NuNuLAXNuLANとnejiレーベルについて
サタポはオウンレーベルとして
Nu NuLAX NuLAN（ヌーヌラックスヌラン）を運営しています。
自分も最初はそう思いましたが、やけに恐ろしげな名称です。
実際海外から「お前ら、ややこしい団体ちゃうやろな？」的な問い合わせがあるらしい。
そもそもNuNuLAXNuLANとは何なのか？という問いにughさんが回答しています。
Nu NuLAX NuLAN：
仮にNu NuLAX NuLANを所謂「河原者」の集積／集団と定義しよう。河原者の思考には、資本主義者のような欺瞞やプライドの介在する余地はない。そこに落ちているものは何でも拾う。そこには巧妙に仕組まれた意識のパラドックスが成立している。落ちている＝捨てられているものを何でも拾うということは、消費社会の全てを肯定し享受しうるかのようにみえて、実は同時に外部＝消費社会の価値観のすべてを否定し、逆手にとっていることになる。彼らが捨てるものしか拾わない…つまり橋の上を闊歩する者が欲しがるものなど、河原で暮らす者にとっては全くもって興味のない代物なのだ。
こういった評価システムの鎖国を喜んで導入し、あえてゴミ漁りを謳歌する姿勢こそ、理想的なNu NuLAX NuLANなのだろう。
Nu NuLAX NuLANの語源は勿論クークラックスックランである。60年代のアメリカにコンスタンス・アワーズが出演していた映画で「ショック集団」という作品がある。その中で、精神病院に収容されている黒人の青年が同じ黒人の患者に向かって、極めて残虐に黒人差別を演説をするシーンがある。彼はクークラックスクランに対する恐怖から自分が黒人であるということについて著しく歪んだ認識を作り出し、恐怖を塗り込めて自らを「脅威ある側」へ転移することに成功 したのだ。漆黒のクークラックスクランはこうして映画の病院の中で生まれた。外界から隔離されるべき精神病院の中で、しかもそれは架空の「映画」の中で。
無論、これは大きな勘違いである。例えばマイケル・ジャクソンが主張してやまない「肌が白くなる病気」に見られる強烈な白人コンプレックス。 そこには自己本来の姿に対する誇りはなく、呪いと恐怖とともに培養された著しい変身願望がある。しかし、本来、人間が何かを表現しなければならないとき、本当に必要とするものは才能や技術などではなく、こういった類の歪んだコンプレックスだけといえるだろう。常にぶつかる自己と他者の価値観から生じる軋轢、被差別意識から生まれる大衆への恐怖心や怒り、自己を呪い、オーバードースした卑屈な感情を呑み込み、攻撃・逃走を繰り返し、時にはネガティヴなサークルの中で活動を停止し、そこで目的や怒りの焦点を埋葬した後、自己防衛するような堂々巡りの狂気。ここで味わう「大きな敗北感」から唯一生まれるものがNu NuLAX NuLANからリリースされる。
「救いの光」などといった博愛に満ちたものではない。生まれてもすぐ社会的に破棄されかねない代物だ。漆黒のクークラックスクランなんて誰が容認するだろうか？白からも黒からもナイフを突きつけられるだろう。脅威に対する「NO」ではなく、ネガティヴな自己に対するもっと歪んだ 「NU」という叫び…。日常われわれはこの「叫び」には無自覚だ。狭いサークルの中では気にもならないが、サークルの外や外部との接触によって血のように吹き出す。
歪んだ「NU」という叫びは、不等な理由で処刑された自己を憐れむ叫びであると同時に、その哀れで腐臭漂う醜い亡骸を再び太陽の下にさらしてなお、絶命できないでいる自己を殺害してくれと乞い願う切々とした祈りだ。
外部との接触だけが進化のすべてではない。ミクスチャー・ロックや現在のボーダレスなクラブカルチャーの結果がすべて凡庸であったのと同じように、融合の繰り返しは、やがて訪れる全体的な均一性・オリジナリティの喪失から停滞へと導く運動でしかない。表層的な融合によるサラブレッドは希薄なオリジナリティしか持ちえないだろう。全てを肯定し呑み込んだ結果が、全てに対する否定であったのだ。これを回避し、システム にのみこまれないためにも、内にこもり、評価のシステムは自らの手で構築しなければならない。個性維持にとって鎖国は悪いことではなかったのだ。
2000年代のヌヌヌン公式サイトには不気味なテキストが多数掲載されていましたが、その時期の文章だと思われます。
少なくともレーベル発足当時はこういうコンセプトだったようです。河原者の歪んだ叫び…。
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2011年からはBandcampによるデジタルリリースに移行していますが、そのアカウントも2種類あります。
Satanicpornocultshop
https://satanicpornocultshop.bandcamp.com
neji
https://nunulaxnulan.bandcamp.com
ここではnejiのアカウントが「ヌヌヌン」なので分かりにくいですが
一般にはヌヌヌンがプレスCDを出す親レーベルで、nejiはCD-Rや企画コンピなどを出すサブレーベル、という認識でよいでしょう。
ちなみになぜ名称が「ネジ」なのかというと、元々は人間ロケットというユニットが運営していたカセットテープのレーベル「ねじ」がルーツにあるからです。
1994年、播州の素浪人 タケミッチェル池田は、神戸のカルトバンド「ロストエンジェルス」のメンバーらと「人間ロケット」を結成。当初はガレージ色が強く、テープエコー渦巻くサイケデリックサウンドを追求。
2001年にソロ活動を開始。地下音楽界の抜け忍として、平成ダダというべき奇想天外な散文詩と戦前ブラインドブルース・フレーバー溢れる演奏で、全国および東南アジアを中心にリサイタル中。
『肉球メディスン』全国発売！ : I am HALATION
人間ロケットは初期ヌヌヌンにおいても重要な位置にあったユニットで、ベストアルバムもヌヌヌンから出ています（改めて別記事として取り上げる予定です）。