無職PMの転職活動記録 〜体調不良から無職、見つけたやりたいこと・得た自信〜
最近「無職PM」で認知獲得をしている植木 (@uekiyuta1991) と申します。
いつも「転職活動どうですか?」と気にかけてくださったり、「無職!」と親しみを込めてイジってくださる皆さま、ありがとうございます。
本記事はプロダクトマネージャー Advent Calendar2024の13日目の記事です。
前日はYuta Kaneharaさんによる「トランスフォーメーションのストーリー: 丸井グループ」という記事でした。
丸井グループとGoodpatchのジョイントベンチャーであるMutureの事例を、最近話題のTRANSFORMEDの内容になぞってまとめられており、非常に読み応えのある記事となっておりました。
今回は「体調不良で休職後に退職、無職で転職活動をした無職PM」が無職期間の転職活動を経て得た知見について共有できたらと思います。
PMに限らず適用できる部分もあるかと思いますので、ピンと来るキーワードがあれば是非ご一読ください。
転職活動を始めて得た自信・やりたいことの見つけ方
やりたいことに向かって転職軸を定める、転職の思考法
無職で転職活動 VS 在職中に転職活動、無職のオススメポイント
自己紹介(前提としてお伝えしておくべきこと)
元エンジニアのPM。33歳。
社会人 8年目、PM歴4年くらい、次の会社で4社目。
趣味は仕事、コミュニティ活動。プロダクトマネージャーカンファレンス、プロダクト筋トレでそれぞれ運営に関わらせていただいています。
前職在籍中に体調を崩し適応障害(いわゆる「うつ病」)と診断され、休職の後に退職。無職になってからコミュニティ活動や勉強会参加でリハビリしつつ、転職活動をしていました。
結論
長文になるので、先に結論ベースで目次を作成しています。内容を読んだ上で、より具体の話を知りたい方は、詳細な内容まで読んでいただけると幸いです。
1. 転職活動を始めて得た自信・やりたいことの見つけ方
リファラル・ダイレクトリクルーティングで約30社カジュアル面談のお誘いをいただき、勝手に自信を得る。
今回、退職にあたってFacebookやXで退職投稿をしましたところ、リファラルでカジュアル面談のお誘いを多数いただきました。
また、今回初めてXでダイレクトスカウトのメッセージを複数いただくことがあり、素直に驚きました。
リファラルに関しては、学生インターン時代にお世話になった方から、新卒時代の同期・人事の方々、過去の在籍企業でパートナーとしてプロダクト開発をご支援いただいた方々、直近で関わっているコミュニティでご一緒させていただいている方々等、様々な方面からご連絡いただきました。
仕事をご一緒した方もいれば、仕事ほど深い関わりではないですが、そんな中でも少しでも「一緒に働いてみたい」と思っていただけていたのだと思い、素直に嬉しいなとポジティブに受け取っています。
また、ダイレクトスカウトについては、前職に転職した2年前は、在職しながら転職活動をしており、転職活動していることを公にしていなかったことから外から分かる状態ではなかったため前提条件が違うとは思います。
しかし、「コミュニティでよくお見かけしていたので」とスカウトメッセージやカジュアル面談の際に伝えてくださる方が一定数いらっしゃり、自分なりに頑張っていた活動を認知してくださっている方が一定数いらっしゃるんだなと嬉しかったのを覚えています。
カジュアル面談を約1.5ヶ月で約40社実施。世の中は面白いプロダクトで満ちている。転職の軸が定まらない。
前述の通りたくさんのお誘いをいただきつつ、合わせて私が個人的に絶大な信頼を寄せているクライス&カンパニーの松永さんにも、キャリア相談も兼ねて求人のご紹介をお願いしました。
私がクライスさんに絶大な信頼を寄せている理由は以下のインタビュー記事にまとめていただいているので、良ければご一読ください。
また、今回新たにサーチ型エージェントの方からスカウトもいくつかいただき、求人をご紹介いただきました。
結果的に、カジュアル面談のお誘いは各チャネル毎に以下のような内訳で30〜40社のお時間をいただきました。お時間をいただいた皆さま、ありがとうございました。
リファラル:25/25社
クライス&カンパニー: (個社で記載は良くないと思い割愛)
サーチ型エージェント:2/4社 (2社 書類選考見送り)
ダイレクトリクルーティング:5/13社 (8社 こちらから辞退)
40社弱の企業とカジュアル面談させてもらった結果、「どのプロダクトも面白そう、全部やりたい」というのが当時の素直な感想でした。
世の中には面白いプロダクトが溢れています。今回のカジュアル面談を通して「こんな市場があるのか」と好奇心を刺激されたことがすごく印象に残っています。
とはいえ、この40社全て面接を受けるのは流石に無理があります。どうしましょう?
