12月社長朝礼後半 ー自分らしくあるためにー
1. 信頼を得るには
1-1.期待を上回る
先週は水曜日からまた北海道に行っていました。早いもので、厚真町の地域活性化起業人を受嘱してからもう三年経って、来年の三月で活動期間が一応終わります。
国の制度なので三年っていうのは絶対決まっていて、一応終わるという形です。
今、その厚真町含め、来年度以降の話がいろいろ進んでいるんですが、来年も引き続き、地方へあちこち飛び回るっていうことは継続していくと思います。
先週の北海道厚真町でも、&PUBLICの桑原くんとずっと一緒でした。桑原くんはワーククロスのベースとなるロジックモデルを一緒に創ってもらってましたが、厚真町には僕が彼を呼び込みました。今言ってた来年度以降関わらせてもらう地域っていうのは、逆に桑原くんが向こうの役場から「誰かいないでしょうかね」っていう話があり、僕のことを推薦してもらったという形で、色々と一緒に動いてます。
その桑原くん、うちのメンバーも色々と関わってますが、関わった人は必ずと言っていいほど、
「想像していた以上のことをしてくれた」
「びっくりした」
「素晴らしい展開を考えてきてくれた」
とフィードバックに書くんですね。本当に見事に、桑原くんについてはいっつもそういう感想が書かれてるんですね。
今、厚真町で僕らがやってることって、全く儲からないどころか、かけてる時間を考えたら絶対的に赤字なんですけど、そんな損得的なこと関係なく、もう完全フルパワーでやってますね、桑原くんは。
普通にコンサルに頼んだらどんだけ金取られるんだろうというようなことをフルパワーで思いっきり制限なしでやってる。
こんなものを微々たる経費でやってるという状況なので、それはもう一発で役場の人たちはじめ、みんな信頼するし、「桑原さん、桑原さん」っていう話になるわけですね。
1-3. 信頼を蓄積するビジネス
一般的なビジネスの感覚だと、目先の損得勘定から始まることが多い。自分だけしんどいとか、お金も出ないのにこんなことやってられないとか。ほとんどの人がそういう考え方でやるんです。
でも僕はそうゆうのって、違うなぁと思う。逆やなぁと思うんです。
桑原くんの例のように、関わったことに対して100%以上を出せる人って絶対的にその人にしかできない役割を作れたりするんですけど、そんな働き方をする人は少ない。
言われたことだけやって、みんなと同じことをやっていたら埋もれてしまうし、スキルの勝負になってしまうんですよ。
みんな同じだからその世界で一番長けた人が一番になる世界。
「みんな」と競争して、その世界の上位の方に行く方が難しいと僕は思うけどね。
それでは埋もれてしまうし、先を見通せない。
誰もやってない、自分にしかできないことをやったら一番になるんですよ。
「あの人は、同じ給料なのにこんだけやってくれる」とか。
「なんでそんなこと厭わずやってくれるんだろう」とかね。
そこが信頼される。
見てる人は見てるって話でなくても、そんなことずっと継続しててみてください。
一緒の空間で働いている人だったら、「この人いつもこういうことやってくれてるよな」とかって分かるわけでしょ?
別に金銭的な得するわけでもないのに何でこんなことしてくれるんだろう、っていうようなことをやっていたら期待以上のことが起こるわけですね。
で、期待以上のことが起こったら信頼を持ってくれるので、向こうからどんどん話が来るんです。
「うちもやってくれへん?」っていう話になるんですよね。
時間と手間はかかるけども、そうゆうスパイラルに入ると楽になる。
信頼が蓄積された形なので、これはもうストックなんですよね。
ところが、こっちから取りに行くってなると狩猟と一緒じゃないですか。
毎日獲物を追っかけにいかなあかんし、獲れない日は食えないんですよ。
でも圧倒的な信頼が築けると、こちらがじっとしてても向こうから来るんです。そうなると、あとはどう整理していこうとか、どう仕組化していこうっている話だけになってくるんですね。もう困らないですよ。
1-3. 自分の存在意義・プライド
今までは、同じビジネスのカテゴリーの中で1番でなくても、2番も3番も4番も何とかなっていたから、まだやっていく余地はあったんですね。
でも、先週あたり、ニュースでみんな聞いたと思うけど、日産とホンダが統合するんですよ。日本の自動車の2番と3番ですよね。
それが統合するんですよ。もう1番しかやっていけないっていうことが端的に表れてる。
いつも僕が講演で使う「1989年の世界の時価総額ランキング」では1位から10位までの7社が日本なんですよね。
さらにすごいのが1位がNTTで2位から5位が全部銀行なんですよ。
しかも今はもう全部ない。日本興業銀行とか富士銀行、第一産業銀行とか、統合してみずほとか東京三菱とかになったわけですよね。
その頃は「みんな」で良かったんです。でも今は「みんな」の方に入ったら1位しか残れない。1番になれますか?っていう話なんです。
東京大学ですら世界で言ったら三十何位なんですよね。じゃあハーバード行けますか?とかスタンフォード行けますか?とかでそういう話なんですよね。「みんな」の方に行くと。
