我らが秘密結社『死凶星団』に栄光あれ!
――『死凶星団』。
それは闇に紛れ、人知れず世界の転覆を目論む秘密結社……らしい。
今ここには、そんな『死凶星団』の最高幹部ら四名が結集していた。実は最盛期には七名の人員がいたのだが、ここに集う四名にとって、いなくなった三名のことはどうでもよかった。
会議の幕は上がる――。
†
「……クックック」
「……フッフッフ」
「……キシシシシ」
「……それでは、我らが秘密結社『死凶星団』の第八五二回全体会議を始める」
「「「御意」」」
「同士キグナス、報告を」
「――あっ! ヤバい!」
「どうした、同士シリウス」
「今日『お仕事少女スギナミカ』の初回放送だったんだ! 今すぐ帰らなきゃ!」
「なんだと! キサマ、全体会議とアニメとどっちが大事なんだ!」
「そんなの、圧倒的にアニメだろ! お前らもいつまでもこんなことやってないで、早く帰れよー!」
「待て! シリウス!」
「……行っちゃった」
「くっ、仕方ない! 会議を続ける!」
「おー」
「同士キグナス、報告を」
「あー。昨日は妹とスマブラやって、五回勝負で勝ち越した。以上」
「――こら、真面目にやれ」
「あぁ、悪い悪い。……えぇっと、昨日は我が宿敵ダークムーンと恒例の闇のゲームで争い、勝利を収めた。……これでいいか?」
「うむ。さすがは戦士キグナスだ」
「……俺、戦士だっけ……?」
「次! 同士ベガ!」
「――ねぇ、ちょっと物置の陰に集まってるそこの男子たちー」
「る、るる、ルリちゃんっ!? ど、どうしてここに!」
「あ、いたいた。……タケルちゃん、さすがに六年生にもなってコレはないよ」
「……こ、コレってなんだよ」
「そのダッサイ変な格好に決まってるじゃない」
「う、うう、うるさいなっ! こ、これは僕たち『死凶星団』の正装なんだ!」
「うわあ、ぞでぃあっく? イッタいなぁ〜」
「もう、用がないならあっちに行ってよ!」
「……うん。わかった。バイバイ」
「……行っちゃったね」
「…………」
「おい、タケル。どうする?」
「タケルじゃない」
「同士アークトゥルス」
「……今日の会議は解散とする」
「はいよ。明日は?」
「……いつも通り、定刻開催だ! では、解散!」
「……行っちゃったよ」
「……なあ」
「何?」
「せめて俺たちだけでも、最後までアイツに付き合ってやろうぜ」
「ごめん、無理」
「えっ」
(完)