知人PMに転職相談。価値観の違いから自身の特性を理解。将来やりたいことが初めて見つける。
こんな時は1人で考え込まず、誰かと会話してみるのが良いですね。
私はコミュニティで相談してみることにしました。特に仲良くしてくださっている方に時間をいただいたり、ちょうど転職活動されている方々にお声掛けして情報交換をしてみることにしました。
情報交換をする中で、あるPMの方とお話していて明らかに違う価値観の発見がありました。
その方は私が転職活動を始める少し前に転職をされた方だったのですが、私が悩んでいた「どのプロダクトも面白そうで悩んでいる」ことに対して「逆に面白そうなプロダクトが少なすぎて転職先を探すのに困った」というお話をしていただきました。
また、尊敬する先輩PMのお一人とお食事をご一緒させていただいた際に、「『自分がこの業界を変えてやるんだ』と思えるくらい圧倒的な当事者意識を持てるか」という問いをいただきました。
その時は「そこまでの当事者意識を持てるプロダクト・会社には今まで出会ったことがない」というのが素直な感想でした。
この方のお話を聞いた時に「当事者意識って安易に使って良い言葉ではないな」と言葉の重さ・想いの強さを感じたがすごく印象に残っています。
以上から、今の私は「圧倒的な当事者意識を持って課題に向き合える業界はない」が、「良くも悪くも色んな業界・プロダクトに興味が持てるし、色んな業界・プロダクトに関わりたい」という理想を思い描いていることに気が付きました。
この理想をどうすれば実現できるか具体的に考えて言語化してみた結果「同時に10〜20社のプロダクトマネジメントに関わり、プロダクトマネージャー個人・プロダクト・会社・業界の成長に貢献できるようなプロダクトマネージャー/プロダクトコーチ」というのが今時点での中長期の理想状態・やりたいことであると考えるようになりました。
実際、思い返してみるとコミュニティ活動をしているモチベーションも近いものがありました。
過去、1人PMでプロダクトの成長に悩んでいた時、コミュニティに救われて個人の成長はもちろん、プロダクトが成長するきっかけになったことを覚えています。
そういった経験から、同じような悩みを抱えている人に少しでも返していけたらという想いでコミュニティ活動をしています。
無意識のうちに、自分の理想に向けて動き始めていたのかもしれません。
数年後には理想が変わっている可能性はありますが、今回は前述のような中長期での理想状態・やりたいことが実現できるようになるため、転職軸を定めていくことにしました。
2. やりたいことに向かって転職活動を開始、転職の思考法
理想状態の定義と現状把握。
中長期の理想状態として「同時に10〜20社のプロダクトマネジメントに関わり、プロダクトマネージャー個人・プロダクト・会社・業界の成長に貢献できるようなプロダクトマネージャー/プロダクトコーチ」というのが設定できました。
では今この仕事を独立して始めてみたとして、思い描いた価値提供ができそうかと考えた時に、素直に「今の自分では価値提供できるプロダクトの分類が限定的すぎるな」と考えました。
プロダクトマネージャーになりたい人のための本の中で、プロダクトについて4つの軸で分類して紹介されています。
前述のプロダクト分類に照らし合わせて自身の経験を棚卸ししてみると、以下のようになり、ケイパビリティが圧倒的に足りないことが明らかです。
BtoCとBtoB:BtoBのみ
バーティカルとホリゾンタル:バーティカルのみ
プロダクトフェーズ(0→1、1→10、10→100):0→1がほとんど、1→10はほんの少し
国内とグローバル:国内のみ
転職軸を定める。今回の転職で何を得て、何で貢献するか。
理想の状態と現状のギャップが分かったところで、転職軸を定めていきます。
まず何を得るかですが、前述のプロダクト分類から、今回は自身のケイパビリティを広げることを前提に、どこかしらの軸でケイパビリティが広がれば良いと考え、具体的にどこの軸でというのは決めきらずに考えることにしました。
次に何で貢献するかについてですが、これまでの経験(BtoB x バーティカル x 0→1 x 国内)とドメイン知識(製造業・不動産業・バックオフィス・エンジニアリング)から貢献できそうな会社・プロダクトの選考を優先していくことにしました。
