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ずっと同じ髪型であきないのか?

 どうでもいい話なんだが、ふと、僕はもう二十年以上同じ髪型をしているのだなぁ、と気がついた。坊主頭だ。

 それも自分でやっている。だいたい二週間に一度の割合いで、ひとりバスルームにこもり、真裸になって髪を刈るのだ。

 特に神聖な儀式ではないんだけど、なんだか坊主頭にする瞬間は引き締まった気持ちになるからおかしい。

 ときに失敗を犯した人が、頭を丸めることによって、償いの気持ちを表すことがあるが、僕はそれを月に二回も行っていることになるからかもしれない。

 しかしまぁ、改めて言うほどではないけど、僕の坊主頭は本当に誠意のないものだ。頭を丸めることで懺悔しているわけではないのだから。

 だいたい世の中の人は坊主頭に特別な感情を持ちすぎている。

 友人たちは、僕に一度はこう聞いてくる。
「どうして坊主頭にしてるの?」と。

 他の髪型なら、褒めたり貶したりすることはあっても、その理由まで聞かれることはない。

 それはたぶん僕の髪が薄くなっていないことにも関係があるのだろう。ハゲてきたわけではないのに、好きな髪型ができるのに、どうしてわざわざ坊主頭にしてるのだ、と言いたいのだろう。

 そう、僕は選んで坊主頭にしているのだ。しかし理由はなんだろう…と改めて考えてみると特に理由が見つからない。

 しいて上げれば、楽だから、ということになる。まず床屋さんに行かなくてもいい、これは経済的だし、煩わしい待ち時間もない。それにお風呂上がりにドライヤーで乾かす手間はいらないし、朝起きたらセットする必要もない。とにかく手間のかからない唯一の髪型なのだ。

 しかし、僕の中にそれだけで語れないものがあるような気もする。うーん、なんだろう。僕の心の奥には、なぜか坊主頭にしたいという欲求があるように感じる。それは拭って拭っても落ちないシミのように僕の心の中に確実に存在するのだ。

 一つの可能性として、聞いてほしいのだが、僕は二度ほど霊能力のある方にみてもらったことがある。

 そのとき、僕の守護霊は徳の高いお坊さんがついていると言われたのだ。しかも、前世もお坊さんをしていたことがあると言う。それも二人の霊能者が同じ様に言うのだ。

 もうこれは信じるしかないように思えた。僕には前世の記憶がなくとも、趣味趣向には前世や守護霊の影響を受けているらしい。

 なんか、因果な坊主頭だな、と僕は思ってしまう。

 それでも、僕だって時々髪を伸ばしてみようかな、と思うときはある。でも、そのたびに妻は僕にこう言うのだ。

「私、あなたの坊主頭すきよ」と。

 僕はそう言われるたびに、髪を伸ばすことを思いとどまる。だってさ、結婚して十年も越えると、好きだって奥さんに言われることはなんてないからさぁ〜。

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