1st "NIRVANA or LUNCH?" (1998)
公式のバイオグラフィによると、satanicpornocultshopは「Alan FolkroeとGhammehucheのデュエット形式で1997年に活動開始、1998年に1stアルバム"Nirvana or Lunch?"をリリース」とあります。3rdまではこの2人がメンバーということですが、実際のところはどちらもughの別名義・オルターエゴなので、それまでのサタポはughのソロ(と周辺人物とのコラボ)と言えます。
サタポの活動歴を見ると、サタポ名義の初出はサブジェクトレコードの12インチコンピ盤 "Love Sonic Strategy 4"(1996) なのが確認されます。しかしごちゃごちゃ面倒なので、公式では「1997年に結成」としていると思われます。
ヌヌヌンは当初、神戸のテクノレーベルの先駆けであるサブジェクトの下部組織的な存在でした。サブレーベルとしてスタートしてはいますが、実際はサブジェクトの流通経路を借りた提携関係のような位置付けでした。
NIRVANA or LUNCH? (NUCD1999)
01 Vaginated Vagabond Vagi 5:01
02 神様 4:39
03 T.T.T (Turn Table Timpangee) 5:46
04 Acapulco 2:29
05 Durien Meek Corset 5:29
06 Costarica Bu-Bu 5:45
07 mAGGOTTY mAGIAN mAGOT 9:04
08 たび 6:43
09 Barbecue Lolita Nip 5:09
10 言いだせなくて 5:31
11 Highway Tremolo Driving 6:11
12 Rin'U # by [ON] 2:32
13 le banana split (Bonus Track) 6:22
澁澤龍彦著「高丘親王航海記」をモチーフに膨大なサンプリング、電子ノイズを駆使して独自の狂気/美学を確立したアルバム。腕に美しく1999とタトゥーを入れたスケルトン・トラック運転手に、無理やり助手席へ押し込まれ、1999本のペニスをケツの穴にぶち込まれたまま、1999パノラマを引きずり回されるアポカリプス奇譚。
(人間ロケット「グレイテストヒッツ10」封入のチラシより)
CDのカタログナンバーが1999なので今から見ると1999年のリリースと誤読してしまいがちですが、リリース当時は「1999年」というのは世界が滅亡すると言われてなんとなーく不穏な空気があって世紀末を象徴する記号でした。
【平成の真実(16)】平成11(1999)年7の月「ノストラダムスの大予言」 - SANSPO.COM
参加メンバーはughのほか、VINYLMAN、BOSSA BOSA(のちにサタポに加入する谷リサのユニット)、JAMES "Barret" HEATON、オノデラジュンペイ、VJシオツキ、人間ロケット、横山創一など。マスタリングはBOSSA BOSAが所属するGATOR WOBBLE RECORDの松井ハジメ。
ジャケットはManuel Ocampo「Jack Daniel's Unfinished Symphony」。ちなみに上部のドイツ語「SCHEISS LEBEN」は「SHIT LIFE」、「クソな人生」という意味(元々のオカンポの絵に描いてある)。
ughソロと言える初期の3枚のアルバムの共通点として、いずれもOcampoの絵画を引用しています。以降は自らがコラージュしたジャケットとなります。satanicpornocultshopという名前や引用されるアートワークから、現在に至るまでの一貫した世界観が提示されています。
こちらの谷さんのファンサイトによると、「神様」「たび」はBOSSA BOSAの未発表曲らしい。発売予定だったアルバムにサタポがアレンジで参加していた関係で、このCDに収録されたと思われます。
「Highway Tremolo Driving」は人間ロケットのリミックス。後に出たベストアルバムに収録されています。
ボーナストラックとされる最後の曲は80'sポップス、リオのカバー。一応フレンチポップの範疇に入るようです。