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ペパボのことと、転職のふりかえり

今月のゴールデンウィークの終了とともに、GMOペパボを退職する。

で、誰?

…と言われると思うので簡単な自己紹介をすると、私 @udzura はインフラ周りを中心に色々とやっているWeb・インターネット系エンジニアで、社内SEやECサービスやオンラインゲーム開発など色々やってきた中、2013年に株式会社paperboy.co.jp(現GMOペパボ)に入社、同年福岡移住をしてきた。

また、RubyKaigiやCloudNative Daysでの登壇、RubyKaigi 2019 のローカルオーガナイザなどコミュニティ活動もそれなりにしてきている、という経歴だ。あとは検索すれば大体出てくるということで…。

RubyKaigi 2019 フィナーレにて。 ペパボのブログから画像引用

ペパボには、8年半ほど在籍し、以下のようなサービスに携わった。

直近1年ほどは直接サービスではなくBigfootという名の社内データ基盤に携わり、2021年からはデータ基盤チームの立ち上げをリードした(リードした、と言いつつ、単にメンバーに恵まれた説はある)。

ペパボは本当に素晴らしい会社で、従業員のことを第一に考える姿勢が徹底しているように思う。

特にこの2年間の新型コロナ禍においては、ペパボの迅速にリモートワークに振り切った決断と、GMOグループとして早急に職域接種を進めたオペレーション力により、自分や家族のコロナ罹患の危険性が軽減されたように思う。このことは、結果的に様々な状況の変化に振り回されることなく目の前の業務の課題に集中することにつながっただろう。本当に感謝したい。

また、ペパボは本当に技術を愛し、技術力のあるエンジニアが所属する組織だと思う。退職した人を含め、一緒に働けて本当に良かった、と思わせてくれるエンジニアと何名も出会うことができた。

そして、特に最後に所属したデータ基盤チームは、課題と技術に向き合い、社内外のユーザのことを第一に考えることができるメンバーが揃った、素晴らしいチームだった。彼ら彼女らと働いた1年を誇らしく思う。


そういう中で働いていて満足している面もあったが、あと一歩踏み込んだ成長を漠然と考えるようになり、こと昨年後半にとある友人(なお、エンジニアではない)の転職報告を見て以来、なんとなくいろいろな会社の話を聞くようになった。

正直、転職活動はナメていた面があって、十分に企業研究や自己分析をした状態だったとは言い難かった。当然それは甘い見込みで、最初に受けた某社は面接でフルボッコにされた。

そこで軽く底つきがあり、それきっかけで転職活動にあたって自分の軸、会社の軸を見直すことにした

語りから自分の軸を考える

元同僚が考案したキャリアキーノートという、自分の内的キャリアを考え直しつつ語る方法があるのだが、それを思い出しつつ自分が今までに会社でやってきたことを「語り」として振り返った。その上で、一番自分が夢中になれたことは何か考えてみた。

キャリアを語り上げた内容に、大名エンジニアカレッジというブートキャンププログラムを立ち上げた経験があった。

このときは、目の前の生徒たち(=ユーザ)のため、刻一刻と変わりゆく状況に対応するため、カリキュラムの変更や教材の練り直し、懇親会という名のユーザインタビュー実施、その他ヒト・モノの各種調整などひたすら奔走していたのだった。

今思い返してみると一番夢中になった時間だったし、何故かというと我を忘れてユーザと向き合ったからではないかと思い至った。何せ、何もしなければ生徒は来なくなってしまう。燃え上がるような現場がそこにあった。

自分自身、基盤部門に携わることが多く、そういう技術ドメインでは仕事のエンドユーザへの影響は間接的になってしまう。ともすれば、それを言い訳に技術ドリブンで意思決定をしがちだけれど、大名エンジニアカレッジの時を思い出すと、ユーザと向き合うことを最近忘れてしまっていないか? そして向き合いの苦しみや興奮を思い出せるような現場が、自分が真に求めるような仕事ではないか? と考えた。

