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戦略コンサルの特徴を知りたければこの記事を読め!(Mck、BCG、Bain、ATK、ADL、RB)
上田です。
今回は、主要戦略ファーム6社(Mck、BCG、Bain、ATK、ADL、RB)について、各社の”特徴”と”違い”を分析した。外からだと一見違いが分かりづらい戦略コンサルティングファームだが、本Noteでは「第1章:採用の特徴」「第2章:案件の性質」「第3章:風土・カルチャー」の3つのポイントから情報を記載している。
掲載しているファーム
Mck:マッキンゼー・アンド・カンパニー
BCG:ボストン・コンサルティング・グループ
Bain:ベイン・アンド・カンパニー
ATK:カーニー
ADL:アーサー・ディ・リトル
RB:ローランド・ベルガー
本Noteを読むべき人
本Noteでは、公知情報だけでなく、筆者上田自身の経験やネットワークを含めた情報を可能な限り記載している。そのため、各ファームについての解像度が上がることは間違いない。例えば、「最近、BCGって採用拡大しているらしい?」「カーニーってコストダウンばっかり?」「ADLって製造業以外どうなの?」など、就活掲示板を賑わせている疑問に対しては極力回答できるように分析を行った。
今、戦略ファームの選考を受けている方や今後受ける予定がある方にとっては、選考対策として間違いなく機能するはずだ。また、複数内定を保有していて、どのファームに行くか悩んでいる方にとっても、意思決定のサポートになればと期待している。そもそも「コンサルティングファームってどんな業界なのか?」というのを知る上での読みものとしても、面白いのではないかと自負をしている。
なお、本Noteはあくまで”コンサルティングファーム”にフォーカスしており、ケース面接の例題や選考体験等の選考Tips的な色は薄いことを記載しておく。また、本Noteに出てくるデータに関しても、上田が独自に推計・分析をしたものであることを断っておく。
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本Noteの構成・目次
改めて、今回の目的は「戦略ファームの”特徴”を可視化し、”違い”を見つける」ことにある。そのために、「第1章:採用の特徴」「第2章:案件性質」「第3章:風土・カルチャー」の3つの視点で6つのファームを分析した。
第1章:人員増トレンドの戦略コンサル業界の中で、各ファームがどのような採用傾向にあるのかを分析した。具体的には、過去5年間の社員数・成長率をもとに、各ファームの新卒・キャリア採用の人数を推計し、そもそも「拡大方針」にあるのか、どこから調達しようとしているのか、を分析している。コンサルティング業界はアクセンチュアやベイカレントなどの総合ファームを中心に採用の拡大が起こっている。戦略コンサルティング業界に絞っても人員増は起こっているが、各ファーム”どれくらい”という点まで踏み込んで記載したものは本Noteが初めてではないだろうか。
第2章:「案件性質」では、ファームの保有するケイパビリティを定量的に算出し、どのインダストリー、ファンクションに強みを持っているかを測定した。具体的には、各ファームのシニアスタッフ全360人に対し、各者の経歴や案件経験を踏まえ保有するケイパビリティを推定、ファームごとの”戦力”を可視化している。また、業界内で聞く各ファームの定性情報も公開・非公開情報を含め可能な限り掲載した。コンサルティングファームはある程度得意な領域を持っているが、巷でうわさされているような、例えば「マッキンゼー→保険」「カーニー→電力」というような印象が本当に合っているのかを検証した。
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第3章:「風土・カルチャー」では、ファームのカルチャーを踏まえ、リアルな働き方のイメージを記載した。具体的には、各ファームのインタビュー記事や筆者ネットワークを活用し、「どのような思考アプローチで」「どんな思いを持って」仕事に臨むのか、を解説している。グローバルにおける日本オフィスの立ち位置についても記載しているので、よりリアルな働き方がイメージできるはずだ。
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最後に2つ留意点がある。1つ目は、第2章以降を有料としている点だ。ただ、戦略コンサルに興味がある方は無料の範囲内である第1章だけでも読むことをお勧めする。2つ目は、本Noteに記載されている情報は筆者の仮説・示唆が含まれているため基本的には個人の責任で読んでいただきたい。出典が掲載できるものについては可能な限り記載している。
目次
本Noteを読むべき人
本Noteの構成・目次
第1章:採用の特徴
第2章:案件性質
第3章:風土・カルチャー
第1章:採用の特徴
社員数推移_全ファーム比較
