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看護師国家試験  疾病の成り立ちと基本的な病変 5

消化・吸収・代謝機能(肝臓・胆嚢・膵臓)の障害

1.肝硬変

長期にわたる肝細胞壊死により線維化と実質細胞の再生が生じ、肝臓全体に結節が形成された状態で、残った肝細胞により肝機能が代償されている場合を代償性肝硬変、機能不全に陥ったものを非代償性肝硬変という。
C型肝炎ウイルスによるものが最も多く、次いでB型肝炎ウイルス性、アルコール性、などがあり、自覚的には無症状から易疲労感、性欲減退までさまざまである。
非代償期になると浮腫、腹水、出血傾向、黄疸、羽ばたき振戦、意識障害(肝性脳症)などの肝不全症状を呈し、クモ状血管腫、手掌紅斑、エストロゲン不活化作用の低下による女性化乳房、精巣萎縮などがみられる。
バランスのとれた食事と禁酒を指導し、非代償期にはそれぞれの症状に応じた対症的治療を行うが、三大死因は肝不全、食道静脈瘤の破裂、肝細胞癌で、門脈圧亢進による食道静脈瘤の破裂に注意し、肝細胞癌の早期診断のために、血中腫瘍マーカー検査や超音波検査を定期的に行うことが重要である。

2.肝臓癌

肝細胞癌は肝細胞から発生する癌で、大部分は慢性肝障害、特に肝硬変を発生母地とし、慢性肝障害の原因として最も多いのはC型ウイルス性肝炎である。
肝細胞癌は肝硬変が発生母地であるため、肝硬変患者にはAFPやPIVKA-Ⅱなどの腫瘍マーカーと画像診断を用いたスクリーニングが重要である。
治療は外科的切除が最も根治的であるが、経皮的ラジオ波焼灼法(RFA)は外科的切除と同程度の根治率を有し、それ以外の治療法には、経皮的エタノール注入療法(PEIT)、経皮的酢酸注入療法(PAIT)、マイクロウェーブ凝固療法(MCT)がある。
進行例にはカテーテルを留置した持続的な抗癌剤投与、インターフェロンと抗癌剤の併用投与、放射線照射もなされる。

3.胆嚢炎

胆嚢に生ずる炎症で、急性胆嚢炎の大部分は胆石による機械的閉塞から無菌的に発症し、細菌感染が続発したもので、胆石仙痛で発症し、悪寒戦慄を伴う発熱を生じ、右季肋部に持続性疼痛と圧痛、筋性防御を認める。
急性胆嚢炎では絶飲食とし、十分な輸液管理の下、抗生物質を投与し、適宣、鎮痙薬や鎮痛薬を投与しつつ、高度に緊満した胆嚢に対しては経皮的経肝的胆嚢穿刺吸引や持続的ドレナージなどの減圧処置を行う。
慢性胆嚢炎の診断名は、超音波検査により胆嚢壁に肥厚を認めた場合に臨床的に頻用されるが、病理学的な裏づけなしに用いられることが多く、右季肋部の軽度の圧痛や不快感などを訴えるのみで症状は軽い。
慢性胆嚢炎には内科的治療が主で、胆嚢穿孔などの危険性があるときには胆嚢摘出術を行う。

4.胆管炎

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