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10年ぐらい前にこんなことがありまして

その後尻を叩かれ間髪入れずに仕事を探すことになった

そこでレンタカー屋さんを見つけた。マイクロバスも置いていたので中型免許以上あればよいということだった。免許取ったのを無駄にしなくていいのでこれに決めた

いっちょ前に入社試験しやがった。パソコンの知識を問われたがちんぷんかんぷんであった。でも試験した後、専務の雰囲気はよかったので色々と質問していたら「まだ合格したとは言ってませんよ」と言われた。なんやこいつ。ちんぷんかんぷんだったのに何故か合格した

その頃はよく嫁の実家に泊まっていたので2日ほど留守にして家に帰るとポストに直接投函された会社の説明のような書類が入っていた

「家の様子とか見に来とる。きっしょ~」

7月の終わりごろから勤め始めたのだが、提示されていた安い給料が完成をみるのは10か月後ぐらいだった。ちょっとずつ上がっていって完成を見るのは10か月後。つまり10か月は試用期間である。なんじゃそりゃ!最初の給料はバイトの女子高生に負けるくらいだった。いや、当分バイトの女子高生に負ける

小さな車屋も兼ねている会社には専務とその奥さん、その他従業員が3名ぐらい。社長は見当たらない。社長は専務の父親で恐らく借金等は社長名義となっていたのであろう。引き継いだら借金も引き継ぐこととなるので問題を先送りにしていたようである

中途半端な街にあるレンタカー屋なのでそんなに車を借りに来る人はいない。1回だけであるが顧客名簿からレンタカー借りませんかとひたすら電話させられたことがあった。そんなんで借りる奴いるか?儲かってないのバレバレで恥ずかしいったらありゃしない

自分は頭がいいのを自慢したいのか店の前にこの店のタイヤはトルクレンチで何々Nm(ニュートンメーター。なんかわからんけど単位)で締めているとかいう解説を細かい字で延々と書いている紙が貼り付けてあった。誰が読むねん!

彼は時間でいくらという料金を距離でもいくらというプランを開発した。あまり走らなければお得になるというプランなのだがこれをお客さんに理解してもらうのが大変であった

ある一定の距離まではこのプランが安いのだがそれを越えると時間のプランより高くなってしまう。毎回説明するのだが分かりにくかったとおもう。こっちもお客さんに何キロぐらい走るかいちいち聞かないといけないのである

車のライトの明るさも何々カンデラ(明るさの単位)がどうのこうの言ってたなあ。どうでもいいっちゅうねん。大学ぐらいいっとかないと行けませんねえと大学行ってない人の前で言うなっちゅうねん。大学行った方がいいって転職してそれはおもった

特に取柄や技術なければ一個の資格として有利である。特に私のように人柄だけでやってきた人間(ほんまか?息子にサイコパス扱いされているぞ)は大卒の資格を持っておいて損はない。ただ行ってない奴の前で言うなっちゅうねん。数字とか強いかもしれないが経営とか人の気持ちとか多分わからない人だとおもう

私らが入る前にごそっと大量に人辞めてるみたいだし。彼も自分の適性などを考えずに親の会社に入ってしまった人なのであろう

そうこうしているうちに彼はどうしたら従業員を交代で遅い時間帯まで働かせるかということを考えて色々なシフトの時間を考えた。その数10パターン。アルファ、ベータから始まってイプシロンまである。それの大文字と小文字で10パターン

いや、イプシロンて!

アルファ、ベータはよく使う。ガンマもたまに聞く。デルタも三角の代名詞的に聞くけど

イプシロンて!

タイトルの「ε」はイプシロンの小文字

遅くまで働かせるために午前11時から午後1時まで2時間休憩するパターンもあった。スマホも持ってない時代だし大変暇すぎた。ひたすらぼーーっとしていた気がする

この頃の休日の楽しみは近所のスーパーにいって100円の「ほんのちょっとのしあわせ」って書いてあるお菓子を買って食べるのがほんのちょっとのしあわせだった

年を越えて2月まだ私の給料が完成まで行ってない頃、新たに給与体制の見直しが行われた。数か月後完成する給料にたどり着けないのである。私は退職を決めた。同僚の人はわざと残って後に裁判に持っていくこととなった。同僚の人は私にも裁判に持っていくことを勧めたのだが早くこんな会社やこんな人物と縁を切りたかったので辞退した

だって家までやってきてポストに直に投函する奴やで?何するか、わからんやん

同僚の人は裁判に勝ったのだが内容を不服として控訴した

この人も怖いわ~

数年後この会社は倒産した






スープラ欲しいんですけど〜