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【野球】遥かなる大リーグ~2024・MLB観戦記@シアトル
「アメリカに行ったら大リーグの試合が観たい」
私の父は、生前、そんなことを言ったことがある。
昭和の時代、プロ野球ニュースでは、月曜日には「大リーグ」特集をやっていた。野球好きの父親に、本場の大リーグを観させてあげたかった。
けれども、そんな願いを叶えることができなかった。
代々木でやっていたフジテレビ主催のスポーツフェアで、当時、日本では珍しい大リーグの球団キャップを売っていた。
父が私に買ってきてくれたのは、「カルフォルニア・エンゼルス(当時の名称)」と「ロサンゼルス・ドジャーズ」の野球帽。
奇しくも、後年、大谷翔平選手が渡り歩くことになる二球団である。
生き急いだ父に、私がガイドとなって、大リーグの試合を見せたかった。
1.三度目の夢・2024年大リーグ観戦
2024年、自分にとっての重大ニュースは、アメリカ・シアトルへのひとり旅へ行ったこと。
目的は、ローリング・ストーンズのライブ観賞である。
全米主要都市で行われた、ストーンズのツアー、あえて「シアトル」に選んだのは、日程的に野球観戦併せてできると思ったから…。
東京ドームでの日米野球を別にすれば、本場アメリカで大リーグを観戦したことが、今回のシアトルの旅で三度目である。
一回目は、2002年8月6日、アリゾナ州フェニックスで観た「ダイアモンドバックス対ブレーブス」の試合。Dバックスのエース、カート・シリング投手がマウンドに投げていた。
この時のアリゾナの旅は、ホームステイで、野球チケットから、球場までのアクセス等は、すべてホストファミリーに頼っていた。
二回目は、これも同じく2002年。
試合日は9月20日、ワシントン州シアトルで観た「マリナーズ対エンジェルス」の試合。
当時、マリナーズには、イチローと佐々木主浩の二人が在籍。佐々木の登板は無かったが、大リーガーとしての「生イチロー」をまじかで見ることができた。
そもそも、カナダのバンクーバーを拠点とした旅で、途中、隣接しているシアトルに1泊した。
英語が出来て旅行手続きにも長けている同行者のパートナーに、スタジアムでの当日チケット購入など、すべて手配してもらった。
立て続けに観戦した大リーグ。
あれから22年の歳月が流れた。
チケットもスマホに格納する「電子チケット」に方式が変わった。
日本に居ながら、大リーグの観戦チケットが購入できた。
2024年5月14日、「マリナーズ対ロイヤルズ」。
生涯三回目のメジャーリーグ観戦。
チケットマスターという代理店、(日本でいうところの「チケットぴあ」みたいなもの)、アカウント登録は、ローリング・ストーンズのライブチケットを入手する際に設定していた。
マリナーズ公式アプリ(英語)から「BUY TICKET」というボタンの入手すると、ボールパーク・アプリにリンクされる。
そこで観戦予定の試合をクリックすることで、チケットマスターが立ち上がるという仕組みである。
チケットマスターには、アカウント情報を入手済なので、すんなりと購入できた。また、i-phoneのウォレットに購入したチケットを格納できるので、万が一、WiFi環境が異国の地でトラブルになっても、スマホさえあれば、電子チケットが立ち上がる。
チケットマスターの登録は、スポーツファンのみならず、エンタメファンには、おススメである。
シアトル・マリナーズの試合も、ローリング・ストーンズのライブも「チケットマスター」一択であった。
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2.市場からオフィシャルショップへ
シアトルの朝は早い。
旅に出ると、その土地の新聞を買い、その街の市場(マーケット)に行きたくなる。
シアトルは漁港でもあるので、朝早くから、マーケット・プレイスがにぎわっていた。
シアトル・マリナーズの地元らしく、とある魚屋では、シアトル選手の広告塔が私を手招きしてくれた。
この市場には、言わずと知れた「スターバックス1号店」がある。
私はコーヒーを注文。
なぜ名前を聞かれるのかと思ったが、コーヒーが出来上がる(準備できる)と、名前で呼んでもらえるためである。
スタバ1号店で「KEN!」と呼ばれて感激もひとしおである。
その後、市場内で、名物のクラムチャウダーを食べる。
しばらく、市場周辺を散歩。ホテルからも歩いて行ける距離にあった。
市場に最寄のWAST LAKE駅からINTERNATINAL CHINATOWN駅まで移動。
ガイドブックでは、チャイナタウン周辺は治安が悪いと案内されていた。
ビクビクしながら、スタジアムまで行く。
スタジアムに併設の「マリナーズ・オフィシャルショップ」は午前11時に開店。まだまだ時間があるので、球場外周を散歩。
著名なスター選手の「銅像」があちこちに立っていた。
いつか、「イチロー」も「銅像」の仲間入りになるときがくるのだろうか。
オープン直後にショップに入る。
すでに現役を退いたものの、特命アドバイサーとして、マリナーズの指導にあたる、イチローの人気は、とどまることを知らない。
正直にいえば、選手グッズは、イチローしか知らない。
