史上最低?な親父キャラ
大家族を題材にしたドラマや特番はたくさんあるが、自分はあまり好きではない。
実家は6人家族で核家族としては多いほうだったため、大家族特有のカオスに満ちた日常の描写が微妙に記憶とリンクしてエンターテイメントとして消化しきれなかったのだ。
しかしそんな私がタイトルだけで興味を持ったドラマが
「シェイムレス 俺たちに恥はない」である。
ちょうどコメディと家族愛的なサムシングにはまっていたのもあってさっそく視聴を開始した。
が、これがまたとんでもないドラマだった。
シカゴの下町に住む7人家族。
父親フランク、長女フィオナ、長男リップ、次男イアン、次女デビー、
三男カール、四男リアム。
母親は離婚こそしていないがとうの昔に家を出ており、残された家族は貧乏と闘いながらたくましく日々を生き抜いていくのだ!!
ここだけ書くとよくある大家族ものであるが、問題はそれぞれのキャラクターである。
フランク・・・父親とは生物学的な意味合いのみで、いかに働かず酒を飲んで生きるか以外考えていないアル中。自分のためなら家族だろうと何だろうと利用しては裏切る連ちゃんパパも真っ青のどクズ。あまり家にいない。
フィオナ・・・兄弟たちの実質的な親。毎日家族の世話をしてバイトしてお金貯めて必死に生きている。美人。しかし学が無くいい職には就けない。さらに根がビッチな下町娘のため色恋関係で色々失敗しがち。
リップ・・・眠そうな目元のヤリチン。ものすごく勉強ができる。「女なんかに金は使わない」というスタンスだがヤバい女には割と惚れやすい。家庭教師や試験の代行で稼ぐ。
イアン・・・ゲイ。特にカミングアウトしていないが家族にはちょいちょいバレて周知の事実になる。バイト先のコンビニオーナー(既婚でムスリム)がセフレ。のちのち双極性障害を発症。赤毛。
デビー・・・小学生。赤毛。チラシのクーポン等を集めて家計に貢献している。初期は純粋な子供だが、シーズンが進むにつれて思春期真っただ中なキャラクターに。彼女の成長もこのドラマの見どころ。貯金はネットバンク派。
カール・・・サイコパス気味な少年。初めのころは人形をレンジでチンする程度だったが成長するにつれて分別は育つものの、平気で人を傷つけたり(地域の住人は皆そうだが)犯罪行為に積極的に加担したりするようになる。
リアム・・・赤ちゃん。父親も母親も白人だがなぜかこの子だけ黒人。母親が通っていたジムのトレーナーに似ているとかなんとか。家族は誰一人として人種の違いを気にしていない。
メインの家族だけでお腹いっぱいになるボリュームだが、これに加えて各シーズンにレギュラーメンバーが他に3,4は人居るため毎回もの凄い数の人物が登場する。まさにカオスだ。
特に問題なのが父親フランクだ。
障害者手当や死んだ叔母の年金を不正受給したり、家から追い出された腹いせに子供たちを福祉課に通報したり、息子の彼女の家に寄生したり、子供たちが貯めたお金を酒とドラッグに溶かしたりと、見ているだけで思わず画面をぶん殴ってしまいそうになるほどの清々しいクズだ。
日本のドラマならどこかで改心するかシーズンを重ねる毎に少しは行動や考え方がマシになるところだが、フランク・ギャラガーはそんなタマではない。逆境は詭弁と演技で潜り抜け、今日も誰かの財布で暮らす。ゴキブリよりもしつこく、殺しても死なない史上最低な父親。
それがフランク・ギャラガーだ!!
アメリカのけっこう悲惨な貧困の現状をブラックすぎるコメディに仕上げたこのドラマ、元はイギリスで放送されていたもののリメイクだそうだ。たしかにギャラガーって苗字はイギリスっぽい。
興味が出たらぜひ視聴してほしい。
思春期超えたら人間って簡単には変わらないんだなぁ。。。という悟りを開けるかもしれない。私は開いた。
余談ではあるがフランクを演じるウィリアム・H・メイシーは第77回ゴールデングローブ賞でのリッキージャーヴェイスによる猛毒スピーチの犠牲になっている。ウケる。
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