同人誌の時代「5」高校に進学後も続く、肉筆同人誌への執筆
冒頭にいきなりの追記
ずいぶん久しぶりの続き物の記事にしては何の説明もないので、補足を少々。この記事は私が中学1年生の冬休みから友人と創った肉筆同人誌の足跡を紹介する物です。
第1回の記事はこちら。https://note.com/ueken18/n/ne1ba5b944196
前回の記事は中学3年の冬まで、受験勉強をそっちのけで同人活動を続けたというもので、
前回(第4回)の記事はこちら。https://note.com/ueken18/n/n6d1bcddfbfa6
さて今回から高校に進学した私のお話となります。概要はお分かりいただけたでしょうか?それでは本編をどうぞ!
私は高校に進学した。以前参加してくれていた同人達も別々の道を歩んでゆき、私は当然の様に一人で肉筆同人誌「マンガのかんづめ」を続けてゆく事になる。嗚呼、同人の炎を絶やすまいぞ。4本のマンガと読者コーナーと表紙から目次までを全て担当し、新創刊号は完成した。表紙に謳われている「通算20号‼」が手直しされているのがお茶目。それにしても中学1年の冬休みから始めた同人誌が19冊も続いていたのは、プロになった現在考えても、本当に凄い事だなと思う。当時の自分に「熱意溢るる中学生」の称号を送りたい。送ったら取っておくんだろうな、未だに、何でも取っておくもんだから。
中学時代の同人誌は、年度が終わると共に分解し、それぞれの作者の元に原稿を返却していたのだが、本の存在そのものが無くなってしまうのは悲しいと考え、参加同人達には、今後、上野が保管するので原稿は返却しないが、了承してもらえるかと確認をし、以降の号には少しづつ描き手が増えていった。そんなわけで、今後紹介する肉筆同人誌は42年の時を経て、全て原本が完全な形で残っている。残っている本をつらつら眺めるに、
だんだん言い訳が出来なくなってゆくなという、恥ずかしさを覚える。
つまり、これ以前の物は「まあ中学生だから・・・」などという言い訳が出来たが、高校、大学と年齢と作画歴を重ねるにつれ、ただ下手なのが鮮明になってゆくというわけなのだ。これは恥ずかしい。ただ、ここから少しは上手になってゆくのでそこは寛容にご覧いただければ幸いだ。
創刊号の作品を簡単に紹介する事にしよう。ラインナップは表紙に書かれている通り。「赤ん暴君」というのは平井和正の短編小説をマンガ化したもので、第1話の感じは大変拙い語り口で、中学3年の夏休みにマンガ化した「星の王子さま」と比べると、少しは進歩しているものの、そもそもマンガと小説は表現形態が違うので、小説からマンガに、きちんと変換させないとならないのだが、当時の私は「脚色」という事が分かっておらず、小説の文言をそのまま使ってしまっている。
これは冒頭の比較的ちゃんとしてるページ。何を資料にしたのだったか?何かマンガの背景を基にしたような記憶がある。上のコマの背景の左端の看板絵は平井和正「ゾンビ―ハンター」3巻の表紙絵だ。こんな事しているから作画に時間がかかるのだが、三つ子の魂百までとは正にこの事。
サブタイトルの文字組は、当時描き下ろしで発売されていた、つのだじろう・画、横溝正史・作「犬神家の一族」コミカライズ版の真似だ。
「レオノーラ」というのも平井和正の小説だが、これは主人公の名前をいただいただけで、内容はギャグマンガ。
「思い立ったが吉日 日の丸立つのが元日よ」というセリフは未だに気に入っているのだがどうか。後に連載する事になる「ハッピー・ラッキー・トリッキー&エンプティー」のトリッキーの原型となったキャラクターがこの作品に登場しているのも、ちょっとした上野マンガ豆知識。誰が必要とする知識なんだか。扉に「びゅーてぃふる しりーず第1回」と銘打たれているので、恐らく少女漫画のノリのギャグをやろうとしていたのだろう。というかやろうとしていたという事を今思い出した。
最初は、あまり深く考えず、表紙を飾っている「SPACE SOLDIER」というストーリーギャグをメインに描いてゆくつもりだった。後に「レオノーラ」や「赤ん暴君」が自分の表現として大きな意味を持つ事になってゆくとは、この時点では思いもよらなかったのだが、それはまた別のお話。
兎にも角にも、新しい地で再び始まった同人活動が今後どうなってゆくのか?そして学生なのに勉強はいつしているのだろうか?今後の「同人誌の時代」にご期待とご支援をよろしくお願いします!