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データ収集はできている。「それで、どうする?」から始まった本格的なDX推進施策
東京都「DX人材リスキリング支援事業」※に参加されている、ケミカルグラウト株式会社の唱さん(経営戦略コース)と橋本さん(業務効率化コース)のお二人に、現状の学習成果やこれからの見込みについて語っていただきました。
ケミカルグラウト株式会社
あらゆる分野の地下構造物の建設を通じ、国内はもとより、世界の社会資本の充実・発展に寄与している地下に特化した総合エンジニアリング会社。「技術立社」を社是とし、施工管理・開発・設計、そしてアフターフォローまでをトータルに行い、複雑化していく様々な地下工事を担う。
業務のデジタル化、データ収集を進める中で「活かし方」に課題
――DX人材リスキリング支援事業に参加した背景についてお聞かせください
▼唱さん(工務部 次長 経営戦略コース)
私は技術職として採用され14年現場を経験し、その後は営業や総務、設計などを経て、現在は工務部に所属しています。次長として人材育成や業務の効率化を通し、会社全体がスムーズに動くようにオフィスからサポートする立場です。
当社では、数年前から現場の安全パトロールや作業の進捗管理をデジタル化する取り組みを進めていました。情報管理システムでデータを集約する仕組みが整っていく中で、蓄積したデータをもっと戦略的に活用したいと考えるようになりました。データを経営戦略的に活用するために必要な知識を体系的に学べる事業として参加を決めました。
▼橋本さん(工務部 業務効率化コース)
私は事務系の職種として入社しました。入社以来、経理や現場事務などの部署で、現場を支えるバックオフィス業務を担ってきました。現在も工務部の事務支援グループに所属して、現場の運営が円滑に進むようなサポートに専念しています。
バックオフィスから現場を支援する中で、経験的に定着した業務プロセスに対する課題を感じていました。いわゆる「従来のやり方」の非効率になっている部分を見直し、改善するための手法を学ぶ必要があると考えて、業務効率化コースの受講を決めました。
座学と課題、実践のサイクルを回し、知識の定着とトライアンドエラーを加速
――受講してみた感触はいかがですか。課題は解決できそうでしょうか。
▼唱さん
経営戦略コースでは、これまで書籍などで得てきた知識を、改めて体系的に学び直しているなと思います。講師の説明が分かりやすく、講義の後には課題も出ます。「SWOT分析」などの有名なフレームワークを自社に当てはめる考え方であったり、現場で得た知識・経験を経営視点に結びつける方法であったりなど、座学と実学を同時に進める実践的な課題があるため、書籍で独学していた頃よりも、理解や知識の定着が進みやすいと感じています。
▼橋本さん
業務効率化コースでは、すぐに使える業務の見直し方法を具体的に学べました。業務フローのどの部分を、どのように見直し、どのように改善の余地を見つけるか。一連の流れを明確にするための、実践的な手法を教えてもらえます。
学んだことを現場にすぐに適用でき、実際に日々の業務改善にも役立っています。各種ツールの活用方法はもちろん、それらを取り入れた上で、業務改善のPDCAサイクルを回しながら改善を続けるフレームワークについては、非常に参考になりました。
さまざまな立場との対話を進め、全体最適なDXに取り組む
――実際に学んだことは、現在の業務でどのように活かせていますか?
▼唱さん
ここで学んだ知識には、組織全体の効率化に向けて活かせる部分が多いと感じています。それで今は、自分が得た知識を社内に広く周知する活動を始めている段階です。
経営層に対しては、先に述べたSWOT分析などを使うと自社の強みや課題をキレイに整理できると対話がスムーズになりますね。特にDXについての関心は高く、現場の視点から提案できる点が増えたのはありがたいです。
現場に対しては、デジタルリテラシーや効率化の意識をどう浸透させるかが課題です。従来のやり方を見直すこと自体に抵抗がある中で無理に方法を変えてもうまくいきません。これまでのやり方や経験を尊重しつつ、使いやすい部分からツールを試してもらって、徐々に効果を感じてもらうようなアプローチをしています。DXの考え方に馴染みやすい人も抵抗感のある人もいますから、互いの橋渡しをして、具体的な手法を共有したり、実際の事例を見せたりしながらフォローしています。組織全体が一緒に改善へ向かっていけるように、サポート体制も整えたいところです。
▼橋本さん
私は業務効率化コースで学んだ知識を共有・実践するための社内チームを立ち上げました。経理や総務など事務系メンバーを中心に、改善意欲の高い人材をあちこちから発見できました。メンバーが『もっとこうしたら良くなるんじゃないか』という意見を積極的に発言してくれるため、プロジェクト全体がとても前向きな雰囲気で進められています。
具体的には、現状の業務フローを見直して新しい手順をマニュアル化する、RPAやITツールを使って反復的な事務作業を自動化する、などに取り組んでいます。効率化が進めばメンバーがより重要な業務に時間を割けるようになり、それでさらに良い改善案が出たりする……この流れが、社内のモデルケースになれればいいと思っています。会社全体に広げていきたいですね。
DX人材を育成し、業務改善を全社的な流れに
――今後の受講目標や、学んだことの活かし方についてお聞かせください
▼唱さん
今後、部門を越えた連携を強化してデータ活用を全社的に推進したいと考えています。また、若手社員の育成にも注力したいですね。将来的には各部門にデジタル化や効率化のプロジェクトを自発的に進められる人材を立てたいです。
▼橋本さん
現在の業務改善チームの動きを他部署に広め、業務効率化の流れを社内全体に浸透させたいです。チーム内で試していたRPAを本格的に導入し、デジタルツールの実績を積み上げて、全社的にデジタル活用の意識を高めていきたいですね。
※東京都では、2024年度現在、都内中小企業を対象にしたDX人材を育成するための学習プログラム、「DX人材リスキリング支援事業」を実施しています。(事業概要はこちら)
※本記事は、株式会社ベネッセコーポレーションが東京都の許諾の下取材を実施しています。