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【ロック】2025年のブラー対オアシス

ブラー派?オアシス派?

「アタシ、オアシスよりもブラーの方が好きかもしれない…」
2025年2月某日。
有楽町にて、ブラーの映画、2本立て続けに観たあと、同行してくれたパートーナーのコメントである。
パートナーとは、今年(2025年)オアシスのライブへ行く予定。
「今年は、オアシス再結成の年」
そう位置づけて、再発レコードとか、ストリーミングのプレイリストもオアシス一色に…。
ところが、このタイミングで、ライバルの英国バンド、「ブラー」の映画が公開されることに…。
ドキュメンタリー編の「TO THE END」。
ライブ編の「LIVE AT WEMBLEY」 。
奇しくも、2025年に再勃発した「ブラー対オアシス」
そんな対決も、ロックファンの私にとっては「嬉しい誤算」であった。

1.老いる「ブラー」の潔さ

なによりも、ブラーの2本の映画が素晴らしい。
フロントマンのデーモンの家にメンバーが再結集して、レコーディングとリハーサル。そして、来たるべきウェンブリーのライブまでの4人を追いかけたドキュメンタリーの「TO THE END」。
この作品が素晴らしい。
ヒザが痛いだの、足をくじいただの、メンバーの「老い」は隠せない。
でも、無理して決して若作りをしない。
等身大の「老いていく」自分たちを受け入れる。
苦楽を共にした「仲間」とのひととき。
デーモン、グレアム、アレックス、デイヴ。
誰ひとりとして欠けることなく、末永く続く友情物語。
何気ない言葉や仕草に「やっぱり仲間っていいな」と思わせる。
ブラーのドキュメンタリー映画をみていると、いつの間にか、熱い思いが込み上げてきた。
「こんな老いぼれをいつまでも好きだといてくれて感謝」
そんな自嘲気味のデーモンの言葉の重みをかみしめる。
そう、私もブラーと共に、年を重ねてきた。
ちょうど私は50代半ば。
年齢的に言えば、ブラーやオアシスのメンバーと同じ頃。
音楽的思考もファッションも、(そして、いまでは、太り気味の体形も…)
まるで、他人ごととは思えない。
4人揃って、ロック業界のスーパースターの地位にとどまっているわけではない。
ベーシストのアレックスは、「チーズ商人」として成功をおさめた。
ドラムスのデイヴは、地方議員になっている。
それでも、4人揃えは、そこは、「ブラー」である。
ドキュメンタリー映画に続いて、休憩時間をはさみ、ライブ映画の「ライブ・アット・ウェンブリー」をつづけさまに見た。
英国のスタジアムの聖地「ウェンブリー」のステージに立つと決めた4人。
そこには「昔の名前で出ています」的な、懐メロバンドの面影はない。
ライブに合わせて、「新アルバム」も発表した意欲的な4人。
実際、ライブ映画では、オープニング曲「セント・チャールズ・スクエア」しかり、終盤のハイライトで「ザ・ナルシスト」を披露。
これは、新アルバム「ザ・バラード・オブ・バーレン」からの選曲。
こうした、新曲披露のこだわり、そして、遜色なくセットリストに組み入れる彼らの心意気。
ゲストには、あの”フィル・ダニエルズ”も登場。
「犬の鳴き声」ではじまるアンセム「パークライフ」の大熱唱。
意外にも、ブラーにとって、ウェンブリーでのライブは、この2023年が初めてだという。
同じ年、彼ら4人は、幕張で開催された「サマーソニック2023」のヘッドライナー(大トリ)としてやってきた。
家族4人でサマソニに参戦。そこでも、ブラーのステージに私もパートナーも涙したものだが、その裏で、こんなドラマが隠されていたとは…。
ドキュメンタリー映画とライブ映画の2本を見て、あの時、幕張でブラーを見ていた「歴史の重み」とか「希少価値」について、改めて認識した。
もちろん、ブラーには興味ない子供たちは、同時刻でライブを行っていた「YOASOBI」のステージに行ってしまった。
なんだか子育てもひと段落して、子供たちも、それぞれの道を歩んでいる。
そんな中、我々夫婦の時間に、あの「ブラー」が帰って来た。
成長とは何か?
老いを受け入れるとは何か?
そんなことを考えさせられる、2025年現在の「ブラー」であった。