ここ数年、コンサルティング業界は市場規模拡大と連動する形で採用人数が増加している。コンサルティング業界のビジネスモデル上、売上向上には採用人数増がほぼほぼ必須になることが要因だ。このような市場の需要側と、「高給×成長環境」という形で求職者側のコンサルティング業界の認知&採用意欲増が採用人数増を後押ししている。
特に採用人数を増やしているのは、アクセンチュアやベイカレント、Big4などの総合系ファームだ。もともと千人規模の会社ではあったが、その上で驚異的なペースで人材拡充を行っている。
採用人数増加のトレンドは、戦略コンサルティング業界にもそのまま当てはまる。結論から言うと、今回取り扱う6社の、2024年社員数の合計は2020年の1,340人からおよそ6割増の3,030人と推計された。一般的な企業であれば約5年で人員数を1.6倍にするというのは驚異的なペースといえるだろう。
採用人数増加は、求職者にとってポジティブな印象とネガティブな印象を与える。
ポジティブな面は、入社が易化している点だ。基本的にはどの会社も人員不足傾向にあるため、求人はオープンになっている状態だ。しかし、実態として応募人数が増加しているため、入社難易度≒倍率はあまり変わっていない。ただ、能力の要件を満たしていれば基本的には採用されるという点では、ポジティブといえるかもしれない。
ネガティブな面は、トップイシューの案件割合が希薄化している点と、戦略コンサルタントの希少価値が下がっている点だ。ただ、前者は半分合っていて半分間違っている。戦略コンサルティング業界の志望者は、基本的には純粋な戦略策定などの”トップイシュー案件”経験を求めて入社する。ファームの人数が増えると、限られた案件の奪い合いになり、いわゆる”アウトソース的な実行支援”案件に回されるリスクも高まるというのは事実だ。一方で、ファームとして人員拡大による新しい市場から”トップイシュー案件”を獲得しているケースもあり、この辺りは「どのファームがなぜ(今まで受けきれなかったトップイシューを取りたいのか/実行支援に行きたいのか)拡大しているのか」を目利きする必要がある。
我々が行っている「伴走」はアウトソース的な実行支援とは異なります。我々が支援させて頂いているトピックはグローバルなテーマや全社トランスフォーメーションをはじめとする経営のトップイシューがほとんどです。クライアントもテーマによってコンサルティングファームを使い分けていますので、BCGがアウトソース的な実行支援を依頼されることはほとんどありません
我々のコンサルタントの人数の増加について申し上げますと、クライアントからの需要増に応えるため過去からコンスタントに増やしているのであり、最近アウトソース的な実行支援を行う人材を大量採用しているということではありません
後者の戦略コンサルタントの希少価値についてだが、これはそこまで変わらないのではないか。日経トップ企業の三菱商事の社員数は約5,000人強であることを踏まえると、6ファームで3,000人というのは依然として希少価値の高さを示す数値といえる。
社員数を調べるうえで、前提として各社は社員数を公表していない。そこで、2020年時点での社員数についてはこちらの数値を引用し、2024年時点での社員数については「厚生年金保険・健康保険 適用事業所検索システム」の従業員数を引用した。その数値と、CAGR(年平均成長率)をまとめたのが以下の表である。
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実際に数字を見てみると、この6ファームは大きく3つのグループに分けることができるのではないだろうか。
[採用人数拡大]社員数の絶対数を拡大:マッキンゼー、BCG
マッキンゼーとBCGの2ファームは、他4ファームに比べて圧倒的に規模が大きい。両社は過去5年で300~400人ほどの人員拡大を行っている。
[採用人数成長]成長率が高い:カーニー、ADL
カーニーとADLはここ5年で社員数を約2倍程度に拡大している。成長率だけ見ると、採用拡大の代名詞であるBCGの数値をしのぐ。特にADLは超少数精鋭の印象だが、直近週刊ダイヤモンドの取材にも会社拡大の方針を明らかにしている。
しかし、その“少数”のイメージとは裏腹に、国内においてコンサル市場が大きく拡大する中で、実のところここ数年でその体制を大胆に強化しているのだ。ちょっとした“知られざる変化”といえるだろう
[採用慎重]大幅な人員増は控える:ベイン、ローランド・ベルガー
人員拡大傾向にある他ファームの中で、比較的慎重な動きを見せているのがベイン、ローランド・ベルガーの2ファームだ。とはいえ、あくまで他ファームと比較した場合の話であり、拡大方針へかじを切っている動きはみられる。
次に、各ファームが新卒・中途のどちらで採用を増やしているかを分析した。当然、こちらの数字も公開されていないので、いくつかの前提を置いて試算を行った。新卒採用人数については、上田の経験と最もフィットしていたこちらのサイトの数値を引用した。退職者数はファームにかかわらず、コンサルティング業界の一般的な水準である20%と仮定した。その差分から、キャリア採用の人数を推計しまとめたものが、以下の表だ。
