「アニメ×デザイン」時代の流れを簡単に考察してみる。【前編】
最近は当たり前のようにアートワーク・ロゴデザイン・プロップデザインなどのデザインに関する表記が、アニメEDのクレジットで見られるようになった。フォント提供なんてクレジットもあったりと、デザインに対する理解が一般的になってきなぁ…なんて思ったんだけど、そもそもデザインを意識したアニメ作品っていつくらいから出てきたんだっけ。
体感としては2005年くらいからそういった作品が増えてきた感じがしていて、『交響詩篇エウレカセブン』なんかその時期。エウレカ見た時は「アニメなのにオシャレ…!?」なんて感動した記憶がある。(音楽とかもやばかったけど。)サムライチャンプルーもオシャレアニメの先駆けだった。というか、Nujabesの楽曲起用なんて当時としてはセンスが良すぎる。
さて、オシャレ。というか、デザイン性が優れたアニメがでてきた理由は色々あると思いながらも、僕の1つの答えとしては、サブカルチャー的なバックグラウンドをもったデザイナーが出てきたことが理由の1つだと思うわけです。
ここでいうサブカルチャーは<90年代のサブカルチャー>。
特にアニメ・漫画・ビデオゲームなど、当時としては「オタク」だったコンテンツが身近に享受できるようになったファースト世代がこの時代に青春時代を過ごし、そのサブカルチャーがデザインに反映されていたと思うんです。
そして、もう一つは、コンピューターを使ったデザイン制作に切り替わる転換期で、その領域に足を踏み入れたファースト世代だったというのも一つの要因だと思います。
ここで1冊の雑誌を取り上げてみます。
2000年代初頭のデザインを語る上で欠かせないデザイン雑誌として「design plex 」というものがあります。雑誌が手元にないのでうろ覚えなんだけど(実家にある)、Nendo Graphixxxの藤本健太郎さんをはじめ、Level1の草野剛さんや広岡剛さん、メカデザインの出雲重機さん。確かTGB design.さんも載っていたはず。全員が全員でないけれども、90年代のサブカルチャーがもろに反映された、特にビデオゲームゲームやアニメリスペクトがある作品をたくさん発表していました。
具体的な作品を載せたいんだけど、2000年初頭のため作品が全くヒットしない…。唯一わかりやすいところで「design plex」をLevel1が担当したときの表紙が出てきたのでペタリ。
ゲームギアのようなハードをモチーフにしたグラフィックデザイン。ステッカーが貼られているリアルな感じなど、ビデオゲームカルチャーが身近であることを物語ってる(気がします)。※画像が粗いから分かりづらいけど、Level1の草野さん、広岡さん、ローリング内沢さんの顔がステッカーになってる。
そんな世代が第一線でデザイナーとして働くようになるわけだから、サブカルチャー、今回でいうところのアニメに関するデザインの捉え方もこれまでのデザイナー世代とは違ってくるはずなんです。
現在活躍しているという点でみても、アニメ×デザイン第一人者である草野剛さんをはじめ、エヴァ関連のプロダクトやUIを担当していたTGB design.さん、NendoGraphixxxさんは活動が止まってしまっているけど、映画「サマーウォーズ」のロゴデザインやプロップデザインも担当してたはずだし、出雲重機さんはいまも多くのアニメでメカデザインを提供している。(みんながdesign plex世代過ぎてすごい。)
サブカルチャーのバックグラウンドがあるからこそできるデザインであり、アニメデザインの主流を作り始めた最初の世代だと思うのです。そして、アニメデザインは決して今のトレンドというわけではなくて、過去との地続きの中で生み出されたものなんじゃないかな。と思うわけでした。
次回は、同人カルチャー視点でのアニメ×デザインを考察してみよう。
【追記】実際には脚本家や監督の一存が大きく、これがすべてではないですけど、今回はアニメ×デザイナーというテーマのためデザイナーだけを取り上げました。
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