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Dressing Room

いよいよ来週木曜日から始まる弊社公演『Dressing Room』
パンフレットのコメントにも書かせていただいたのですが、私が物語を創りたいと思うきっかけは、日常の中に溢れていて、それは『誰も座っていない公園のベンチ』だったり、『ジャケ買いした音楽』からくるインスピレーションだったり、飲食店で見かけたヘラ(スクレイパー)笑、だったりします。

私は脚本を書くことが出来ないので、その分?!無駄に想像力だけは逞しく頭の中では常日頃から小さな宇田川さんがあーでもない、こーでもないと走り回り人様にはお見せできない突飛な空想物語を脳内で繰り広げています。

今回もご縁があって私のもとにやってきた2台の机と椅子。もう15年以上も前に購入されたもので、そのモノ自体にも私の知らない様々な物語があったのかもしれません。

今回の物語は、現代から始まりちょっと未来、そして明治時代まで遡る3話の連作オムニバスです。連作というのは、各話が少しだけ関係性を持って繋がっているという構成になっています。同じ劇場の同じ楽屋で繰り広げられるその時代を生きた女優の物語。

昨年から動いていたキャスティングも導かれる様に美しくハマりました。2人芝居となるとより如実に現れるであろう2人の女優のバランスや物語のキャラクターと演者の相性、そして年齢、容姿とその役者の人間性。それら全てが美しくハマったなと。

昨日初の全体通し稽古を終えました。ネタバレなく女優たちについて書き連ねます。

第一話『セリフを合わせろ』
子役上がりの真面目な女優を演じるのは、森岡悠さん。お名前はだいぶ前から存じ上げておりましたが春に共演させていただいたのをきっかけに今回お声がけさせていただきました。演じてもらいたい役に絶対にハマると確信がありました。いつもの彼女のまま板の上に上がってくれれば絶対にうまくいくと。役そのまんまの人(笑)。真面目でお芝居に誠実で彼女のことを悪くいう人はこの世にはいないと思います(笑)それくらいキャラクターとマッチした森岡悠さん。とても器用で、声も良く素直で可愛くて太陽の様な女優さんです。共演者からも信頼されている。物語の中では、こういう女優さんいるいると思わせてくれるし、後半の彼女の葛藤も見どころです。ストレートに演じるのが上手いので、次回は物凄くひねくれた悪人を演じてもらいたいなぁ。(願望)

2人芝居の相方は、大滝紗緒里さん。事務所さんから『是非ともコメディなキャラクターに配役してほしい、コメディを鍛えたい』との要望がありましたので、コメディな役やれるのかな?!という一抹の不安もありながら(笑)キャスティングさせていただきました。彼女もだいぶ真面目なので早々にセリフを入れ熱心に演じてくれています。ですが、演じている役まわりがだいぶおバカな憎めないキャラクター、多分あまり演じてこなかったであろう役回りなのかな?!あともう一歩ほしい、真面目ゆえにまだ一皮剥けていないなと感じるところがあります。彼女のリミッターが外れた芝居がどうなるのか見てみたいと思っています。何かのきっかけでガラッと変わりそうな期待値もあります。相手役とのセッション力、共演者とのバランス感覚が優れているので、そのバランスをあえて崩して欲しい、そう思います。もっと雑に演じるという事にチャレンジしてみてほしいなぁ。まだ、本番まで6日もあるよ。

第二話『下手舞台袖の幽霊』
昔は売れていた今は落ち目の女優を演じるのは、那海さん。彼女の力の抜けた芝居が大変心地よくちょっぴりお茶目な可愛らしさも出ていてとても素敵な雰囲気で『落ち目の女優』を演じてくれています(笑)ややもすると、落ち目なだけあってダークなちょっと頭がイカれた芝居によりがちな台詞が散りばめられているのですが、とっても良いバランスで演じてくれています。この那海さんは必見です。