すなわち、ケイパビリティが広がらない会社や、貢献できる経験・知識が少なすぎる会社については、一旦選考を保留にさせていただく判断をしました。
具体例で示すと以下のようなイメージです。
選考を保留にさせていただいた例
BtoB x バーティカル x 0→1 x 国内:ケイパビリティが広がらないので保留
BtoC x 1→10/10→100 x グローバル x ドメイン知識もない:貢献できる要素がないため保留
BtoB x ホリゾンタル x 1→10/10→100 x グローバル:貢献できる要素が少ないので保留
選考を進ませてもらった例(貢献できそうな点は太字)
BtoC x 1→10/10→100 x 国内/グローバル x ドメイン知識がある
BtoB x ホリゾンタル x 1→10/10→100 x 国内 x ドメイン知識がある
BtoBtoC x ホリゾンタル/バーティカル x 1→10/10→100 x 国内
結果と学び。やっぱり私のケイパビリティは狭かった。
ファネル的に選考の実施数を表現すると、以下のようになりました。
書類選考/カジュアル面談:44社
内 書類選考で見送り:7社
1次面接:12社
2次面接:8社(4社見送り)
最終面接:7社(1社見送り)
内定:2社(4社見送り、1社辞退)
個人的には 1. 書類選考での見送り件数が想定より多かったこと、2. 最終面接での見送りが多かったことが印象的でした。
特に、最終面接での見送り理由として「0→1におけるスモールチームの経験が多く、より大きな規模のチームで活躍できるイメージが湧かない」といったフィードバックを1→10フェーズ以降の企業様から複数いただいたのが印象的でした。
全て自分で選んだ訳ではないのですが、前職・前々職とたまたま0→1を担当する機会が続き、その後の1→10を経験できずにいたこともあり、面接の中でも成果として説明できることは確かに0→1に偏っていました。
そんなこともあり、中長期でありたい姿を考えた時に「プロダクトフェーズを広く経験していることの重要性」を強く感じ、最終的にこの軸の経験を積みたいと強く考え、内定承諾をさせていただきました。
3. 無職で転職活動 VS 在職中に転職活動、無職生活のポイント
お金:傷病手当金で生活。そのための社会保険・健康保険。誰もが体調は崩し得る、無理せず社会制度に助けてもらおう。
先日とある方に「半年近く無職で、お金どうしているの?」と聞かれることがあったので、その回答となります。
まずは、もともとNISAにいくらか積み立てていたので、その株を売却して現金化したりすることで繋いでいました。
一定額、投資して使えるお金がある状態にしておくのも大事ですね。
あと、私は前述の通り体調を崩して適応障害(うつ病)と診断されたので、休職期間から「傷病手当金」というものを支給いただいていました。
つまり「無職ではあるが、無給ではない」ということです。
本来働いていた場合よりも手取りは減りますが、それでも最低限生活するには十分な金額を支給いただけて、なんとか無職で体調回復に努めつつ転職活動をすることができました。
ご存知ない方も少なくないと思うので、以下に適応障害の代表的な症状を列挙しておきますので、心当たりのある方は無理せず一度お近くの心療内科・メンタルクリニックへの受診をオススメします。
身体症状:不眠、食欲不振、吐き気、動悸、息苦しさ、めまい、耳鳴り、頭痛、倦怠感、腰背部痛、腹痛、下痢、起床困難など
精神症状:不安、抑うつ気分、イライラ感、神経過敏、絶望感、涙もろさ、興味・喜びの喪失、マイナス思考、自責的な考え方など
行動面の障害:対人関係への過敏性・攻撃性、気力低下、思考力・集中力低下などが表れ、職場不適応や登校拒否など
私の場合、2024年5月から休職に入り療養していたのですが、会社の就業規則で定められていた休職の期限が迫ったタイミングで、担当医師から「体調は回復しつつあるが、労務をするにはもう少し療養が必要」と診断されたため、同年7月末をもって退職し、無職となりました。
傷病手当金の支給条件は基本的に以下のサイトに掲載されている内容となりますので、ご参考まで。
念の為言及しておくと、体調不良の要因はパワハラとかそういうのではないです。
今でも前職のことは応援していますし、一部の方とは退職後にお食事もご一緒させていただきました。
