誰にもある生理的口臭とは?口臭対策と予防方法
「口臭エチケットは、生理的口臭を対策することが大事ですよ。」と言われても、「生理的口臭って何?」とピンとこないかもしれませんね。
じつは、生理的口臭は誰にでもある口臭のことをいいます。病的口臭のように常に臭ってるわけではありませんが、会話で緊張したときに口が粘ついたり、むわっとした口臭が出るのが特徴です。
だからって、「生理的口臭ぐらい気にしなくていい。」と思ってはいけません。生理的口臭についての知識を得て、しっかりと対策しないことには、周りの人たちに迷惑をかけることになるかもしれませんのでご注意ください。
今回は、生理的口臭の対策と予防のポイントについてお話します。
生理的口臭はどんな臭い
私たちの口腔には500種類異常の口内細菌が住んでいます。それらの細菌が口臭原因物質VSC(揮発性硫黄化合物)を作り出すことで口臭が発生します。
・硫化水素…卵の腐ったような臭い
・メチルメルカプタン・ジメチルサルファイド…キャベツの腐った臭い
医療法人ほんだ歯科の本田俊一歯科医師によると、「生理的口臭患者も病的口臭患者の臭気レベルは、ほとんど差がなかった。」(日本口臭学会一般口演より)とのことですので、生理的口臭を軽んじてはいけませんね。
生理的口臭の原因
生理的口臭は、病的口臭(虫歯・歯周病、内科・耳鼻科疾患など)でない、誰にでも日常起きる口臭をいいます。
それでは、病気でもないのに口臭が起きるのは何故でしょう?
生理的口臭は舌苔から発生するといわれています。(日本口臭学会より)
そして、口臭は、唾液に大きく影響されます。唾液には、口内PHを中和させる作用や、口臭菌を殺菌、口内の汚れを洗浄する、などの働きがあるため、唾液の分泌が十分にあるときには、口臭が抑えられます。
ところが、唾液量が減少すると、細菌が増えて口臭が強くなるのです。これが、生理的口臭の特徴です。
生理的口臭の強くなる時間帯
1、起床時すぐ…睡眠中は唾液の分泌が一日でもっとも少ないため、朝起きた時は口がネバネバして口臭も強くなる。
2、空腹時…食事中は副交感神経が刺激されて唾液の分泌量が増えます。ところが、空腹時には唾液の分泌が減少するため、口臭が強くなる。
鶴見大学歯学部附属病院の口臭外来で実習を行った歯科衛生科臨床実習生64名を対象とした実験(午後4時に口臭レベルを測定)では、42名(66%)が基準値を超えていたそうです。
※鶴見大学歯学部が2009年8月から2010年4月までの間に行った。
この実験結果から、「成人の約3分の2の人は、空腹時には他人でも感知できる口臭を発している」と結論づけられていました。
生理的口臭が強くなる人
生理的口臭は誰にでもありますが、次のような場合には口臭が発生しやすくなります。
・ 女性の生理・妊娠時・更年期
・学童期
・思春期
・老齢期
口臭を気にすると口臭が強くなる
たとえ生理的口臭でも、自臭症や口臭恐怖症になることがあります。
口臭の最大原因は唾液量の減少です。唾液は自律神経からの指令で分泌されますが、恐怖心や不安が強いと自律神経が乱れて、口腔乾燥になり口臭が強くなります。
それだけではありません。口の粘つきが気になる、舌がひりひりと痛い、口が臭い、と一点に気が集中すると、その症状が悪化することになります。
口臭を気にしすぎないようにすることも大切なことです。
生理的口臭の対策と予防
1、 口腔ケアの徹底…特にブラッシングをていねいに行うことは、歯垢の除去だけでなく、虫歯や歯周病の予防になるので大切です。
>その口臭、歯垢が原因かも?
2、 唾液分泌の促進…過労・睡眠不足・緊張・ストレスによる唾液分泌の減少は、口内に汚れをため、口臭の原因になります。規則正しい生活や食生活を心掛けるとともに、こまめに水分摂取することも必要です。
>ドライマウス対策
3、 適切な舌苔ケア…舌の磨きすぎや、歯磨き粉に含まれる「合成界面活性剤」、マウスウォッシュの「アルコール」などは、口腔乾燥を引き起こし口臭を強くします。舌苔を除去する時は、舌の奥から2~3回やさしく磨くようにして下さい。
>舌苔の除去方法