息子に頼まれていた、マリナーズの公式キャップをおみやげに購入。
息子に頼まれていないものの、イチローのTシャツも、おまけに購入。
さらに自分のおみやげに、野球殿堂入りを記念して発売されたイチロー本(英文)を購入した。
現金では支払い不可。クレカがとても役に立った。
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3.Tモバイル・パーク
2002年にシアトルで野球観戦しととき、球場名は「セイフィコ・フィールド」といっていた。
2024年現在は、「T・モバイルパーク」と名称変更。
ただし、同じスタジアムなので、ネーミング・ライツのスポンサーが変わったらしい。
正面ゲートから入場。
試合開始まで2時間もあるのだが、スタジアム内で、グルメやグッズショップを堪能。
ここでも、マリナーズのレジェンド選手「イチロー」を称えるコーナーがあった。あの独特の「バッティング構え」の等身大写真をはじめ、金のレリーフも設置されていた。
フィールドと座席が近いなど、野球を楽しむためのワクワクさせる仕掛けが随所にあって、「古き良き大リーグ」をイメージしてか、どことなく、懐かしい作りになっている。
あえて、近未来的な目新しさを排除させた美しさがある。
日本の野球場でいえば、広島のマツダZOOM=ZOOMスタジアムに近い。
というか、広島の球場が、大リーグの球場を手本をしたのだろうか。
ドームとか多目的スタジアムとかではなく、野球に特化している専用スタジアムというところがまた良い。
早めに食事をと、本場のハンバーガーにボトルウォーター。
これをクレカのデビットで決済。
円換算にして3,900円。
これが円安の洗礼なのか?
こんなに高いハンバーガー、日本では食べたことがない!
18時40分、いよいよプレーボール。
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4.マリナーズ対ロイヤルズ
この日、シアトル・マリナーズの対戦相手は、カンザスシティ・ロイヤルズ。はるばる日本から観光でやってきた私であるが、この日見た試合には、両チームにも日本人選手は在籍していなかった。
カンザスシティといえば、ビートルズのカバー曲としても有名。
ローリング・ストーンズを観にシアトルまでやって来たが、カンザスシティを本拠地に置くチームとの対戦は、なんだか不思議なめぐりあわせだ。
シアトルでは、全米屈指の「ロックの都」。
ジミ・ヘンドリックスの出身、そして、なんといっても、ニルヴァーナを筆頭に「グランジ」(オルタナティブ・ロック)の拠点。
そんなシアトルでは、ロックが根付いているのか、回の交替の合間に「ロック・イントロクイズ」があった。
この日の「お題」の答えは、ザ・フーの「ババ・オライリィ」。
あの独特のエレクトリック・サウンド。私は秒殺でわかった。
明日、ローリング・ストーンズを迎えるシアトルの街であるが、特に、この日は、ストーンズを取り上げることはないようだ。
試合は、マリナーズが先制ホームラン、景気よく花火も上がった。
回が終わる毎に、クイズやレースなどのイベントが展開されている。
その都度、大盛り上がりのアメリカ人…。
とくに、シアトル名物と目される「鮭」の着ぐるみたちによる「徒競走」が興奮のるつぼ。
いや、正直いって、とこが面白いのか、私にはわからないのだが、そのあたりのツボは、異国人だからであろうか?
さすがはエンタメの本場。
どんなにくだらない(と、思われる…)イベントにも、拍手喝さいで楽しむのが、やはり、日本とは違う「国力の差」を感じてしまう。
それでも7回表が終了して、「ボールパークに連れてって」をスタンドで大合唱する光景は、筆舌し難い。
野球を愛する国民性を感ぜずにはいられない。
日本の「ラッキーセブン」は、球団応援歌だからね…。
試合展開は、ロイヤルズが3ラン・ホームランで逆転、追加点も…。
マリナーズも1点を追加し、追い上げるものの4対2と惜敗。
にわかシアトルびいきの私であったが、「電子チケット」から「球場グルメ」のオーダーまで、はじめての「ひとりでできるもん」状態であった。
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5.終わりに(地元チームを応援しよう)
ライトレールでホテルのあるダウンタウンへ向かう。
車内では、黒ぶちメガネをかけた知的風の青年から、私の野球帽を見るなり、試合内容はどうたったのかと質問を受けた。
また、WEST LAKE駅では、満員電車で下車が難しい乗客のために、どこかのお兄さんが「ホットスープ!」と大声で叫んで、道を作ってくれた。
見知らぬ人から、よく話かけられた、今回のシアトルひとり旅。
旅に出たら、地元のプロスポーツを観戦してみよう。
結果が記事になる翌日の地元新聞が楽しみのひとつ。
シアトル市民が、愛情と誇りをもって、マリナーズを応援するように、日本でも、住んでいる街のプロスポーツチームを応援したい。
そんなわけで、千葉ロッテ・マリーンズへの忠誠を再認識する旅であった。
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