東京都コロナデータ解析
コロナウイルスの感染者数が増加し、緊急事態宣言を出すのが妥当かどうかの議論がなされている。ここでは、東京都の感染者数データ(出展:https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)とヤフー・データソリューションの東京都内滞在人口推計値の日別遷移(全体・来訪者・住人)(出展:https://ds.yahoo.co.jp/report/)を用いて、単純な解析を行う。なお、筆者はデータを扱う仕事をするものの、医学的知識はなく、よってこのロジックは単なる仮説であることをお断りしておく。
解析の基本の考え方
コロナウイルスの潜伏期間は5日とする(https://www.bbc.com/japanese/51812596)。
X日の新規感染者数をN0とし、X日から5日目の新規感染者数をN5とする。ここでN0の感染者数が、どの程度新しい感染者を生み出すかの倍率(感染者増加倍率)がN5/N0として求まる。ここでは単純化のために、新規感染者N0のみが新たな感染者を生み出すというモデルとした。
なお、日々の感染者数は土日のPCR検査が少ないという状況が存在するため、前後1日の感染者数の移動平均をとる。
=>((X-1)日+ X日 +(X+1)日)/3
これをプロットしたものが青線である。
考察
1.オレンジの活動量線と青の感染者数倍率は、なんとなく関係がありそうに見える。つまりその人の活動が5日後の感染者数に関与するということ、土日祝には人の活動量が増加するため、感染者数が増加するというのは最もらしい。
2.2月29日の東京都の休校発表はインパクトがあり、翌週の倍率は1を割っている(3/4(水)近辺)。
3.3月20日(金:春分の日)の3連休は倍率が5を上回っており、活動自粛の効果が薄れたと解釈できる(海外からの帰国やクラスターでの新規増加など考慮外の他の要因もある。)
4.このロジックが正しいとすると、収束するには青の線が1以下を示す必要がある。1以下になると新規患者数が減少に転ずる。この視点で3月28日(土)、29日(日)を見ると倍率は2を少し下回る程度となっている。つまい拡大傾向は続いていて、3月14日(土)、15日(日)と同レベルにとどまる。つまりこのままでは収束する気配がないということである。
5.希望としては、16日(月)、17日(火)は1に近い数字になっている。
また、3月28日(土)には安倍首相が記者会見を開いて「瀬戸際の状況」という認識を示している。これらのことから3月30日(月)の週に倍率が1を切って鎮静化に向かう可能性は存在する。(5日後の数値を基準にしているため、現時点(4月4日)で、3月30日週の数字は出せていない)
図は再掲
結論
今回の推論が正しいとすると、街ではかなり活動量が抑えられているが、残念ながら3月末に感染者増加倍率が1を切っておらず、新規感染者の増加傾向は止まっていない。3連休の結果が出た3月27日(水)あたりには緊急事態宣言を出して、一層の人の活動量を減少させる策が必要だったのであろう。つまり、一刻も早く次の活動を抑制する施策を行うべきである。
追記
今回のシミュレーションはある1日の感染者数のみが5日後の感染者数に影響するというモデルを仮定した。現実には感染者は少なくとも1週間程度は感染を起こすと想定され、感染可能期間を考慮したもう少し複雑なモデルが必要となる。ここでは単純モデルで、考え方を示すにとどまることに留意する必要がある。
また、今回平日のオレンジ線は2月、3月でそれほど変化がなく、人の活動量と感染者数増加と結びつけるには論拠が乏しい。単純に来訪者数のみでは、実際の活動量をとらえるのは限界があるということであろう。渋谷交差点の歩行者数など、人々の活動量がより明確にとらえられるデータが待たれる。
本noteは読み物としてとらえ、しっかりとした情報は厚生省のHP等を参照ください。
以上