我々凡人ができることって、自分の存在価値をしっかり考えて、作っていくことですよね。目先の損得勘定をどう超えていくか。「自分が関わったんだから」とか「期待以上の価値を生み出すんだ」みたいなプライドを持ってほしいと思っています。
お金もらうっていうことはプロっていう意識を持ってもらいたいというのはよく言ってる様に、別に金額の大小じゃないんですよね。期待以上の価値を生み出すのがプロだと思うんです。僕が思うプライドだったり、プロ意識っていうようなのは、相手に千円払ってもらうんだったら、相手に千円以上の価値を感じてもらうこと。「得したな、頼んでよかったな」と思ってもらうとかね。そこにプライドを持ってほしいですね。
期待以上のことが生み出されるから、信頼につながって、依頼がくる。
桑原くんも「俺、こんだけやったやろ」とか一言もアピールしてないですよね。期待以上のことを続けた結果、相手が喜んでくれて、次の依頼につながったり、紹介してくれたりっていうことが起こってくるわけですね。そうなると、テコの原理とか、レバレッジじゃないけど、あとは自分が力かけなくても、ほっといても回っていくんですよね。
2. 弱者であることの強みと弱み
2-1. 加速する変化の中での戦い方
日産、ホンダの統合しかり、今年ずっと言ってるように、地政学や政治的には、石破総理とかトランプさんが大統領になることとかで、もうわけわからん状況に一気に進んでいくし、技術的にはAIとかの話でもうわけわからん状況になってくる。
しかもそれが瞬時に、すごいスピードで起こってくる。
そんな中で大多数と同じ「みんな」の側に行って、スキル勝負になったら、そんな仕事はAIが瞬時にやれてしまうんですよね。「みんな」はもうパソコンでAIに置き換わってもいいし、パソコンどころかスマホで十分かもしれない。
そんな時代に「みんな」ではない「自分」ができることって、オリジナルの価値を高める方向に行くことですよね。
オリジナルな感覚の仕事はAIにだってできないわけです。だって学習するデータがないわけだから。
人間が生の感覚とか、オリジナル性があること、再現性のないことをどんどん生み出していく。
そうゆうことをやっていかないと、AIに瞬時にやれてしまうんですよ。
でもAIもそれをまた追い越していくというか、もう感情も備えっていうことを、もう既にやれるみたいですけども。
とはいえ、例えばAIが岡村を完全にコピーして、僕が今思いついてないようなことを思いつきましたって言うのはできるかもしれないけど、その時の本当の感情までは読み取れないから。
やっぱオリジナルは本人のとこにしかないから、そこを磨いて行かなあかんですね。
僕はインターネットがない頃からの世代なので、インターネット前後では明らかに世の中が変わったわけですが、それ以上のことがこの今のAI前、AI後で起こる。もう圧倒的なスピード感で変わっていくわけですよ。その中で我々人間がのほほんとやってたら、それはもう価値なくすよねと。
「人間が人間でオリジナル」っていうところを考えていくことが、唯一やっていけるところだし、面白いところだし、かえってリセットされるところだと思うんですね。
そうゆう潮流の中、少なくともウエダ本社の中や、こんだけの人数ぐらいの中で「俺はこれや」「私はこれだ」みたいことが見出せないと、なかなか難しいやろうなと思いますよね。
2-2. AIが苦手なこと
今日はまたutena worklab.のメンバーも結構参加してくれています。
今まで数年家庭に入られたり、子育てで社会と離れてしまったりみたいな話をよく聞かせてもらいますけども、逆に言うと、AIをツールとしてうまく活用できたら、ブランクも関係なくリセットしてくれるし、知識的なことは何でも出てくるわけです。
で、そうなったら何の勝負ですかって言ったら、柏木さんのよく言われる「ソフトスキル」っていう話だろうし、お節介力とかね。僕らは母性とずっと言ってきましたけど。
AIがオリジナルの母性を身につけていくっていうのは、なかなか難しいと思うんですよね。
その強みを活かしてウエダ本社としても考えていきたいと思います。
2-3. 弱者だからできること
また地方展開ということもちょっと触れておきたいんですが、地方も極端に変わると思います。11月から国の方で「二拠点住居」っていうのを制度化してやっているんですが、厚真町でも、かなり進んでやろうとしています。
でも、当然なかなか問題があるわけですよ。
でも厚真町はこれを率先してやろうとしてます。
厚真町って人口四千数百人の町なんです。だからそういう新しいこととかオリジナルな他がやってないということには真っ先にやっていたら、アドバンテージになるわけです。
これが東京都でやろうと思ったら、なかなかできることじゃないですよね。
だけど、四千人の町だったらできるんです。
で、そうすると、これがひょっとしたら先頭ランナーになる可能性があるわけです。
そうゆうのが弱者の論理みたいな話でね。
今までの均衡が一掃されるような状況が世界のあちこちに出てきている中で、人間性とか、プライドとか、役割とかみたいなことをしっかり考えていけたりすると、なかなか面白い時代だし、面白いポジションに向かっていけると思います。
朝礼としては今年最後なので、来年に向かって十分英気を養っていただきたいと思います。