補助線の引き方と謎の空白(2018・渋谷教育学園幕張中学校・算数)

たまには真面目に算数・数学の話をします。
「どうやったらその補助線を引こうと思うのか?」
図形問題が得意な人は、たくさんの問題を解いてきた経験から
「…このへんにこの線ひくとよくね?」
と何気なく線を引きます。
よく授業でアドバイスしていることのひとつに
「補助線は引きすぎないこと」
というのがあります。必要最低限の線を引く。
補助線は引きすぎると補助になりません。
よけいに図形が見づらくなるだけです。
その「描きすぎた図」は消さずに、また別の図を描いてみましょう。

…ここに挙げた問題は、高校数学で出てくる「余弦定理」を用いれば
計算で求められます。
でも、絵を描くだけで解けるようにも作られています。
この場合はどこに補助線を引けばいいのか。
この出題者は親切です。問題用紙に重大なヒントを入れてくれています。
「なぜこの図は上のほうに余白があるのか?」
「なんでこの三角形を下のほうに寄せる必要があるのか?」
そこに気づけば、引くべき補助線が見えてきます。

【解答】

図のように、△ABCと合同な△QPB、△RCPを描く。
△PBCは1辺7cmの正三角形、△ARQは1辺2cmの正三角形。
△PBCの面積と△ARQの面積比は 49 : 4 なので、
与えられた△ABCの面積はこの比に沿って考えて
(49 - 4) ÷ 3 = 15
となる。よって求める面積比の値は
15 / 49 (倍)…(答)

※「手慣れてる」人ならば
「3辺の比が 3 : 5 : 7 の三角形の最大角が120°」
ということからすぐに答が見えてくるかもしれませんが。

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