企業研究をする

同時に、書いてみるとこんなことは当たり前なのだが、応募先企業の研究を徹底してやるということをやった。

徹底と言っても、コロナ禍中であり、主にインターネットを活用した。ところでスタートアップを含む最近の企業は、採用と企業自体に関するアウトプットをかなり広く、継続的にやっているところが多い。例えば以下のようなものがあると思う。

  • テックブログ

  • 技術者以外の社内の様子のブログ(入社インタビューなど)

  • ビジョン、バリューの説明

  • Company Deck

  • Podcast

  • 代表、CTOなどのアウトプット

  • イベントなど登壇のまとめ、etc…

そこで、この時点で選考が進んでいた企業については、これらの内容について基本的に全部目を通すことにした。

これらは、インターネットに公開されている内容であるし、私はインターネット大好き人間なので、本当に興味があるのであればインターネットに公開された情報は全部読むというのが基本姿勢だと常々感じている。

…と言いつつ、時間の捻出が大変なので、最終的に達成できたのは5〜6割と言ったところだった。ぬるいネット人間ですいません…。

で、この「企業のアウトプット全部読む」、を実施することでいくつか得られたものがあった。

まず、その会社のビジョンとバリューがどれくらい徹底してるのか、というところが見えてくる。特にバリューに関する発言が、色々な社員のアウトプットに繰り返し出てくる会社は、本気でそれをやりたいと思っていると判断できそうに思う。また、エンジニアだけじゃなく、デザイナー、セールス、アナリスト、ディレクター、カスタマーサクセス、そしてもちろん経営陣など様々なロールのアウトプットも確認するようにした。

帽子(参考: 帽子の用例)の種類に関係なくビジョンとバリューの達成を本気で自分の問題としているかを観察したかった。

また、テックブログからその会社の技術的課題が透けて見えたりもするので、そういうところも含めネトストしていく。技術的課題と自分の得意分野がマッチするのならしめたものだと思う。

そして、ここまで全部読みにチャレンジすることで、自分と会社のマッチ度が否応なしにわかるようになる。全部読みをしていて自然と「お、どんどんアウトプット読んだろ!」と思える会社なら自然と面接も楽しみになるだろうし、「読んでるけど、う〜ん、心に響くところが…」となれば、そもそもカルチャーマッチ面で選考がうまくいかない可能性もある。

特に私の場合、ユーザと向き合った開発がしたいという軸が見えていたので、ユーザのことを考えたり観察している内容を探し、そういうことができる企業か、勉強できそうな企業かを判断した。


以上に挙げた2つのアクションは、有体に言えば自分語りインターネット観察なので、よく考えたら普段普通にやっている(むしろ程々にしなさいとたしなめられる)だけのことなのだけれど、一方で、元任天堂社長・岩田聡さんの言葉の一つに「自分の長所を見つけるには、自分が楽にできることを探すこと(大意)」というものがある。

意識してこれらの自分が楽にできる(=得意な)ことを重点的に実行するようにした。そうしたら面接での反応はだいぶ変わってきた(それでも苦労はしたが)。そして最終的に複数社からオファーをいただいた。

こういうプロセスで選んだ企業なのでどこにするかは本気で迷った。当然、自分とのマッチ度が全力の企業ばかり残ったため。しかし、最終的に1社に受諾の返信をした。


繰り返し書き残しておくけれど、ペパボでの仕事には満足していて、大きな不満はなかった。ただ、8年間もいることで慣れや甘えなどはどうしてもあったのではないかと思う。

そういう意味では転職活動は、強制的な自分のキャリアや軸の棚卸しになって、その面でも良いキッカケではあったのかもしれない。

キャリアを振り返った中でも、ペパボでの8年間は本当に得難い経験だったと思う。お世話になりました。

(そして、転職先の話はまた今度。)


(冒頭は福岡市提供の海の中道の写真です。暖かくなってきたので内容に関係なく載せてみた。そろそろ行きたい)

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