貸本漫画が復刻できない理由
日本全国に30,000店舗あり、庶民の生活にとけこんでいた貸本屋。
令和のいま、一般の書店は9,000店舗ほどです。コンビニは60,000店。
貸本屋の30,000店舗のすごさがわかりますね。とくに、子どもたちは貸本マンガのとりこになっていました。
貸本屋の全盛期は昭和35年前後です。いまから60年ぐらい前の話です。
当時の子どもたちであるいまのお爺さんたちも、何十年ぶりかで貸本漫画を読みたい、という人がたくさんいるでしょう。年をとればとるほど、子ども時代を懐かしむものです。
貸本漫画の有名な作家の作品は、一部復刻されています。水木しげるさんの「悪魔くん」や「墓場鬼太郎」。
「ゴルゴ13」のさいとう・たかをさんや、つげ義春さんも貸本出身です。「劇画」にブームをおこした「影」も、貸本からうまれました。
本来ならすべての貸本マンガが復刻されてもおかしくないのですが、できない理由があります。
著作権の問題もありますが…実は、原稿が残っていないのです。
当時は漫画家の原稿に、価値を見出していませんでした。出版社だけでなく、漫画家もです。
ファンレターをくれたお礼のプレゼントに、原画を切り抜いて送ってあげていたのです!漫画が再版されるとは、だれも思っていなかったのです。
出版社がが原稿を捨ててしまうということもありました。漫画の原稿の認識というのが、そんなものだったのです。
それをやめさせたのが、白土三平さんです。
原稿を残しておけば、いつか再版になるという意識を他の漫画家に訴えたのです!
当時の貸本マンガで、現存するものもたくさんあります。しかし、かなりぼろぼろになっているので、スキャンをするにも処理が大変で、コストが膨大になってしまうのです。
原画が残っていれば、コストをかなり下げることができ、復刻がすすんでいたことでしょう。残念でなりません。