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ニュージーランドプチ留学~マクドナルド襲撃事件~
例の香港マダムとの別れはあっさりしたもので、飛行機着陸後、彼女は風のように去っていきました。
私自身一睡もしていないのですが、不思議と眠気を感じることはなく、回転寿司のように沢山のスーツが流れるバゲージクレームで無事にスーツケースも引き取ることができました。
入国審査(これも自動ゲートです。パスポートを機械にかざし、顔認証するだけ)も終え、いよいよ一番緊張する税関へと足を運びます。
赤と緑、2つのレーンがあるのですが税関に申告するべきものを所持しているか否かによって並ぶレーンが異なります。
(私は最初間違えて、「申告しない場合」のレーンに並んでしまい、慌てて引き返してしまいました)
今回私は、友人のために日本のお菓子を沢山持ち込みました。チョコレート菓子やクッキー、おせんべい…事前情報を調べる限りではアウトなものは持ち込んでいないはずです。
レーンを進んだ先には、緊張がはじける瞬間、税関職員との対面です。
恰幅の良い、怖そうな職員でした。
パスポートの提示を求められ、相手が質問する前に私は
「I have some chocolates,cookies,and rice crackers.」
と伝えました。
…さぁ、相手は何を聞いてくるか。
緊張で背中にひとすじの汗が流れるのを感じます。
税関職員が口にした言葉はー…
「OK,Go.」
…?!Σ(・□・;)
(アメリカの某バンドかな…?)
職員は私にパスポートを返却し、レーンに沿って進むよう促しました。
あれ、もっとそこはお菓子の成分とか突っ込んで聞くんじゃないの?
スーツケースの中身の確認はないの?
…と思いつつ、税関は私の予想に反してなんともアッサリしたものでした。
(ただし、これは本当に税関担当者によると思います。友人の場合は更に突っ込んだ質問をされ、スーツケースの中を開けて見せるよう指示があったとの事です。)
心を撫で下ろしながらレーンに沿って歩いていると、後ろから麻薬探知犬を連れた職員がやって来ました。
かわいいビーグル犬でしたが、もし吠えられたらどうしよう…と心中穏やかではありませんでした。
しかしそのビーグル犬は私のスーツケースに見向きもしないままスッと通り過ぎていってしまいました。
そしてレーンを抜け、無事に空港出口に到着しました。
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ピンク色の風船を持って誰かの到着を待っている小さな女の子が本当に愛らしくて、まるで天使のようでした。
そして、私はここからバスに乗ってオークランド中心街まで向かおうとしていたところなのですが、今回は大変ありがたい事に友人がピックアップしてくれる事になりました。
友人を待っている間、私は外の風を感じていました。
湿度も気温もそこまで高くないはずなのに、それでも暑く感じるのは強い日差しのせいでしょうか。
ちなみにニュージーランドの紫外線量は日本の7倍あると言われています。
また日本の日焼け止めは現地でも購入できますが、アネッサが65〜75NZDと、日本の約3倍の価格帯でした。
その後、私は無事に友人と、その友達Nさんと合流し、市街地まで送り届けて貰いました。
友人とNさんの話すスピードはかなり速く、私は後部座席に座っていたため、運転席と助手席に座る2人が何の話をしているのか、最初は全く聞き取れませんでした。
しかしながら時折振り返って、私を気遣ってくれました。
「日本に比べてこの国はどうだい?」
「…ベリベリ、ホット…」
「今は夏だし空に穴(※オゾンホールの事)が開いているからね!」
「ほら見てご覧、あそこに羊がいるよ」
「ワオ、メニメニ、シープ!キュート」
私の拙い英語にも笑顔で返してくれた2人の優しさに私は終始恐縮していました。
また、今振り返ってみるとNさんにとって私は入国したばかりの謎の日本人でしかないはずなのに、嫌な顔せず自分の車に乗せて送り届けてくれたのは本当にありがたいことです。
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市街地に向かう途中、「コーンウォール・パーク」という大きな公園にて休憩することにしました。
この公園は一部が農場となっており、たくさんの羊や牛を近くに感じながら、バーベキューやカフェを楽しむことができます。
アイスクリーム屋さんもあり、友人が私にニュージーランド名物のホーキーポーキーをご馳走してくれました。
