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わたしが同性婚の法制化に賛成する理由

もうすぐ衆議院選挙の投票日。気になることはいろいろとあるけれど、わたしが同性婚の法制化に賛成する理由について、書いてみたいと思いました。

わざわざ法制化せんでもいいっちゃない?

多くの、当事者ではない方々は、こう思っていらっしゃるのではないかと思います。実を言えば、わたしもそう思っていました。娘が小児がんになって入院するまでは。でも、娘の入院治療をそばで見ていて、これは法制化、したほうがいいよね、いや、しないといけない、と思ったのです(ちなみに娘はいま、元気に大学に通っています!)。

娘の入院で感じたこと

娘のがんの発見は、まさに晴天の霹靂でした。転んで打ったところが痛い…学校から帰ってきて、そう話す娘。検査の結果は、いきなりの、「腫瘍があります」でした。
もうまったくわけがわからないです。看護師さんに用意してくださいと言われるいろんなグッズも、名前を言われたってなんのことだかわからない。それでも進む治療。「お母さんいいですか」のひとことで始まる説明、承諾、サイン。
そのとき、家族の裁量って怖いくらいに、大きすぎるくらいに大きいんだな、と思いました。いざというときには、命にかかわることを決めなきゃならないくらいに。

そして、娘の入院は、コロナ禍が始まる直前。入院してから数か月後、世の中がパニックになりました。

娘の下に息子がいて、発達上の特性から人に預けるのがむずかしくって。娘も中学生だったので、わたしは家から病院に通い、着替えを届けたり、説明を聞いていろんな書類にサインしたり、していました。

そんな中のコロナ。

看護師長さんにOKをもらって、夜間の立ち入りも特別に許可してもらいました。「家族」だから。娘が、お母さんに会いたい、って言ったから。

わたしだって、会いたいです。抗がん剤治療、つらいです。吐いたりとか、します。娘が吐いてるときに、背中もさすってやれないなんて、そんなバカな話はないじゃないですか。息子にできるだけの説明をして、おばあちゃんに息子をあずかってもらって、病室にパソコンを持ち込んで翻訳の仕事を進めながら、抗がん剤の投与中は病室にいさせてもらったり、していました。

コロナ禍のまっさいちゅうに、ありえんっちゃない?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。まさにVIP待遇だったと思います。いま思えば。

それもこれも、「家族」だから。

けれど、大変な日々のなか、ふと思いだしました。同性のパートナーで子どもを育てている方のお話。子どもが入院しても、そばにいられなかったこと。

「家族」じゃなかったとしたら。もし法的な裏付けがなかったとしたら。わたしは娘のそばにいることはできないんだな、と思ったのです。

法律上、「家族」である、というのは、とても、とても、強いことです。

けれど、「法律上の家族ではない」、それだけの理由で、家族同然に暮らしてきた方々が、病院の壁にはばまれて会えない。そんなことが、あっていいはずはない、と思いました。

病気になったとき、倒れたとき、いちばんに手を握っていてほしい人は、いまの法律では「家族」とは、されない人かもしれない。複雑な事情はたくさんあるとしても、もし、法律の変更だけで救われる人たちがいるのなら、法律は変えたほうがいい。そう、思ったのです。

結婚制度をこそ解体すべき?

…こんな意見も、目にします。結婚制度や戸籍制度こそが個人の尊厳をおびやかしているのだから、同性婚を法制化するよりも、結婚制度を解体したほうがいい。そういう意見です。正直に言うと、わたしも以前はそう思っていました。でも、でも、です。

このごろでは、そういうお話を目にするたびに、金融関係の本で読んだ言葉を思いだします。うろ覚えですが、こんな感じでした。

「下落した株価は、いつか必ず上がる。ただし、人間の寿命がそれまでもつかどうかは、わからない。」

そう、いつか法律は、社会の制度は変わる。でも、人の命には限りがある。いまは元気いっぱいでも、あした、倒れてしまうかもしれない。いますでに高齢の方だって、いらっしゃるでしょう。

「いつか」を待っている時間はない。そういう方はたくさんいるはずです。同性婚の法制化は、すでにほかの国々で実施されているのですから、月や火星に移住したりなんかするよりも、ずっと、早く、すぐに、実行できるはずです。

「法律上の家族です」

そう言えさえすれば、子どもが入院中にそばにいてほしいと願ったときに、いっしょにいられる。それって、とってもすてきなことじゃないですか。そしてそれは、とってもあたりまえなことなんです。家族なんですから。

くりかえしになりますが、病院では、法的な家族であるというのは、とても、とても、強いことです。

いきなり倒れたとき、そばにいてほしいと願うパートナーが同性で、法的になんの裏付けもないせいで、手も握ってもらえないなんて、そんなバカな話はない、と思います。

異性のパートナー同士でも法的な結婚をしない人はいる、そう言われる方もいるかもしれないけれど。

選べるのか、選べないのか。

このふたつのあいだには、とても、とても、とても大きな違いがあります。選ぶことさえできないという状況は、あってはならないと思っています。

そして衆議院議員選挙…

Marriage For All Japanが、同性婚に賛成する候補者がわかるサイトを公開しています。


こういう試みも!

投票のときに参考にしていただけたら……。

あ、最後になりましたが、「合法化」ではなく「法制化」だと、わたしは思っています。だって、同性同士で愛し合うことって、違法でもなんでもないんですから。

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