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【From Our Editors】番外編|ZINE『みんなの#品川研究』を品川THE CAMPUSでリリースします

『みんなの#品川研究』? 品川THE CAMPUS? いろいろな文脈が隠れており、かえって謎が深まるばかりですが、NTT都市開発 デザイン戦略室は2018年からnoteで展開してきたコンテンツの再編集+αをZINEとして2025年春に『Authors』というタイトルで発行します。
その予告編的ZINE『みんなの#品川研究』をCity is our Dancefloor Booksのアクネサトコさんと制作し、11/27から30に品川THE CAMPUS周辺で開催される「CULTURE SNACK」で配布します。

Text by Takrafumi Yano@Takram

品川と聞くと、どのような風景を思い浮かべますか?

きっと港南口に抜けるコンコースを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。今回の「CULTURE SNACK」のメイン会場であるTHE CAMPUSのある品川港南口エリアは、ひと言で表現するならば「ワーク・オフィス街」。「THE 品川」という面が際立ったエリアです。

2024年11月27日(水)から30日(土)まで開催される「CULTURE SNACK」は、「まちとひとのB面があつまる100時間」と題して、その品川THE CAMPUS周辺で単なる「ワーク・オフィス街」としての面ではないことに、さまざまな企業や個人がフォーカスするイベントです。

品川の地域の隠れたカルチャーをみんなで楽しんだり、そこで過ごす人、自然、アートや文化をつないで交流を生み出したり、街に自分の居場所があり、愛着を感じられることをめざしていきます。

今回、わたしたちが出展に至った経緯は2つです。

ひとつは、2022年からデザイン・イノベーション・ファームTakramと本格的に取り組んできた「まちづくりのオルタナティブ」のリサーチプロジェクトのめざす方向性と重なる部分が多かったこと。

もうひとつは、2025年春に発行を予定しているZINE『Authors』について、少しでもお知らせできるといいのではないかということ。

出展するにあたって、せっかくならばZINE『Authors』の一部でもお見せできたらよかったのですが、まだまだ制作のとば口。そこで、これまでのリサーチの知見を活かした「品川のオルタナティブ」をリサーチすることにしました。

今回、リサーチのコラボレーターとしてお声がけしたのが、City is our Dancefloor Booksのアクネサトコさんでした。アクネさんは「ナイトライフを通じた都市介入」をコンセプトにしたZINE『都市はわたしたちのダンスフロア』を制作したり、英国のジャーナリストであるエマ・ウォーレンが著した『Document Your Culture』の翻訳を手がけたりして います。『Document Your Culture』は、誰しももっている「特別な場所」を記録する方法をしたためたZINEです。アクネさんにとって品川は、いわゆる「特別な場所」ではないですが、場所性を記録するためのヒントが得られればという目論見をもって依頼をしました。

さっそく10月の中旬からリサーチスタート。アクネさんとともに、港南口から品川埠頭、北品川から再開発真っ只中の高輪口など、品川のオモテ面ではない場所をディープに練り歩いてきました。

そして、街を歩いて、見て、(時々、呑んで食べて)感じたことを、アクネさんにコラムにまとめていただいたのが、『みんなの#品川研究』です。印刷も凝りに凝ってリソグラフでプリントしていて、収集心をくすぐる仕上がりになっています(Slogan Studioさん、素敵なデザインと印刷をありがとうございます!)。

courtesy of Slogan Studio

今回、「まちとひとのB面があつまる100時間」と題して、品川THE CAMPUS周辺で単なる「ワーク・オフィス街」としての面ではないことに、われわれもフォーカスしましたが、この制作がスタートするまで、品川は仕事の打ち合わせくらいでしか降り立つことのない街でした。1回の滞在時間も、せいぜい1時間程度。しかし、今回のリサーチで、品川エリアに短期間ではあるものの10日くらい(滞在時間も1回3〜4時間)どっぷり浸ってみると、これまで見えていなかったことが、ネガプリントのようにじわじわと現像されてくる。「あれ? 品川ってこんな街だったっけ?」という具合に。

そして、もうひとつ感じたことは、街の人同士が意外にお互いのことを知らないということ。しっかりローカルな人でもTHE CAMPUSがあることを知らなかったり、その逆で「そんなお店があるんですね!」と言われたり。点が点のままではなく、線になっていくと、街はもっと生気を帯びてくるのではないかという問いは、制作中の『Authors』のコンテンツづくりの重要なヒントとなりそうです。

courtesy of Slogan Studio

街はそこに介在する人の数だけ、見方、感じ方、過ごし方があることに、改めて気づかされるリサーチでした。今回の『みんなの#品川研究』で切り取った品川は、あるひとつの視点でしかありません。このZINEを片手に品川を巡るもよし、その追体験の先に新たに感じる“あなたの品川”を見い出すもよし、あるいはまったく新しい「#品川研究」を記すのもよし。

『みんなの#品川研究』が、あなたの「#品川研究」や別の街の「#◯◯研究」づくりを後押しするきっかけになれば嬉しいです。

このZINEが気になる方は、ぜひNTT都市開発 デザイン戦略室『Authors』編集部のブースに遊びにいらしてください。お待ちしています。

courtesy of Slogan Studio

主催&ディレクション
NTT都市開発株式会社
井上 学、吉川圭司(デザイン戦略室)

企画&編集
渡邉康太郎、矢野太章(Takram)

コラム執筆
アクネサトコ(City is our Dancefloor Books

エディトリアルデザイン&プリント
Slogan Studio