”ブラー三昧”の休日

2.真打ち「オアシス」の再結成

ブラーの映画を見た有楽町にある角川シネマ。
2025年2月下旬には、ブラーに続いて、オアシスのドキュメンタリー映画も、1週間の特別上映。
映画館の広告には、さながら「ブラー対オアシス」の対決をあおる仕様に。
ブラーの映画を楽しめた私。
こうなりゃ、オアシスも、スクリーンで見なきゃダメだろう?
オアシスの映画といえば、去年、「ライブ・アット・ネプワース」をパートナーと一緒に観た。
劇中、” Whatever” の曲に、彼女は涙を流していた。
結局、ブラーにせよ、オアシスにせよ、楽しんだもの勝ち、感動したもの勝ちである。
一度しかい人生なのだ。
たとえ、よくばりと言われようとも、「オアシス派」だの「ブラー派」だのといがみ合ってもしょうがない。
二刀流でいきたい。
実は、2月下旬に劇帳公開された、オアシスのドキュメンタリ映画「スーパーソニック」、有料テレビで何度か自宅で観たことがある。
それでも映画館で見る音楽ドキュメンタリーは、迫力が違う。
大音量(特にドラム音が、お腹に突き上げる)
見知らぬ観衆同志で、夢のような映画のひとときを楽しむ。
だから、ブラーに続いて、オアシスの映画にも足を運んだ。
時間に合わせて、有楽町の映画館に出向く。
割引サービスを利用しての入館になったが、上映時間まで余裕があったので、となりの丸善オアゾ店で、オアシス関連の洋書を購入。
割引どころか「赤字」になってしまったが…、それも人生である。
オアシスのドキュメンタリー映画。ブラーのそれとは違う。
もうおなじみの結成(弟リアムのバンドの兄ノエルが加入する譚)から、歴史的ライブのネプワース1996までを駆け足で振り返る、オアシスの黄金史を、余すところなく収録した映画。
やはり、大スクリーンで見る映像は、引き込まれた。
オアシスは、ブラーと違って、言葉が汚いのはご愛敬。
なにかと言えば、インタビューに「ファッ〇ン」と口にする。
これがいけない。
私は、趣味でベスパ・スクーターのクラブに入っているのだが、ちょうど、翌日のツーリングには、ロンドン支部のメンバーがゲストに参加。
脳内を英語モードにして、通訳を買って出たものの、つい「ファッ〇ン」といいそうになった。
まあ、趣味のベスパ・クラブならまだしも、これが仕事上の視察アテンド(通訳)だったら、許されないだろうなぁ…。
それはさておき、2025年のオアシスのライブ参戦する者にとって、再勉強のために、「スーパーソニック」はうってつけの作品。
特に、ギャラガー兄弟以外のメンバーの変遷を、俯瞰して勉強できるところに醍醐味がある。
オアシスとしてのキャリアの最高峰は、なんといっても、「ネプワースのライブ」であろう。
映画スーパーソニックは、ここにハイライト(照準)を定めている。
実際、オアシス史は、この後も続くのだが、メンバーチェンジや、解散を経て、2025年の軌跡の再結成へと始動。
オアシスを振り返る人も、これから勉強したいと思う人にとっても、おすすめの映画である。

限定上映:オアシス「スーパーソニック」

3.英国ロック二刀流?!

まさか、初めて英国を訪れてから30年もの歳月を経て、この東京(有楽町)で、ブラー対オアシスの対決を間に当たりをするとは…。
「結局、お前は、ブラーとオアシス、どっちが好きなんだよ?」
そんな声も聞こえるかもしれない。
これに対しての答えは、「どっちも好きなんだから…」と答えるほかない。
同じ質問は、ビートルズとローリング・ストーンズの間柄にも言える。
「ビートルズとローリング・ストーンズ、どっちが好きなんだよ?」
どっちも好きなのだから仕方ない。
一度しかい人生なのだ。
ビートルズもローリング・ストーンズ、どっちも好きだから仕方ない。
同様に、ブラーもオアシスも、どっちも好きなんだから仕方ない。
その方が、人生は愉しいし、充実した日々を送っている。
まったくもってロックの神様に感謝だ。
ロック二刀流は、やめられない。(了)

我が家の「ブラー対オアシス」

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