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こちらも大きく3つのグループに分けることができる。
[バランス型]マッキンゼー、カーニー、ローランド・ベルガー
新卒と中途をバランスよく採用しているファーム。新卒:キャリア比が3倍以下であり、業界内だと標準的な傾向である。一方で、ローランド・ベルガーは24卒で約40人/年の大量採用を行った年がある、マッキンゼーはキャリア採用がクローズしている、等の情報もあり、年によってバラツキも想定される。
・マッキンゼー→年間採用人数は219人(新卒70人、中途139人)
・カーニー→年間採用人数は71人(新卒20人、中途51人)
・ローランド・ベルガー→年間採用人数は35人(新卒10人、中途25人)
[新卒型]ベイン
新卒とキャリアをほぼ同人数にするファーム。ベインはキャリア採用における難易度は最難関の可能性もある。ポテンシャルの高い新卒を育てる方針であり、中途であっても専門性よりはポテンシャルを見られている傾向にある。
・ベイン→年間採用人数は64人(新卒30人、中途34人)
[キャリア型]BCG、ADL
新卒に対して中途の比率が高いファーム。BCG、ADLの2社は新卒に比べキャリア採用の人数が4倍を超えており、経験者をより採用している傾向だ。これは、両ファームが業界の経験者を欲していることを示しており、BCGは規模が大きいためある程度専門家的な立場の人を雇う余裕があること、ADLは取り扱う案件の専門性が高くメーカー出身者、技術者を求めていることが理由と推察される。
・BCG→年間採用人数は282人(新卒50人、中途232人)
・ADL→年間採用人数は60人(新卒10人、中途50人)
採用の特徴まとめ_全ファーム比較
最後に、各ファームの採用の特徴についてまとめたのが以下の表だ。
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マッキンゼー:
拡大方針であり、新卒と中途はバランスよく採用している。拡大の背景は、下流工程への進出だ。新たに設立したマッキンゼー・デジタルに代表されるように、ファーム内で持つケイパビリティを拡大し、複数のソリューションを用いてクライアントを支援する方針にかじを切っていると思われる。UPorOUTは比較的厳格であることを踏まえると、年間採用数は推計結果よりも高い可能性がある。
BCG:
拡大方針であり、中途の採用割合が高い。マッキンゼーに先んじて、デジタル領域をはじめとした下流工程の支援を行っている。新卒に比べて中途の採用割合が高いのは、PMO等の案件の経験者を求めているからではないだろうか。UPorOUTはそこまで厳格ではなく、長期で人を育てる方針である。
ベイン:
採用に慎重であり、新卒の採用割合が高い。ベインはいわゆる”ベイン流”を書く社員にインストールする育成手法を取っており、故に思考の柔軟性が高い新卒社員を好む傾向にある。UPorOUTは厳格に運用されているため、年間採用数は推計結果よりも高い可能性がある。
カーニー:
拡大方針であり、新卒と中途はバランスよく採用している。もともとオペレーション改善に強いファームだが、近年は戦略を含めた複数ソリューションをクライアントに売り込んでおり(実際に売れている)、これが拡大の背景と思われる。UPorOUTは厳格に運用されているため、年間採用数は推計結果よりも高い可能性がある。
ADL:
拡大方針であり、中途の採用割合が高い。製造業に強いファームだが、近年は非製造業分野も視野に入れた案件管理をしており、新規顧客獲得が拡大の背景と推察される。UPorOUTはそこまで厳格ではなく、長期で人を育てる方針である。
ローランド・ベルガー:
採用に慎重であり、新卒と中途はバランスよく採用している。近年急激に採用数を増やした年があり、ジュニアが急増したことから組織バランス的に採用を慎重にしている可能性がある。UPorOUTはそこまで厳格ではなく、長期で人を育てる方針である。
第2章:案件性質
分析の前提
コンサル業界の志望者であれば、各ファームの”何となく”の得意領域の情報は頭に入っているのではないだろうか。しかし、結局「どのファームがどんな案件をやっているのか?」の情報は入社してみないとわからない。
自身の関心領域のに資する案件が本当にあるのか、をきちんと知りたい求職者の方々は多いはずだ。そこで第2章では、何となくぼんやりしていた「コンサルティングファームの強み」を可視化する。
ケイパビリティを測定するにあたって、今回はコンサルティングファームのケイパビリティ≒各ファームが抱えるシニアスタッフのケイパビリティと前提を置いた。これは、コンサルティング業界では案件を獲得できるか否かはシニアスタッフの力量次第といっても過言ではなく、シニアスタッフの陣容がそのファームの充実度を表すからだ。
今回は、各ファームのホームページに掲載されているシニアスタッフ全360人を対象に、経歴や知見、案件実績から”ケイパビリティ”を類推し、ファームごとにまとめた。
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