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キャラメルフレーバーのアイスクリームの中に、カリッとした小さなキャラメルの粒が練り込まれており、味・食感ともに楽しめます。ロングフライトで疲れ切った私の身体に沁み渡ったアイスクリームでした。
もし、この記事を読んでいる方で日本でもホーキーポーキーが食べられるお店があれば是非ご教示ください。
その後、無事にオークランド市街地に到着し、ホテルでのチェックインを済ませ、これから約10日間過ごす事になる部屋へ入室しました。
ちなみに私が宿泊したのは、イビス バジェット オークランド セントラルでした。
日本でいうアパホテルと同じような価格帯で、朝食付き、語学学校から徒歩ですぐに通える距離というのが決め手でした。
エレベーターはフロントで受け取ったルームキーを差し込んだ後で引き抜き、目的階のボタンを押す事で作動するのでセキュリティ面でも安心です。
たまたま乗り合わせた親切な婦人が私にエレベーターの乗り方を手取り足取り教えてくれました。
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とても明るくて綺麗なお部屋でした。
ハンガーラックは私の身長(158cm)だと届かない位置にあったので結局使っていません(^^;;
友人との夕ご飯の約束の時間までの間、私は久しぶりのシャワーを喜びながら浴び、髪を濡らしたままベッドに飛び込み、仮眠をとりました。
公園で食べたホーキーポーキー効果でそこまでお腹が空いていなかった事もあり、マクドナルドで軽食をとる事にしました。
注文したのはニュージーランド限定の「Kiwiバーガー」。
(ちなみにキウイフルーツが入っているわけではありません。ニュージーランド人は自らの事を「Kiwi」という愛称で呼ぶそうです。)
注文時に機械のトラブルで注文番号の印字されたレシートが出てこないトラブルがあり慌ててしまいましたが、友人がそつなく対応してくれ、事なきを得ました。
(私は友人がいないと何もできない…情けないな)
と複雑な思いで口にしたKiwiバーガーは、真っ赤なお野菜ビートルートの存在感が引き立つ、お肉のうまみを感じられるワイルドなハンバーガーでした。
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ハンバーガーをもしゃもしゃ頬張っていると、突然、若い男性の集団が奇声を上げながら店内に乱入してきました。
これが噂に聞くギャングか?!と身をこわばらせる私。涼しい顔でポテトをつまむ友人。
彼らのうち1人は顔を真っ赤にし、青い瞳を潤わせながら我々に何かを訴えています。
また、もう1人は酒瓶を私の口に向け、中に入ったモノを飲ませようとしてきます。
顔を真っ赤にした少年はそのうち何かを大声で訴えながら床に転がり始めました。
私は唖然としてその光景をただ静かにじっと見守ります。
適当に相槌をうちながらポテトを食べ終えた友人はさぁ、行こうと私の背中を押し、我々はマクドナルドを後にしました。
彼は一体何を叫んで、何に怒りを感じていたのか?と友人に聞いてみたところ、
「あぁ、彼はずっと『おしっこが漏れそうだ!どうしてこの店は俺にトイレを貸してくれないんだ!チクショウ!!』…って叫びながら暴れていたんだよ。だいぶん酔っ払っていたみたいだね〜」
てっきりギャングの襲撃と勘違いしていた私は街の中で思わずズッコケてしまいそうな衝動に駆られました。
どうやら我々は酒に酔った若者集団に、単なる「ウザ絡み」をされていただけのようでした(゚o゚;;
言葉が分からなかったから、本来であれば大した事のないような問題でもシリアスな問題として受け取ってしまった。
今後は逆のパターンも、きっと沢山経験していくんだろうな…
もっと英語を勉強しよう…と胸に誓いました。
ホテルまで送り届けてくれた友人と別れ、時計を見て驚きました。
時計が指し示す時刻は20:35。
しかし外は…
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一向に陽が落ちる気配がありません。
遥か遠い昔に受けた、全く理解できなかった中学理科の授業の内容が頭を駆け抜けていきました。
地球は傾いている…1日1回自転して、太陽の周りを1年かけて公転している…
ああ、高緯度の地域ほど日照時間が長くなる事、サマータイムの制度ってこういう事なのか…と身をもって体感しました。
地球の神秘を感じながら、その後すぐにやってきた夜の闇に包まれながら、私は深い眠りにつきました。
この数日だけで沢山の出会いがあった。これからどんな出会いがあるのだろう。
そして私は英語の世界で戦っていけるのだろうか。
…疲れ切った私はそんな不安よりも、ふかふかのベッドで眠れる喜びを全身に受けながら、夢の世界へと誘われていったのです。