また、参加したイベントで前職の同僚が登壇したりしていたら、勝手にXで応援・実況ポストしたりしています。
今回自身が当事者となって分かったことですが、適応障害は誰もがなり得る精神疾患で、メンタルが強い・弱いといった単純な話ではありません。
誰もが思考のクセや偏りを多かれ少なかれ持っており、いつ、どんなイベントをきっかけに体調を崩すきっかけになるかは分からないものです。
時には一時的に踏ん張らないといけない時もあるかもしれませんが、長く楽しく健康的に働き続けるためにも、自分のことを大事にしてください。
このあたりは「アンガーマネジメント」や「認知行動療法」といったキーワードで具体的な改善方法が世の中に出回っていたりもするので、興味のある方は調べてみてください。
時間:無職だと腰を据えて思考できる。仕事をしていて忙しかったら参加していなかったであろうコミュニティや勉強会、イベントにも参加できてリフレッシュもできた。
これは言わずもがなかと思いますが、本当に時間があります。
なので前述のように、今回の転職活動では自分の特性理解、本当にやりたいことが何なのか、考えきれる限り考え抜いて結論を出すことができたと考えています。
また、主治医からの指示で「リハビリも兼ねて勉強会とかは行っても大丈夫だし、むしろ何もしないよりその方が良いので推奨」と言っていただけたので、積極的に参加しました。
特に印象的だったのはDesignShipに初参加してデザイナーの思考を少し除けたこと、プロダクト筋トレやpmconf 2024の運営に深く関われたことでしょうか(もちろん他の勉強会でもたくさん学ばせていただいております、主催者・登壇者のみなさまいつもありがとうございます!)。
ただ、休職した始めの頃は本当に体調が悪かったので、体調不良の方は療養第一に全力で休みましょう。
私の場合、前述した症状例の中でも特に不眠、動悸、倦怠感、腰背部痛、起床困難、不安、抑うつ気分、絶望感、涙もろさ、興味・喜びの喪失、マイナス思考、自責的な考え方、気力低下、思考力・集中力低下といった症状が同時並行で発生していた時期がありました。
いま思い返すと、よくあの状態で働いていたなと思います。
その他:いくつか必要な手続きが続くので、忘れないように。
無職になると、退職後速やかにやらないといけないことがいくつか発生するので注意が必要です。
例えば、会社で加入していた社会保険から健康保険への切り替え、年金の切り替え、住民税の支払いや、確定申告がおそらく必須になるはずです。
また、私の場合は傷病手当金の申請も自分でやらないといけないですし、人によっては失業保険の受給に関する手続きをしないといけない方もいらっしゃると思います。
また、私の個人的なやらかしなのですが、健康保険への切り替え前に体調を崩して病院に行く機会があり、その返金手続きなども発生することがありました。
これ地味に厄介で、返金手続きが翌月に跨ると、役所を経由して申請せねばならくなり、領収書以外にも資料を病院や薬局に請求して発行してもらうなどせねばならず、意外と手間でした。
やっぱり健康が一番ですね。
以上、無職PMによる転職活動記録でした。
気がつけば9,000文字を超える記事になってしまいました。
転職活動中の方、転職を考えられている方、体調を崩されている方などの参考になれば嬉しいです。
実は個人では初noteです(コミュニティではnote書いたりしています)。
来年は世の中のためになりそうな知見を定期的にアウトプットしていきます。
おまけ
最後に少しだけ、有料記事としてコンテンツを書かせていただきました。
転職活動をする中で感じた求職者視点でのトレンド、採用側に回った時に「これはマネしたい」「これは反面教師として気をつけないといけない」と感じたことがあったので、おまけとしていくらか書かせていただきます。
あと前段で言及していない「書類選考の見送り理由」などについても触れます。
転職活動中の方、採用担当の方、エージェントの方にもいくらか参考になるのではと考えております。
SNSでご質問などいただけたら、回答させていただいた上で、その内容も追記していこうと考えています。
もし良ければ、転職祝いの投げ銭として、よろしくお願いいたします!
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