運動会と安全管理 ~未来の運動会に安全大魔王がいる理由~
みなさん、こんにちは!UDKAのISAOです。絶好の運動会シーズンですね!
東京でもこの5月有楽町の東京イノベーションベースを使って「未来のCCBTの運動会」がおこなわれました。
この運動会の様子についてはまた別の機会に。
今回はISAOが「未来のCCBTの運動会」で担当した「安全大魔王」について紹介したいと思います。
安全なのに「大魔王」?
名前からして変な「安全大魔王」。この安全大魔王とは競技に参加せず、ひたすら会場のなかで安全が守られているかを見守る安全監視係のことです。
その姿はこんな感じ。
とても安全監視係には見えない風貌。なんか怖そうなことだけはわかります。実際に子ども達もイジりにくるもののどこか表情の読めない安全大魔王にちょっと距離をおいています。
スポーツ共創で競技や種目を考える「未来の運動会」では、ときに予想もつかないようなエネルギーの爆発が起きます。これまでにも面白い競技を考えるあまり、みんなで会場のものを積み木のように積み上げて数メートルもあろうかという体育用具の上に立とうとする、なんて文章にしてみるとまるで意味がわからないようなことが共創の場では起こり得ます。
これはみんなが「つくること」に没頭している証拠で、ついついリミッターが外れてしまうことがあります。そこで登場するのが「安全大魔王」です。共創に参加せずにらみを利かせる大魔王は、ある意味「共創を邪魔する存在」のようにも思えます。しかし、ちょっと待ってほしい、本当にその共創、安全ですか?と立ち戻るシンボルとして「安全大魔王」は存在しています。
参加者だけではありません。スポーツ共創ではスタッフすらも熱狂にあてられて巻き込まれていく場面があり、「安全大魔王」はスタッフも含む運動会全体を俯瞰するメタ的な存在として機能します。
「うそをついたら閻魔様がちゃんと見ていておこられるんだよ」。昔々のおじいちゃんやおばあちゃんのお話のなかには我々を監視するこわい存在がいました。これは世界を超越した俯瞰した存在がいると考えることで、個々人の行動を適度に律する効果がありました。
未来の運動会では安全監視係として単なる監視スタッフを設けるのではなく、生きた安全のシンボルを置くことでルールで縛ることなく安全の気付きを個々人に考えてもらうきっかけを作っているのです。
安全大魔王が教える「運動会の危険ポイント」
安全のシンボル「安全大魔王」。シンボルだからといって突っ立っているだけでは生身の人間が担う意味がありません。シンボルでありながら、ちゃんと安全チェックがおこなえることが重要です。
かといって、過剰に危険を抑止するのも共創の盛り上がりを阻害します。安全大魔王は以下の3つの行動を基本としています。
危険予防:なんか危険が起きそうなヤバそうな場所があったらその場所に立ちにいく。ただし危険なものは排除しない。
危険表示:危険が起きそうな瞬間が近づいていたら「危険」を表示、警告する。ただし危険は排除しない。
危険排除:危険が起きた瞬間、危険を取り除く行動に出る。
危ないなー、と思うような段差や道具、運動会がおこなわれる場所にはそんなところが山ほどあります。「安全大魔王」はそれらをすべて監視し、危険度の高まりにあわせて1→2→3の行動に出ます。
危険な行動のなかには一度起きてしまったら元に戻せない「不可逆な危険」というものが存在します。大爆発がおきたり大崩壊が突如おきるような危険は運動会ではほとんどなく、緩やかな連続のなかで止めることができなくなるのが運動会の危険です。なので不可逆になってしまう瞬間がいつなのかが重要です。例えばこんな危険。
・放置されているバブルボールで子どもたちが遊んでケガ
未来の運動会でもよく使用されるバブルボールは、ボール状のクッションを身にまとう安全性を高める道具ですが、使用方法を守らないとかえって危険な場合が。装着する穴は狭いため、体格のいい子どもや大人は装着後に手を伸ばすことができなくなることが周知されていない場合が多く、安全ベルトをせずにそのままひっくり返って頭から床に落ちて頸椎を傷める事故が一般のスポーツイベントなどで起きています。
安全予防の観点で言えばバブルボールを放置しないことが正解ですが、せっかく子ども達が遊びの中でスポーツ共創をおこなっているのを止めてしまうことも忍びないとも考えます。
この場合、危険が不可逆になってしまう瞬間は「安全ベルトをしていない」「バブルボールが上下さかさまになる」点に注意して危険予防につとめています。
・ヘルメットの顎ひもで酸欠
競技につかう安全用のヘルメットは頭部を守るプロテクターとして使われますが使い方に注意が必要な場合があります。普段は自分のサイズにあわせて調整する顎ひもですが、運動会でヘルメットをバトン代わりにした際に子どもから大人にバトンタッチして、早さを競うあまり子どもに合わせていた顎ひもを無理やり装着して競技中に酸欠になる事故が過去に起きています。
みんなが夢中になる運動会では大人や子ども関係なくみんな一様に「大人げなくなる」ことが安全監視の前提です。安全は二の次になって勝つことに集中してしまいます。
この場合、注意しないといけないのは、急遽、「ヘルメットをバトンにしよう」とより安全になるのだからと本番にいきなり導入される場合が見られることです。どんな競技改良であってもまずは一度本気で試してみることが重要です。
・玉入れを支える三脚に足をひっかけて足首を脱臼
流通している玉入れのカゴは実は2種類存在しており、高さが高いものと低いものがあります。高い玉入れのカゴは転倒防止のために足元が三脚状になっていることがあり、ここに足首をひっかけて脱臼する事故が過去に起きています。
もともと低い玉入れのカゴは底板で支えるものがほとんどで足をひっかけることはありません。玉入れ競技ではカゴに視線が集中するため足元にひっかかる部分があるのは製品としてNGとされています。ではなぜ高い玉入れのカゴは足元が三脚状になっているかというと、本来の想定通りカゴの位置が高ければ放り込むためにカゴの足元から人は距離を取ることが想定されているためです。脱臼事故がおこったのは本来高いカゴで使用するものを低くして使った想定外利用にあります。
スポーツ共創による運動会では道具を想定外使用するケースがよくあります。道具や環境で担保されている安全に頼るのではなく、原点に立ち返って安全予想することが「安全大魔王」には求められます。
さいごに
今回は未来の運動会の「安全大魔王」の紹介とともにスポーツ共創と運動会の安全についてふれてみました。
私たちの社会の中で安全は誰かに担保されているものがほとんどなのですがスポーツ共創ではまったく新しいものが生み出されるなかで安全に向き合う態度が改めて問われます。
「安全大魔王」はそんな態度を後押しするようににらみを利かせるナイスな存在として今日も運動会の安全を守ります。
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