2人芝居の相方は、栞菜さん。今回まだこの公演のタイトルも何も決まっていなかった昨年に『もし、2人芝居をするとしたら、相方は誰がいい?!』という質問に開口一番『那海さん!』と返事が返ってきました。実現しましたね。那海さんをチョイスするのは、意外だなと感じたんですが芝居も声もしっかりしている彼女をチョイスする栞菜はやはり芝居が好きで共演することでの自身の変化を求めているのではないのかと感じました。私も同じ俳優として共演者に感じる魅力というのは尽きません。セッションしたらどうなるのかワクワクする気持ちも大変よくわかります。大袈裟に、いゃ、これは大袈裟でもなんでもないかもしれません『魂が震える・・・かもしれない』という期待、期待値が高い。そう感じさせてくれる人とセッションしたいと感じているのではないのかなと。私も直感的にこれはいいな、良いペアだなと感じました。やはり、物語の入り口の2人の掛け合いは、脚本も求められている芝居も『芝居芝居』しているのに自然で自由で心地が良いです。栞菜節も炸裂していてコメディとシリアスのバランスがとても良いと感じています。

第三話『文明開『花』の音がする』
稽古が始まって少し経った頃に『この役は今の真野未華さんが演じることができるレベルの、少々上の役だな』と感じました。これは、劇団をやっているとよくある事で『〇〇が主演を演じるならあいつの身の丈の少し上の役回りや表現をやらせたい』という座組脚本家が期待して本を書く。その流れに似ていると。真野未華さんは、今回松本からのご指名でお声がけさせていただきました。コメディも正統派な芝居も、どちらも品があって眼福な女優のひとりです。芝居に真摯で、共演者への気遣いも丁寧。なのに、先輩に迷惑をかける程にちょっぴりぬけてる。そんな彼女の素養も含め今回の芝居に出ている気がします。芝居にはその人がよく出ますから。今公演で確実に成長してくれると感じています。そしてその『成長』がきちんと身になったら大変嬉しく思います。

2人芝居の相方は、小林亜実さん。初めてUDA☆MAPにオファーしたのは2019年。出演作品は2020年2月の『KAIRO』という公演でしたがあれからだいぶ成長したなと今回の芝居を見ていて思います。ひとりで板についている時、ふと見せる表情、時代の雰囲気。彼女の放つオーラは時に女性らしく時に男らしく不思議な魅力を持った女優さんです。今回彼女が演じる役は静かな感情の振り幅と『瞬発力』が求められています。『感情の瞬発力』。それは、そこに至るまで内圧をどれだけ溜められるかにかかっているのですが、嫌味なく自然な流れでそのとあるシーンを演じております。大変見どころです。真野未華さんとのキャラクターのバランスもとてもよく互いが互いを輝かせあっているなと感じました。普段は飄々としている彼女ですが演じている時の彼女の目の奥に是非打ちのめされてください。

如何ですか?!期待値、上がってきましたか?!

私が物語を演じる上でも、演出をする上でも1番大切にしているのは、『物語の入り口』です。

『物語の入り口』とは、冒頭、起承転結の起の起。幕開きのシーン。お客様がこの作品は『面白い』のか『面白くない』のか、の水路を決めるのがこの『物語の入り口』であり、作品の出来にも大変なパーセンテージがかかっているとても重要なシーン。3話のオムニバスですから3回『物語の入り口』があります。ここを、どんな風に2人の『女優』が演じるのかで、物語の『水路』が変わるのです。良くも悪くも、ここが舞台演劇の面白さ、見所でもあると思います。

脚本家の意図する『水路』、演出家の意図する『水路』、俳優の表現、お客さまの反応をもってその日の公演の『水路』という流れは変わります。その流れにうまく乗り丁寧に時にダイナミックにDressing Roomという物語を6人で紡いでもらえたらなと思います。

さぁ、来週6月29日(木)から開幕です。私は、楽屋からそれこそDressing Roomから舞台に行く彼女らをいってらっしゃいと見送ることしかできませんが、舞台という楽屋『Dressing Room』でお客様を存分に楽しませてあげて下さい。ややこしい。

お腹いっぱい見どころ満載の今公演。
是非ご来場下さいませ。

宇田川は首を長ーくして劇場でお待ちしております。



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