいはAPIのI/F仕様などのシステム面の話をすることもある程度はあるとは思いますが、
設計したりディレクションする対象としては、
主に「情報」を取扱い、Webサイトやアプリでのユーザとのコミュニケーションを取り扱っている面が強いと思います。
CMSを利用したり、ECサイトを構築する場合でも、CMSあるいはEC構築用のパッケージソフトウェアとして何を使用するのかを「選定」してしまえば、つまりシステムを規定してしまえば、その後の作業としては、情報・コミュニケーションを取り扱っている面が強いと思います。

スマホのアプリなどでも、サーバとの間のAPIのI/Fが規定されてしまえば (サーバ側は開発会社が担当していれば)、アプリの仕様としては各画面の画面設計とともに、各画面要素がAPIレスポンスのどの項目と対応づいているかを規定し、ボタンをタップするなどのアクションを行ったときに、APIのリクエストにどの画面要素の値を設定してAPIを呼べばよいか規定すればよいので、APIの各項目と画面要素の対応関係は規定する作業が増えるだけで、Webサイトでの作業と大きくは変わりません。

スマホのアプリの画面要素の規定


情報やユーザとのコミュニケーションを取り扱う面が強いがために、
前提としてのビジネスゴールやターゲットユーザ像・ユーザニーズなどをもとに、まずはどのようなWebサイトを作るのかというサイトコンセプトを明確にした上で、情報設計あるいは場合によってはコンテンツの設計から始めて、画面上のナビゲーション設計やUI設計、ユーザ体験の設計をきちんと行うことが、「Web」を作るプロセスの特徴といえると思います。

一方で、開発会社・Sierなどが、Webなど存在しない頃から行ってきたシステム開発においては、要件定義から始まり、システム設計・データベース設計など行うとともに、画面定義を行った上で、プログラム開発・実装からテストを行うという基本的なプロセス・手順があります。

システム設計プロセス

前述のWebサイト構築のプロセスは、画面が多数あり、さまざまな情報を掲載する企業のホームページや製品ブランドサイトなど、主たる目的が多数のユーザとのコミュニケーション/マーケティングであるシステムを対象とする場合で、Webサイトを実現する基盤となるシステム環境としてApacheのようなWebサーバミドルウェアを導入することを前提にした場合のプロセスのため、システム設計とシステム開発は基本的になく、その代わりに要件定義プロセスを精緻化したものが前述のWebサイト構築プロセスととらえることができます。

最近多くなっているのが、Web/ネットの進化にともない、Webサイトやスマホのアプリで取り扱うのがマーケティング/コミュニケーションに限らず、経理や営業などの「企業の各種業務」にも拡大しつつあることと、システム実現方法としてCMSやMA (Marketing Automation) 、SaaS (Service as a Service) などの出来合いのシステムあるいはサービスを利用することです。またそれらの出来合いのシステム/サービスを単に利用するだけでなく、システム開発と組み合わせたり、複数のサービスを組み合わせて利用することも増えてきています。さまざまな業務を各種出来合いのシステムやサービスを組み合わせつつ、システム開発も含めて目的とする業務を実現することが求められることが増えています。最近の「このようなトレンド」について次にネットの草創期となる90年度後半からどのように進化してきたか振り返りつつ確認したいと思います。

Webディレクタとして次のステップをさがしている方たちへ

これからのWeb構築・Webディレクションとして、業務にまで踏み込んでディレクション/プロデュースすること、それが近年のバズワードであるDXにもつながること、そしてWebの進化とともにWeb構築の各種ツール/サービスやSaaSが広がってきていることにしたがって、業務とシステムの両面からWeb構築・運用していく人間が求められていくこと、そのためにどのような知識や能力を身に着けていくとよいかについて解説している「マガジン」です。